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駅にムササビが
駅にムササビがいて、とても迷惑なんです かの女はおれにいった どの駅に? どの駅にもです それでおれは、──といいかけてやめる もはや、かの女の眼におれがいないのを諒解して ちょうど3年まえの秋にもおなじようなことがあった おなじ子供が跡をつけて来るという男がいたっけ おれはかれを匿いながら都市と倦怠のあいだを歩き、 やがて3番出口でかれを見棄てた いったい、だれがこんな筋書きを描くのか 繰り返される運動、そして跳躍するスタントン スタントン、あるいは脆弱なラーゲ それらがおれになにを与えたか ひとは神を創造して苦しみから逃げた では神々が逃げるにはいったいなにが必要なのか 天使は淫売だった、牧師は小児性愛者だった、 教会は金満家で、お告げは集金マシンだった、 黒いイエス、黒いノア、そして黒い池田大作そのほか5名 おれはおれのなかの河に碇を降ろす 駅にムササビがいて、とても迷惑なんです かの女はおれにいった たしかに迷惑かも知れないけれど、 おれにはどうだっていい かの女を駅員に引き渡して、 おれは逃げていた どの出口にも女が立っていた 逃げ場のない焦りのなかでおれは急ぐ なにしろ、この詩形には終わりがないから むかし、小学校でいわれたように おれの人生は終わっているのかも知れない そうおもって公衆電話に駈け込むと、 救急相談窓口にかけて、 永遠ともおもわれるあいだ、 おれはずっとずっと、 ムササビがいて、とても迷惑なんですと告白する。
駅にムササビが ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1430.7
お気に入り数: 0
投票数 : 6
ポイント数 : 0
作成日時 2023-05-08
コメント日時 2023-05-17
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
メタフィクションなのか被メタフィクション(てわれながらなんだろ)なのか、構造がよくわかりませんが、神(救急相談窓口あるいは作者)を創造して苦しみ(ムササビ抗議女)から逃げる語り手というアイディアを興味深く拝見しました。河に碇を下ろした偽ノアの方舟、地に増えて出口を塞ぐ偽ネフィリムたち(ムササビ抗議女)というあたりが特に好きです。
1>駅にムササビがいて、とても迷惑なんです >かの女はおれにいった この冒頭二行をスナップしたらさぞ美しい画ができあがりそうですが そうはいかない。なぜなら社会は複雑だし、なにせ「おれ」は写真の中に 収まってはいられないから。だから反転して、人生は続く。だから人生は終わっていない。
1感想コメントで済ませてしまったので付記します。 たけだたもつ様 おはようございます。いつも尊敬の念を抱いております。 真剣書きます。 いちいちかっこいい。私もそう思います。 その最近、その「仮想敵」という語に当たりまして その自分の中に「敵」という概念が、ふっと落りてきまして悶々としたわけですが これも、健康的なライバル関係もあれば、そうでない関係もあるだろうかと。 ただこの作品に関する限り、その色々、自分にとって悩ましい対象が挙げられつつ 結果として、作者のピュアネスといいますか 純粋さを、保つ為に必須なんだと、こう解釈といったらおかしいですけれど 胸を突く、思いがありました。 そして、そのピュア、純粋さというところに焦点を当てましたところ >駅にムササビがいて、とても迷惑なんです >かの女はおれにいった この二行の、センテンス、ドラマ、それに、ロマンチックなものも感じました。 それで前述した「感想」に至った次第であります。 と、書いても、やはり私がそういう風に「観たい」からで やはり、それは「きれいごと」の範疇に収まってしまいます。 襟を正された想いです。
1黒い池田大作はつまるところ白色なのよ なんです ってはっぴぃえんどみたいだ!
0「どの駅にもです」と言うのが詩的なのかもしれません。ムササビと言うと北海道とか東北地方の自然豊富なところにしかいないと思ってしまうからです。「筋書」が詩劇の事を言っているのか分かりませんが、かの女をきっかけに何か現実が詩劇めく、あるいは超現実になると言うのは有り得る事なのかもしれません。
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