#
今日も満たされなかったおじさん達は
ラジオと会話して隙間を埋める
おじさん達だって寂しいのだ
いや、おじさんだから寂しいのだ
#
孤独を隠したいおじさん達が集う
彼らは血の通った会話がしたい
ここまで汗水を流し生きてきたが
時代の波に全て拐われていて
何も残って居ないことに気づいた
だからまた作りたいんだと
誰もが言わずに集まっている
ある者は妻の愛し方を忘れた
ある者は恋の仕方を忘れた
スケベしか出来ない
#
おじさん達の背中は何かを背負ってきたんだけど
それがいつの間にかなくなっていたんだ
大事なモノまで落として軽くなった背中は
何も語らず寂しいだけだった
吸水性のなくなった身体なのに
流した涙の濃さはそこまでではなかった
それを知ってるけど気付かないふりを続けながら笑う
#
おじさん
同じ時間を生きてるのに
何故か置いて行かれてしまう
老いて枯れてしまうのはどうして
そうか…おじさん
あなたは蝉の成虫じゃなくて
抜け殻だったんだね
青春はもう背中を破いて
遠い夏を飛んでいるんだね
私を詰め込んであげる
こぼさないように縫ってあげる
だから一緒に生きよう
#
おじさん気にしないで
おじさんの惨めは笑えるの
哀愁で済ませられるの
私はもうおばさん
痛んだ卵を排卵してる
惨めは惨めなままで
笑えないことばかり増えてく
そんなに嘆かないでよ
私が落ちこぼれて
おじさん達の土になる
踏んで歩ける大地になる
膝が悪いとか言わないで
私は自分が悪い
#
懐かしい香りが枕からした
古本みたいな匂い
それは俺の親父の臭いだ
そうか俺は絞り尽くされて
身体が酸化し出してる
うっすらと死を感じた
やがて病に倒れ
潮の香りがし出した頃に亡くなり
焼かれて小さな壺に収まる
自身の灰に骨を浮かせて
何を考えて過ごそうか
墓穴は明るくして欲しいな…
#
おじさん、昔は遊んでたんだってね?
女の扱い方とか分かる?
私、自分のことよく分からないからさ
だから私をオモチャにして遊んで
私の説明書、足りないことばかり
おじさんに書き加えて欲しいの
私は自分のことをよく知りたいの
おじさんのことは別に…
とか言ったら喜ぶの?
#
おじさんもハゲてきてるの?
私もハゲたところ
生えなくなってきちゃった
インスタ映えとか出来ないね
眩しく光るけど悲しい色だから
ハゲ仲間で励ましあおう
懸命に前進した分だけ
後退した髪の毛を労って上げよう
もう頑張らなくて良い
ここまでよくやってきた
そうやって自分を楽にしよう
#
おじさん
ページ飛ぶのはあっという間
1日の流れもあっという間
世界のスピードがこんなにも早いことに
この歳になるまで気付かなかった
追い付かなきゃいけないのに
重い腰、付いた贅肉、思い過ごし
それらがおじさんを遅くするんだ
おじさん
私がジェットになるよ
ブンブンブン
#
おじさんまさか…
攻撃をされてると思ってるの?
あのね良いこと教えてあげる
おじさんの事なんて
攻撃する価値ないからしないよ
別にツンデレでもないから
勘違いしないでね?
でもあんまりあーこー言うと
流石にシバクぞこら?
毎回滑り回してるのどうにかしろや
身の程をしれよこら?
#
懐かしいの正体は
青春の汗の匂いだった
あの時はエネルギーを発散ばかりしていたね
でもおじさん
今は動かないで溜め込んでばかり
サウナで沈殿し腐らせたエネルギーを出すことしか出来ない
お腹の贅肉
本当は可能性なのに
関節痛いとか理由見つけて
何もしないで過ごすの
もったいないよ
#
援交にパパ活
マッチングアプリに不倫
デリヘルにソープ
キャバクラにスナック
あわよくばチンチンで
君の体温を計りたいんだよね
でも本当は娘くらいの子と
友達になりたいんだよね
E・Tだったらなれたかな?
EDだからなれないかな?
バイアグラがないと
男らしく振る舞える自信がないから
#
ねぇ
おじさんの対義語って知っている?
アーティスティック女子
またはサブカル女子
そして魔法少女だよ
エキセントリックに恋をしちゃうんだよね
でもおじさんはダメのままでいて欲しいな
野球観戦でかっ飛ばせと叫んで
お酒もなんだか飲めなくなって
健康診断に引っ掛かる
そんなおじさんでいて
#
子供部屋おじさんだからって悲観しないで
好きなものだけに囲まれた部屋
家庭があるのに冷たい
そんなおじさん達からしたらユートピアだよ
誰だって最期は孤独死だよ
愛した人と共に生きる幸せ
守るのにどんどん自分を磨耗させていく
そんな辛さを知らなくて良いんだよ
#
おじさんどうしたの?
大事な話があるって
ちょっと!距離近いって
ぎとぎとして気持ち悪い
生き急いでる話は重いよ
もしそうなら背負い込んでくより
捨てていく方が良いよ
死ぬ前に後悔とか未練とか
そんなの誰だってあるよ
捨てといた方が余生は楽に生きれるんじゃないかな?
#
ポエムな事なんて言わないで
おじさんのそれ
なぞなぞクリエイターだよ
ロマンチックはいらないよ
お酒飲みながら麻雀して
競走馬の調子から予想して
老眼鏡付けずに新聞読んで
2時間サスペンスを真剣に見ている
そんなダサさが素敵だよ
カッコ悪くても許されるんだから
もっとダサく振る舞いなよ
#
おじさんさぁ
不倫した人妻のハメ撮りでシコるのはもう止めなよ
そこに愛なんてありゃしないし
その先にハッピーエンドは無いよ
ブラックスクリーンに写る自分の顔
見たことある?
ティッシュで拭いた精子が何億も死んでいる
まるで虐殺者みたいだね
愛のある射精したいよね
ハッピーエンド迎えたいね
#
風俗嬢にお説教してるみたいだけど
若くしてこの世界に入って
あんたみたいな汚いおじさん抱いて
あんたよりも稼いでいるんだよ
あんたはこの子の歳に何をして生きていた?
人に優しくされてるのに
お金を払ってるから無下に扱って良いの?
ゴメンもありがとうも言えないから
また来てねも言われない
#
おじさんの身体って綺麗だよね
古傷について語りたかったなぁ
今まで無傷で生きてこれたんだね
どれも治る傷ばかりじゃ
何も語れないね…
ん?
今、ちょっと胸がズキンとした?
私がおじさんの最初の傷になってあげようか?
治らないし忘れられない傷に
#
1球目は見過ごして
2球目は壮大に空振って
3球目にヒットするけど
健を痛めて心配されながらアウトにされる
そんなおじさんで構わない
ホームランは私が約束した時まで打たないで取っておいて
#
地上の星は街明かりと
ハゲ散らかした頭で結局見えないね
星屑の輝きは哀しい色だね
願いも未来もない輝き
毛頭もございませんと謝る
そんな日々に疲れるね
年下の立派な人は
自分と何が違うのかな?
この歳の自分は何してたなかな?
思い出すには記憶が遠いね
寝ればそんなの
考えた事すら忘れるよ
#
ファイナルファンタジーがいつまでも終わらないように
嫌になる不安多事も終わらないね
そして私みたいな幻を頭に飼っちゃってるしね
ねぇ、かみさまって信じる?
私はいると思うなー
でもおじさんや世の中が苦しいのはきっと
窓際のかみさまが作った世界だからかな
キセキが起きないのもきっとそう
#
海辺は綺麗だねー
でも私達
漂流しちゃってるんだね
俗世から切り離されたし
アダムとイヴにでもなってみる?
知らない間に戦争が起きて
国が全部滅んで核に汚染されても
そんなの知らずに
朝日に希望をもって
魚や木の実を取って暮らしたいね
作品データ
コメント数 : 2
P V 数 : 960.2
お気に入り数: 0
投票数 : 1
ポイント数 : 12
作成日時 2022-10-21
コメント日時 2022-10-24
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/12/04現在) | 投稿後10日間 |
叙情性 | 2 | 2 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 2 | 2 |
エンタメ | 5 | 5 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 2 | 2 |
構成 | 1 | 1 |
総合ポイント | 12 | 12 |
| 平均値 | 中央値 |
叙情性 | 2 | 2 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 2 | 2 |
エンタメ | 5 | 5 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 2 | 2 |
構成 | 1 | 1 |
総合 | 12 | 12 |
閲覧指数:960.2
2024/12/04 02時31分12秒現在
※ポイントを入れるにはログインが必要です
※自作品にはポイントを入れられません。
どうしてこんなに誰かを愛せるのだろう? とても真似出来ないです。 おじさんを逃がしてあげようかどうしようかと考えて、でも目が離せない。結局そのままにして、逝く瞬間だけ目を閉じる。
0手癖もあり、性癖みたいなところもありますね。へっぽこおじさんは応援出来ます。
0