いつの間にか
迷い込んでいた森は
思ったよりもずっと深い
わたしは見渡す限り一面の
四角い湿った木々の間を歩いて
ひしめく壁をひとすじ走る路から
粉薬をたくさん溶かした曇り空へと
曖昧につながっていく透明定規の
目盛りの消えた平らな点に座り
弛んだ二の腕を汗で濡らして
赤く、まるいプラムを齧る
口から感じて沁みる酸味と
窓の外の記憶にない記憶。
(かつて
やつらが
はがねの
はぐるまを
まわして
あめを
あつめて
はじいた
とき
こがねの
めがねの
てまえに
あせが
ぽつり
うかび
ひかり
そらが
くもが
こころが
まとめて
はじけた)
堅い木の椅子から立ち上がれないとしても
心は、いつも、どんなに幻でもいいから
せめて見覚えのない港の白い灯台の
見渡す範囲を広がっていたいから
わたしはいつもコピー用紙で
空をあおく、あおく、磨く。
やがて、その奥の層から
生成りの沁みが、ひとっ、ひとっ、浮かび、
いつしかすっかり撓んだ薄墨に広がって、
音に先駆け、一斉に夕立が落ちてくる。
皮膚に沈んだいくつもの汚れを、
強く、激しく叩き、解かして、
血が滲み、
膿が溢れ、
腿を伝い、
渠に潜り、
川を流れ、
膿が流れ、
海に流れ、
膿が広がり、
海を広がり、
海が、
広がり、
空が、
広がり、
森に、
空は、
青く、
広がり、
いよいよ、
やつらがやって来る。
さあ、いっしょに海へいこうよ!
空に向けて突き上げたまっ白な左脚
右脚を軸に急速に巻き戻された上半身
二次曲線を描いて撓ったわたしの右腕から
お日さまめがけて放られた革新素材の心臓を
せえので駆けて、全力ダッシュで追いかけて!
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作品データ
コメント数 : 30
P V 数 : 1446.8
お気に入り数: 1
投票数 : 7
ポイント数 : 10
作成日時 2024-07-04
コメント日時 2 時間前
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/07/06現在) |
叙情性 | 5 |
前衛性 | 0 |
可読性 | 5 |
エンタメ | 0 |
技巧 | 0 |
音韻 | 0 |
構成 | 0 |
総合ポイント | 10 |
| 平均値 | 中央値 |
叙情性 | 5 | 5 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 5 | 5 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 10 | 10 |
閲覧指数:1446.8
2024/07/06 20時41分27秒現在
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こちらの作品に寄せられたコメントが読めない、表示されないのって私だけですか?それともとりあえず票だけ入れられた感じでしょうか?
2票だけ入れました。コチャコチャいう必要がないと思ったので
3滲みながら澱みながら流れて、精一杯両手を広げ「さあ、海へ行こうよ!」とあえて明るく誘う。 その両極端な暗さと明るさとのギャップがとても印象つけられていて良いと思いました。
2対比の演出があるのだけど、 そこを丹念にきっちり説明したり、描写したりしようとはせずにあえて理知的に書こうとしないところが「よい」のか、わたしとしては、いったん判断を留保したいです。 「窓の外の記憶にない記憶」、 この窓の外から届けられるイメージが 森ー暗さ 海ー光、 と続いて、 空ー夕立 海ー膿 といった具合に、つねに言葉が対比運動しながら展開していって、 午後、目の前の風景を見つめながら、 「強く、激しく叩き、解かして、血が滲み、」 と身体的な苦痛が襲ってきた一瞬に、 これも窓の外から?だろうが、 「海が、 広がり、 空が、 広がり、 森に、 空は、 青く、 広がり、」 「やつらがやって来る」 そこから爆発的な自分の生をみとめる者がいて、 構成意識があるのはわかるのですが、 粗いですね。 いちおう、カタルシスが書かれていますが、 「きちんと」書かれているとは思いません。 暮らしの匂いがしなさすぎ、グっと胸にせまるような泣かせる?場面がなさすぎ。最後は、ラノベの世界という感じで、このちょっと”粗い”感じもふくめ、覚えあるなーと思います。あえて名をあげると、佐藤友哉に似てるかな。 すみません、いまの読んですぐの感想でした。佐々木さんは凄い。
2息を呑む世界観。アクロバティックなラストに撃ち抜かれました。 自分のポエムがいかにどん百姓臭いかを思い知らされる作品です。佐々木さんのスタイリッシュなポエムと並べるとそのコントラストに愕然とする
2↑ペエタくん。~如何にどん百姓臭いかを思い知らされる~言語学の教授でもないのだからいちいち細かいことは言いたくもないけど、こういう表現は相手を称えるときに使うべきではないよ。真摯だとは云えない。自分に対してのコメントへの返信ならばかまわないが、自分を卑下する表現で相手を称えるというやり方は不信感を与えて返って失礼だと私は思う。垢抜けてない、とか普通に書き込めばいいのだ。よ。と。
1失礼しました。真摯に取り組んでおられる方々には無遠慮な言動が鼻につくかと思います自分の存在に関しては。 ただ、私は悪意があってこういった物言いになってるわけではないのです。自分が幼稚で、調子にのりやすく自己コントロールが不得意な人間であるという自覚はあります。あらためて反省いたします。ご助言ありがとうございます
1詩を読んでいて、ああ、いいなあ詩っていいなあ と感じられる瞬間てのはその書き手が 詩によって自由自在になっているなと感じられるとき。 こちらまでその自由がもらえる。ともに自由になれる。 最近の投稿にもそういうのいろいろあるけど 中からひとつ挙げるとすれば 「ストレスドデザーツ(菓子めいたタイめしか) 」のような作品。 巧い下手は関係ない。 そういう詩になってくれればいいと思う。
0ハツさん、もし感想などあれば遠慮なくよろしければお願いします。(わたしも最初コメントが見れなくなったのかと思いました…)
0ありがとうございます。
0ありがとうございます。
1この詩何度か繰り返して読んでるのだけれど、う~ん、よくわからない。お題はリボルバー。途中( かってやつらがはがねのはぐるまをまわして~)これがあるのでリボルバー(回転式銃)なんでしょうが、急に緊張感ある綴りで展開される。リボルバー。これはどうしてなのか、いまいち掴めない。~いよいよやつらがやってくる。このやつらが終わりのほうにも出てくる。やつらとは一体何者なのか。これも鍵になりそうで……あたまを捻ります。 どうやらですね。想像するにミューズ(詩神)女神のようなものではないかしらん。とかとんちんかんに思ったりしてみたり、 、しかし格好いいすよね。リボルバー(回転式銃)この耳触り。わたしら前後から上の世代まで、リボルバーと聞き及べば銃よりも先に、ビートルズのレコードタイトルを思い浮かべるはずです。あの頃のビートルズはゴキゲンなリフに引っ張られて、シンプルで格好いいタイトル曲が多くありますね。デイ.トリッパー。ペーパーパックライターetc. まさか、まさかオヤジ心をくすぐるつもりで……このタイトルを無理強いにして…でもないか。う~ん、また再度読んでみます。
0書き忘れちゃいましたが、刺激的な文体にはやられましたね。ロシアンルーレット。
0乖離(同一性拡散)や分裂(統合不全)の強く匂う寓喩、自害や失血を思わせる選語。いかにも病的で不穏な印象を受けました。(この印象が作者にとって不本意な誤読であるなら、その不本意を回避できるよう改訂することをおすすめします) 病的で不穏な表現への言及は、品性を問われるので憚られます。特に乖離や分裂は過当競争の話材なので、要求水準も跳ね上がります。評価を得るには不利な作風ですが、論評に充分に値するよい作品だと思いました。寓喩が独善的でなく、スタイルが洗練されていて、可読性と芸術性が両立しています。特に「わたしはいつもコピー用紙で/空をあおく、あおく、磨く。」のくだりは圧巻の描写です。
1乖離や分裂症。さすが澤さんだな。病理学的な観点から内面の精神性で捉えている。 そうして読むと~やつらがやってくる。とは女神の姿をした何か病的な悪魔(悪夢)のことかも知れない。 これね、冒頭はセザンヌの立体的な空間から抽象絵画へ向かうモンドリアンの構図もイメージとして浮かんできて、それが突然( )告白に変化してしまうという不可解さに泳がされてしまう。 そうだな。内面的な描写を強く意識すればこの詩は夢と現実を乖離分裂させてみているのかも知れない。悪夢から逃れたという願望で。ロシアンルーレットの弾を外したい。タイトル「リボルバー」とは、つまり運、運命を指す意味なんだ。
2>内面的な描写を強く意識すればこの詩は夢と現実を乖離分裂させてみているのかも知れない。悪夢から逃れたという願望で。ロシアンルーレットの弾を外したい。タイトル「リボルバー」とは、つまり運、運命を指す意味なんだ。 わたしは詩に絶望ばかり求めてしまうたちなので、そんな発想ぜんぜんなかった。人様の読解最高。 ※註※ アラガイさんのおかげで重要なコンプラを思い出したので註記しますが、上で述べた乖離とか分裂とかいうのは、病理ではなくポスモの概念です。
1!そうだ。どちらかといえばアポフェニー精神病理学の分野ですね。ポスモ?ポストモダン。現代思想ですか。ローティだな。
2コメントありがとうございます。書いていく中で気がつけばこういう感じになってました。もうすぐ夏です。
2この作品は読むのではなく、まず自分の手を、指を見なくてはならない。 (手と手を広げてウォームアップ。まずは自分の固くなった指の関節をならしながら)。 小指から始まり、まずは親指まで。 そして親指から始めて、小指で終わる。 D.C. そしてB to C. ACDCのごとき稲妻を予期するのは気が早い(木々の湿り気を感じているだけだ)。 ここまでは「空」ではないのだから「ひとすじ走る路」にそって、指を動かし、なぞっていこう。 そして辿々しい(むしろ初々しい)指の運びと、 言葉に追ってそれぞれの音を確認していこう。 話が見えない? それはそうだ。指を見ているのだから。 手と手を動かすのが疲れたのなら、そっと下ろし、目に映るものに焦点を写そう。 「いつの間にか」ドの短弦に小指を落とし、 「見渡す限りの」「四角い湿った木々」を通り、 長弦を親指に落ち着かせるのはピアノの弦の階層。 つまり、ここまでは音階:Scale.(古語écale)の確認。 それは「鱗、外殻、種皮」を意味しているという。 として、題名「リボルバー」の展開/転回にまで迫っていこう。 (次回はもう少し滑らかに指と言葉を運びたい) 今日はここまで。
0ひらがなだらけの部分がリズミックでいいと思っていたら、似たような箇所が、今度は漢字交じりで再現されていました。とは言っても内容的には著しく変化していますが。4,3。3,4のリズムですかね。5,7.7,5よりはリズム性が感じられないのかもしれませんがそれに準じるぐらいのリズム性は感じられました。
1佐々木春さん、夏といえばばなぜか人は開放的になりますね。 奔放で悦楽的で堕落していて、どこか遠くかすかに死の香りもする、そんな底知れぬ魅了を秘めているのが夏だと思います。
0メルモsアラガイと澤のポスモ?漫談最高だね。 めざしをおかずに貧しい夕餉をとっていたから 鼻から吹き出してしまった。もっとやってほしいね。 いいコンビだと思う。
0えーと、コスモポリタンから帰ってきました。澤さん、冷蔵庫からフルスパ爽やかに美味しかったです。 えーと、また玄関口のベンチで何をしているのか。腰の曲がったお婆さんがじっと何かにすがって立ち尽くしていました。まだ暗い夜明け前です。中で配達を終えて出て来たわたしをチラリと見てゆっくり動き出しました。腰を曲げた糸人形のように。わたしのヘルメットに装着したライトに反応したのでしょうね。たまに姿を見せます。 掃除をしているときもある。今朝は何もしていない様子でした。 院内のベッドには人工呼吸器を装着したお年寄りがいて、眠ったまま機械の音だけが反応している患者さんもいて、藻掻きながら身体をくねらせて奇声を発する人もいるのでしょう。 夜明け前のお年寄りを見れば胸に熱いものがこみ上げてきます。 その度わたしは安楽死の薬を手に入れておきたい。そう思うのです。 精神病理学なんてコメントしたら作者様に於かれましては何やらぬ怪訝な思いをされるかも知れない。はやく書いて置けばよかった。澤さんもおっしゃっておられるように、これは作品から得られるテクストを基に介した読み手の情報というだけの話しなので、どうぞ作品と作者ご本人とを切り離してお読みくだされば本望でございます。 なんて丁寧な言い方になりましたが、そういうことなので宜しくです。
2>精神病理学なんてコメントしたら作者様に於かれましては何やらぬ怪訝な思いをされるかも知れない。はやく書いて置けばよかった。澤さんもおっしゃっておられるように、これは作品から得られるテクストを基に介した読み手の情報というだけの話しなので、どうぞ作品と作者ご本人とを切り離してお読みくだされば本望でございます。 書き忘れてたコンプラをアラガイさんが完璧に書いてくれてた。お手数おかけしました。これ以上の返信は作品と関係ない話になりますので、雑談スレに書き込みますね。
1澤あづささん、アラガイさん たくさんコメントいただいて返信しきれていませんが、わたしもそのようなことと考えていますのでだいじょうぶです。むしろいろんな観点からコメントいただけてありがたいです。お気遣いありがとうございます。
0おまるたろうさん、コメントありがとうございます。 「暮らしの匂いがしなさすぎ、グっと胸にせまるような泣かせる?場面がなさすぎ。最後は、ラノベの世界という感じで、このちょっと”粗い”感じ」 ということろ、暮らしの匂いのところは自分としてもよくわからない(なぜそうなるのかわからない)のですが、他のところについては、完全に「グッと胸に迫るものにようなもの」にはしなくない、どこかよくわらないものとして読む方の余白みたいに置いておきたいという気持ちがあらからかもしれません。良し悪しは別として。 ただ、それもご指摘いただいてはじめて気がつくところですので、丁寧に読んでいただきありがとうございます。
0ぺえ太さん、コメントありがとうございます。ほめていただきありがとうございます。よい印象を与えることができたのならよかったと思います。
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