私はピュアではなく潔癖なんだと思う。進んで汚れて行くのだって、誰かに汚されるのが嫌だからなんだと思う。その方が汚れは落としやすい。いや、臆病なのかも知れない。高校生の頃、姉が私にセックスをしようよと誘って来たことがあった。性の目覚めが早かったし、また酒の勢いに任せて言っているんだと思っていた。だけどその日は口だけの冗談じゃなくて本当にしたかったんだと思う。陽気な目付きと声が妖艶で獲物を狙っている蛇みたいになって、声に呪文が掛かってるのか環境音が何処かに消えて姉の声と自分の心音だけが聴こえていた。睨まれた蛙みたいに、いや…メドゥーサに石にされているかのように強張って動けなくなっていた。
「昔から思ってた。あんたはいつも身構えていて力が入ってる。見てて苦しそう。私が気持ち良くしてあげるからさ…しようよ?色んな事が受け入れられるようになると思うんだ。子供なんて出来ないんだし、知らない誰かとより姉妹とやる方が気持ちも楽でしょ?」と姉が私の内心に触れてくる。社会とか道徳的な問題はさておき、私は近親相姦は初めてのセックスとしては打ってつけなのではと考えていた。根拠はないけど遺伝子も近いから肉体の相性も良さそうだし、ずっと家で互いを見てきていたから何が好きとか嫌いとか分かりそうだから。姉は私に軽いキスをする。これだってそう、私は長いキスとかしたくないしされたくない、ベロを絡ませるなんて念入りに歯磨きをしてもしたくない。それを分かっての軽いキス。伝えたことなんてないけど分かっている。石みたいに固くなった私の心身は軟体動物のように軟らかくなり、今度は力が入らなくなって動けなくなった。分からないけど、私はこれからするセックスを受け入れたのだと思う。
そうだと思っていたのだけれど倒れた私に姉が股がり胸を揉まれた瞬間、「いや!」と叫び姉を両腕で突き放した。これからする事で私がどんな風になってしまうのか、数秒の間に脳裏で駆け巡って怖じ気付いたのだ。姉はテーブルに頭を打ち痛がっていた。「あ、その…大丈夫?」と気遣う私に姉は言う。「やっぱり怖がっちゃうかぁ。じゃあさ、この格好のままやろうよ。」あんたが私を好きにしなよと姉は寝転んで両腕を広げた。
私は暫く思考が停止していたが、姉の胸に顔を埋める形で重なった。軟らかい胸に包まれながら姉の匂いを嗅ぐ。それは、シャンプーや洗剤の匂いじゃなくて姉の皮膚から出ている桃のような甘い香りがした。姉の心音が私の心音と同じように早く鳴っているのを聞いた。隙間をなくすようにドッドッと心音が鳴っている。服の上から大きな胸を手で沈めていく。すると奥の方で骨に当たった。当然なんだけど、どこまでも軟らかい胸に沈んでいくって事はないんだよね。…そのまま黙って胸を揉み続けた。時計回り、反時計回り。これじゃパン工房の人ではないかと思いながらも続けた。ここも触ってみないの?と姉は局部を指差す。ジーパンの上から鷲掴みにして捏ね回してみた。恥丘の膨らみを感じた。
終始、姉の顔は見れなかった。荒れた息遣いも聞こえないから感じているのか不安だった。私もどんな顔をしていたか分からない。不安な顔なのか、一生懸命な顔なのか、真顔なのか。とにかく局部を揉んでいると、「はいおしまい!」と姉は状態を起こした。時計を見るとあれから1時間は経過していた。その時に見た姉の顔はまたいつものニコニコとした表情だった。「こんなんでも良いからさ、またしようよ?」私は答えられなかった。暫くの沈黙の後「…じゃあ寝ようか。」とパジャマに着替えて同じ布団に入った。昼寝は特に何もしなかった。ただ、無言で身体をくっ付けたまま時間が経った。あれから互いにセックスを誘わないで過ごしている。変わらないのは、一緒の布団に寝たりすることだけ。
作品データ
コメント数 : 11
P V 数 : 1612.4
お気に入り数: 0
投票数 : 9
ポイント数 : 18
作成日時 2022-09-30
コメント日時 2022-10-24
#現代詩
#縦書き
#受賞作
#受賞作
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
叙情性 | 5 | 5 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 6 | 6 |
エンタメ | 5 | 5 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 2 | 2 |
総合ポイント | 18 | 18 |
| 平均値 | 中央値 |
叙情性 | 2.5 | 2.5 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 3 | 3 |
エンタメ | 2.5 | 2.5 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 1 | 1 |
総合 | 9 | 9 |
閲覧指数:1612.4
2024/11/21 19時55分01秒現在
※ポイントを入れるにはログインが必要です
※自作品にはポイントを入れられません。
冒頭のピュアではなく潔癖だというくだりが、本人ではなくて姉の印象をよりダーティに引き立ててるのではなかろうか。また、この手の書き物って、読みながら濡れてしまうかが大事で、私の場合は、肩を小さく雨が滲ませるぐらいだった。蛇足だけれども、私も小説の類いにトライしているけれども文体が全てだと思う。これを読んで再認識した。キツイコメントになって恐縮だけれども本作はまだオリジナルな文体を持って書かれていない。私もそうだ。しかしながら、本作は筆力ある作品だと思う。
0連作を頼んだ中でサラーと書いたものなんで、釣りたい人を釣れればそれで満足です。はい、案の定釣れましたね。まぁ、こうなるだろうなと思いました。
0上手いなと思いました。それ以外の感想は、あまりありません。すいません。正体が知りたいだけです。ごめ➰んね。
0すごいです…
0私の読み落としかもしれませんが、恐らく、近親相姦でも、姉と弟と反射的に考えて仕舞うのですが、もしかして姉と妹ではないかと私は考えて仕舞いました。私の世見落としで、弟であることを示唆する描写があったのかもしれませんが。
0ああ、迂闊でした。「しまい」とタイトルに有りますね。変な勘繰りでした。
0ありがとうございます。私が書きました。
0お読みくださりありがとうございます。 しかも推薦文まで書いてもらえて嬉しいです。
0お読みくださりありがとうございます。 そうですね姉妹であり、しまいには終いでもあります。
0貴重な体験ですね。近親相姦しかも同性愛という。いろんな意味ですごいです。
0お読みいただきありがとうございます。 でも深刻な話ってよりはちょっとしたエロい思い出ぐらいのつもりで書いてます。
0