別枠表示
小夜時雨
雨がしとしとおしゃべりしてるよ。ぼくたちが忘れてしまった言葉で歌っているね。ぼくら魚だったころあんな風に泳いでいたのさ。雨粒は小さな海だからひと粒、ひと粒に、ほらだれか泳いでいるよ、なんてひろいのだろう。眼は滲んでぼやけて、海粒が降るよ。 七十億の雨粒の海がこんなに世界を叩いているから、きみの海だってあるだろう。うそぶくよ、ぼくら魚だったころあんな風に泳いでいたのさ。うそぶくよ、ひとりで泳いでいたいのさ。 海粒の水平線があんなに丸く滲んでいるのは、そう夜明けが近いから。火にかけたポットが鳴き始め、ぼくの海はポットの熱で弾けて煙に変わって消えた。夜明けが近いとうそぶきながら、自分で自分を煙に巻いている。そんなこんなで雨も海も魚の記憶もドリップしてしまえば、琥珀にのまれてきえていく。さぁ、眠れぬ夜に挨拶してまわろうか。雨が止むまで歩いて誰かのために傘をひとつ、置き忘れてこよう。
小夜時雨 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 947.3
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2019-01-05
コメント日時 2019-01-09
項目 | 全期間(2024/11/24現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 0 | 0 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
雨がしゃべっていると思い込んでいる。そして自分が魚だったとにんしきしている。しまいには夜、という概念に挨拶をしてまわろうかと言っている。ある疾患の症状に当てはまっている気がします。
0オオサカダニケ 様 おはようございます。そのコメントはあなたがいう疾患の人物を描いた作品と認識しているのか、ぼくがその疾患ではないかということなのかどちらなのでしょう? どちらにしても、なんのためのコメントか意味がわからないですね。思わせぶりなコメントをされても、だからそれがどうなんだ、としか言えません。
0沙一 様 コメントありがとうございます。散文的なものに挑戦してみようと書いたのですが、お褒めの言葉嬉しく思います。実は安部公房、あまり読んでいません。ですが、よくその名前を出されることがあり一度、読んでみようと思っています。
0選評対象という感想です。多く語ると選評書けなくなっちゃうです。申し訳ないです。
0つきみ 様 コメントありがとうございます。選評、もし入るなら楽しみにしております。
0初読時に、良い作品だと思い、今コメントしようと思って再読したのです。重箱の隅をなんとやらみたいで恐縮ですが、三連目の「そんなこんなで」という言い回しがどうしても気になりまして。ここが詩情を崩しているように思えまして。(いつも素直に褒めてなくてすみません笑)でも素敵な作品だと思いました。
0みうら 様 うーむ、みうらさん良く作品を読んでくれてますね。妙に鋭い。嬉しや。 そんなこんな、の箇所ですが誰かが突っ込んでくるだろうなぁ、と思いながら投稿しました。競馬で言うと(競馬である必要はないが)、御しきれずに少しヨレてるんですよね。詩情が表現しきれてない。ただすべて書くと余裕がない詩になる気もしていて、あえて遊びを作って余したぐらいが良いのかもしれない。それは今後の課題、ということで。ありがとうございました。
0「うそぶく」という言葉には、”知らないふりをする”という意味と”豪語する”という意味がありますが、2連目の「うそぶくよ、ぼくら魚だったころあんな風に泳いでいたのさ。」における「うそぶく」は前者の意味で、「うそぶくよ、ひとりで泳いでいたいのさ。」における「うそぶく」は後者の意味なのかなと思いました。 「雨が止むまで歩いて誰かのために傘をひとつ、置き忘れてこよう。」なんて素敵なフレーズでしょう。素晴らしいと思います。
0alice1017 様 様々なところを皆さん読んでくださり、嬉しい限りです。うそぶくの微妙なニュアンス。日本語の表記のおもしろいところですね。コメントありがとうございます。
0