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不器用すぎる闘争
この作品に関わる謎解き ・マイコーとは? ・これ以上のこととは? ・咳き込むことがステップを超えた? ・吃音者と捉える射程 直接的には書かれていないものの、おそらくマイケルジャクソンのことだろう。 ステップを踏み(なぜか階段の踊り場で)、さよなら、や作品内で去ることから、連想しないことは難しい。 これ以上のこととは何だ? マイコーはダンサーとして、ステップを競うような、そんな思いで言ったに違いない、そうとしか読めない。しかし咳き込むユゴーをみて、 負けたとの敗北の意志を伝え去っていく。 (ちなみにあのレミレラブルを書いたユーゴーではないと思われる) ステップをおそらく華麗に踏んでいたマイコーはその自覚もあったんだろう、かつて観客を熱狂させ、スターへとのしあがったあの美しさを。しかしユゴーはそんなことおくびにもださず、(何の感慨もなく)ただステップが巻き起こした埃で咳き込むのである。 一転して、他人に危害をもたらすものとなったマイコーのステップ。自身の人生は否定されたのだ。一瞬で。まさに、僕は、マイケルジャクソンの成功から一転、無惨に終わっていった人生を思わずにはいられない。 擬音以上に、表現として実感をもたらされるものとして、吃音のような台詞があげられる。 辿々しい台詞は、ステップをしながら喋ることや、ユゴーの反応に驚いたことが理由かもしれないが、それにしても、はぼさんの感想にも見られるとおり吃音と捉えるほうが自然なのではないか。 吃音を台詞としてそのまま表現することは、僕が書いてる小説の世界では真っ先に否定される。「ど、どうして?」ではなく削れ!「どうして?」と書け! と。 吃音を残すことによって、マイコーの心情や吃音かもしれないのだという想像が膨らむ。 小説で「アサッテの人」というものがある。 吃音から、「ポンパ!」とか変な言葉を喋るようになってしまった。頭がおかしくなってしまったのか、と今回のマイコーの「これ以上」という台詞にもその様相がみてとれる。 ステップで勝負したいということではなく、何かもっと大きな視点で彼は戦っていたのかもしれない。逃走ではなく闘争として。了
不器用すぎる闘争 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 660.9
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作成日時 2022-11-07
コメント日時 2022-11-07