生きることの畏怖に
私はコップ一杯の水に溺れる
誰か助けてください
そろり、そろり、とひび割れた、
水の漲る甕(かめ)を持ち歩く女です
生きることの愛に天空から羽が降る
それはふわふわと何より甘い
歓喜にひたぶる海は私の涙を喰らい
その冷ややかな水底に私を蔵した
私は海になった
蒼い私は幾たびも押し寄せては
漣(さざなみ)散らしてあなたを抱きしめる
あなたが愛を思い出すまで
痩せこけた少女が膝丸める永久凍土のシベリアよ
北極海のクリオネが集まっては噂する
「いつの日か、いつの日か、傷つけばきっとたぶん遠い物語…」
無念の最果てにまで肌をさするようにこだまして轟け
今という鴎の喝采よ
生きることの微熱に
私は夜のシーツに足滑らせて
時をあなたに傾げる砂時計になる
あなたの瞳に私が宿り
赤ん坊の産声を上げる時
朝日が昇り
千年の眠りから覚める
これは森の奥深く、
湖の底に眠る女の夢です
水底から光る太陽が私を温め
「夢みよ、夢みよ我が子よ、夢を孕み目覚めよ」
と囁くから
作品データ
コメント数 : 12
P V 数 : 872.2
お気に入り数: 1
投票数 : 2
ポイント数 : 0
作成日時 2023-04-01
コメント日時 2023-04-05
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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技巧 | 0 | 0 |
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閲覧指数:872.2
2024/11/21 19時45分23秒現在
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ちょっと美し過ぎる印象 文章が作品をおいてけぼりにしてる感じ 個人的には美しい文章は好きだけど 普通の人には感覚的についていけない印象があるな 麦わら海賊団 ナミ
0こんにちは。 どこか幻想的な詩ですね。 タイトルは「生きる」ですが、内容は「あなた」(へ)の愛が主題になっているような印象を受けます。 ここでの「あなた」とは特定の人物を指しているのか、それとも人生や世界を擬人化したものなのか、判断がつきにくいように思います。 ただ、最終連で 「これは森の奥深く、 湖の底に眠る女の夢です」 と書かれているので、あまり意味や論理にとらわれず、この詩の描こうとしているイメージを味わうのがいいのでしょう。 そうとらえると、3連目の表現が秀逸だと思いました。
0こんにちは。美しすぎる、ですか、歯が浮いている感じ、ということなら、残念ですが。私は少女趣味で中二病的な部分がありまして、どうもそれは性質なので治らないんです。
0こんにちは。幻想的な詩や美的な詩は大好きです。今回は凝った感じに書いてみたのですが、気に入って頂けたようで幸いです。誰宛か、それは特定の誰かでもあり、読んだ人でもあり、広がりがあるといいな、とぼやかしています。ありがとございました。
0湖湖様 「生きる」読ませていただきました。文章が繋がっていると申しますか、ストーリー性があるなというのが、第一印象でした。それを空行を使い、5つに分けているのが、味がいいです。私の個人的な感想です。お気に召さないようでしたら、気になさらないでくださればと思っております。ありがとうございました。
0物語性にも改行は大事ですね。ストーリー性を感じて頂けて良かったです。ありがとうございますs。
0うまいなあと思いました。
0ああ、湖の底に眠ると言うと夭折した画家加清 純子を思い出します。渡辺淳一の阿寒に果つ、阿寒湖の事ですね、渡辺淳一の小説までも、読んだことないのですが、映画化されて居る様で、を思い出します。北極海のクリオネとは想像力を掻き立てられるのですが、永久凍土のシベリアなど、開始地点としては難しい意味を持つと思い、創造の厳しさを思いました。
0うまい、を越えないといけないかなぁ、と思っています。突破力。ありがとうございます。
0加清 純子さん、知りませんでした。教えてくださってありがとう。自殺だそうですね。私の湖の底、というのは病気の後の意識、昏睡に似た心の旅、を扱っています。
0>無念の最果てにまで肌をさするようにこだまして轟け >今という鴎の喝采よ とても心に響いてきました。 生きることに正面から真摯に向き合う強さを感じます。 こちらの詩に、そして作者の湖湖さんに出会えたことに、本当に感謝しています。
0そんな風に感じて頂けて幸いです。詩を書いてよかった。こちらこそ感謝します。人に語り掛けてもらうことで自分を確かめる、そんな気持ちになりました。
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