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コピー用紙のうらに書かれたおれの調書が 夜に発光するさまを12インチのフィルムが捉える ものがみな逆さにされた室で、 朱い内装のなかで男が、 朱いベッドのうえで泣いてる こいつはだれなんだ? やがて男の妻がやつをなだめる 「どうしてなにもかも朱いんだ」ってやつはいう でも、それはやつの内奥の色でしかない なにも逆さになどなってはない 欲しいままに切り取られた裸体をばら撒き、 キャベツ男の頭をぶち抜く 弾丸のうえを街がよぎる 38口径の夢の址で コピー用紙のうらに書かれたおれの調書が 踊り狂う芒原に今年も鰊が豊作だ そう聞かされたのは朝の4時 突然の電話、そして盗聴された会話 内容の断片が次々とメディアに横溢するのを おれは黙って終夜営業のダイナーのテレビ画面から、 秘密の電波で聴いていた かつて愛した女が知らない男に抱かれている アパートの2階にはずっと闇が光っている 「どうしてなにもかも朱いんだ」ってやつはいう でも、それはやつの内奥の色でしかない おれは支払いを済ましてでた 女も建物の戸口からでた すべては9年まえのまぼろし われわれは──という辞を信じないおれは たったひとりで17系統のバスを待ちながらも、 来年、40で死ぬことばかりを考えている。
error code:721 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 839.6
お気に入り数: 1
投票数 : 4
ポイント数 : 0
作成日時 2023-03-17
コメント日時 2023-03-18
項目 | 全期間(2024/12/27現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
朝、音楽を聴くように読みました。いろいろな道具立てで書かれた行が続いていてすごいんだなという感じがありました。 >「どうしてなにもかも朱いんだ」ってやつはいう >でも、それはやつの内奥の色でしかない 二度出てくるこの詩句は良いですね。確かに人間はたとえば目を閉じると朱い色を見る。血という物の色であると同時に内奥という心的なものの色であるように思います。今日一日、この詩句は頭から離れないんじゃないかと思います。 >われわれは──という辞を信じないおれは ここも好き。 最後、死ぬことばかりを考えなくてもいいのではないかとも思いましたが、全体として、いろいろなことを知っているから豊富なイメージを書けるのだろうと思ったし、引用した二箇所が強烈だから、忘れられない一篇になったようです。
0頭に浮かんだのは ハル9000がボーマン船長に息の根を止められるシーンだな ハル9000のカメラアイの赤い光と ハル9000の内部に侵入して システム停止に追い込む場面 船長の息遣いと警告の様な赤いライトで部屋が赤く染まっていて ハルが機械的ヤメテヤメテと繰り返す場面 殺戮の現場というか 美しいと言っていいのかわかりませんが印象に残る場面でした ハル9000も謂わば情報処理のエラーの一つでしょうが ブレードランナー効果によって其処に心がある様にも見えます 作品の中の命の遍歴みたいなものを感じました 王下七武海
0自分、映画を観る処理能力というか理解力に乏しくて、敷居の高さを感じて苦手意識があるんですが、こちらの詩はハードボイルドSFショートムービーを観ているような気分で読ませていただいて、とても惹き込まれました。 詩も映画も、どちらにも疎い自分ですが、詩としても映画としても好きになりました。
0何もかも朱いと言うと、漱石の「それから」のラストを想起するのですが、この詩では、やつの内奥の色でしかないとあります。漱石の「それから」では主人公の代助は外界の全てが赤く見えると言うラストだったので、ちょっと違うのかもしれません。40歳で死ぬと言うとどうしてもジョンレノンを思い出します。ロックミュージックの世界では、27歳で死ぬと言うジンクスがやたら囁かれて居て、27クラブと言う表現も有るそうですが、ザードの坂井泉水も40歳で亡くなって居ますね。
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