火炎 - B-REVIEW
新規登録
ログイン
PICK UP - REVIEW

ことば

ことばという幻想

純粋な疑問が織りなす美しさ。答えを探す途中に見た景色。

花骸

大人用おむつの中で

すごい

これ好きです 世界はどう終わっていくのだろうという現代の不安感を感じます。



作品を
別枠表示

火炎    

焚き火は燃え盛る 黒いどんぶりに盛られた星粒を 一つ残らず舐め取ろうとする気概をもちながら 天球と張り合っている なんて大それた目論見 息が詰まるほど素敵な 夜郎自大じゃないか そういう中に 羽虫が飛び込んでぱちぱちいう すばらしい合奏だ 羽虫の炎もまた ほんとうの炎と張り合っているのだ これは取っ組み合いのけんかをやっている音なのだ 白いけむが昇る─今夜は風もない つられて火の粉が躍り上がる 反駁のように嫉妬のように じゃじゃ馬のように猛虎のように ああ胸がすくような光だ 今ならこの身ひとつで 地球を何周でもできるかもしれない 太陽を見ることができるかもしれない いつしか汗をかきながら 鳥肌が立っている 口から高笑いがまろび出る カンボジアの踊り子が 鉦と篳篥が ジャクソン・ポロックが 敬虔な縄文人が いつか見ただろう! この焔を そしておれも彼らを見たのだ (火は上物のブランデーのように 頭をくらくらさせる しかし冴えさせるのだ 目が遠くを見ているのは あまりに分かりすぎるからだ) おいみんなこの火に飛び込め なあに恐ろしいことはない みんな火になるだけだ おれたちも、あの羽虫どものように がっぷり四つの大合奏をやるだけなのだから ラスコーの壁画のような シェンナ色の合奏を 火炎にくれてやるだけなのだから



火炎 ポイントセクション

作品データ

コメント数 : 2
P V 数 : 1020.0
お気に入り数: 1
投票数   : 1
ポイント数 : 4

作成日時 2022-10-14
コメント日時 2022-10-15
#現代詩 #縦書き
項目全期間(2025/04/12現在)投稿後10日間
叙情性22
前衛性00
可読性00
エンタメ00
技巧22
音韻00
構成00
総合ポイント44
 平均値  中央値 
叙情性22
前衛性00
可読性00
 エンタメ00
技巧22
音韻00
構成00
総合44
閲覧指数:1020.0
2025/04/12 02時25分48秒現在
※ポイントを入れるにはログインが必要です
※自作品にはポイントを入れられません。

    作品に書かれた推薦文

火炎 コメントセクション

コメント数(2)
m
m
作品へ
(2022-10-14)

0
湖湖
湖湖
作品へ
(2022-10-15)

火、という原始的な存在はその灯す行為に本能にそれこそ火をつける原初の悦び、陶酔がありますね。私もビンテージのオイルライターをコレクションして悦に入っています。教養のある感じと火を扱う原始性が詩らしい気がしました。ただ、もっともっと私も火を引き寄せたい気がします。火を扱って人類は二百万年だそうです。普遍性のある火への思い、私はどう表現できるかな。

1

B-REVIEWに参加しよう!

新規登録
ログイン

作品をSNSで紹介しよう→

投稿作品数: 2