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架空の花の花粉(solitude)
架空の花の花粉が 空気に混じっている わたしはアレルギーがひどくて 洟をすすりながら 赤い目をして往来をゆく 裏通りを覗けば これまた真っ赤な目をした 青年等のすすり泣きを聞く さびしい黄昏時 (わたしはここでは上手く息を吸えない) 踵を返して しかめ面で後にする路地では 冷えたシャッターがうるさく風に鳴る 折しも真冬 コートの襟を立てて歩く わたしにはイヤーマフが必要だ やつらの声を聞かないように 叶わない上に浅ましい夢を 臆面もなく人に語るなど 若いわたしには耐えられなかった やつらも若いけれど (少なくともわたしは 意識的にはできなかった) 血の通わない指で目を擦りながら ただひたすら「泣くものか」「泣くものか」と 歯軋りして歩く 「だれか温めてください」 言いかけては、やめる (望んで負った傷は責められない) 冬のさびしさの正体は 架空の花の花粉です そういうことにさせてください
架空の花の花粉(solitude) ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 720.6
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2023-02-02
コメント日時 2023-02-04
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
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技巧 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
花粉症の季節を予感するような、そんな意味の詩ではないのかもしれませんが、架空の花の花粉とは何だろうかと思いました。答えは詩の中に有ると思いました。括弧書きのソリチュードも参考になると思いました。孤独の定義は難しいのですが、この詩を読めば、ただの一人を意味しているわけではないことが分かって来るからです。
1コメントありがとうございます。個人的には「架空の花の花粉」が何なのか伝わらなかったことは大失敗ですが、「伝わらない」ということが分かって勉強になりました。
0冬のさびしさの正体は架空の花の花粉です、そういうことにさせてください、これは名句ですね。やせ我慢の中に当事者の矜持が隠れているようで、若い人間の自負と孤独のバランスが甘酸っぱい記憶をほうふつさせます。やせ我慢って、しなきゃ人間性が守れないときもありますね。紳士淑女の皆さんならば。
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