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ある世界の旅人B
公共電波に乗ったその子守唄を聴いて私はまた目を瞑る。 朝になれば私はその記憶を辿る。言葉の節々を思い出す。ほとんどはこちらへと渡り切れず沈んでしまっている。残りは精一杯手を伸ばして辛うじて指の先で耳介と触れ合う。例えようのないその細くて柔らかな流動体だけは脳に焼き付いて離れることはない。 車のヘッドライトが映し出すカーテンの影以外は何もない真っ暗闇だった空間。あなたはそこに色を教えてくれた。夢のような、夢ではないような時間。時計が進んでいるとかいうことはもうどうでもよかった。 微笑みを我慢できなくなったその口元はこれからの、明日への活力を持つ。きっと切れることはない。 一体全体どうしたって一日が終わればまた明日はやって来る。 私はこの世界の人間でもあり、あなたの世界の人間でもある。しかし実際はあなたの世界の人間でありたい願う私のちゃちな妄想である。あなたは旅人で、私はたまたま道端で出会ったただの旅人Bなのかもしれない。
ある世界の旅人B ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1171.5
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 6
作成日時 2022-10-03
コメント日時 2022-10-22
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 2 | 2 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 2 | 2 |
エンタメ | 2 | 2 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 6 | 6 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 2 | 2 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 2 | 2 |
エンタメ | 2 | 2 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 6 | 6 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
お目通しいただきありがとうございます。 「考えさせられる詞」という評価は素直に嬉しいです。 今回の作品は感情が平坦で面白味に欠けているなと読み直して思ったので、怒りや憎しみとかより人間的な思考を反映できるように努めていきます。 お読みくださいましてありがとうございます。
0一日が終わればまた明日はやって来る。 生きている限り、この言葉につきますね。
1この一文はあまり何も考えずに思いついたまま書いたのですが、何となく感じている生に対するもどかしさみたいなものを肯定したかったのかもしれませんね。
0受信する側の立場から、発信する側の微かだけど確かな懸命さに触れて、自分自身も同じなんだと感じ、そこに活力を見出だしているのかなと、勝手ながら解釈しました。
1答え合わせしちゃうと冷めちゃう気がするので特に言及したくはないのですが、自分とは意図しなかった解釈を目にすることができることはとても嬉しいです。 作者としてのプライドみたいなものが無いことは無いですが、私も作った本人でありながら読者でもあると思っているのでこのような発見をことはとても光栄に思います。 お読みいただきありがとうございます。
1せっかく「旅人B」という詩句を思いつかれたのだから、最後の連で説明めいたことを書くのは惜しいような気がする。 もっと読み手の想像力に頼って書いてみたらどうであろうか。
2正直な話、めっちゃ図星です(笑) 自分の詞なのに自信がないが故、このような最終連になったんだと思います。 精進します。 お読みいただきありがとうございます。
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