君は言葉を引き摺り出し
いや、言葉が君を引き摺り出し
現実という荒野が現れる
夜明けの
記憶の地平線に見えかくれするのは あれは
音速で駆け抜けていく無数の
モンゴル馬の
立髪
か
そして
昨日君が見たのは
外に出ようと
水槽の側面板にへばりついた草亀が
甲羅から仰向けに
ひっくり返った
夢
あれは何か?
あれは
立髪の夢が
いや 夢の立髪が
アクアリウムの光の中で
水草のように揺れているのだが
言葉にならない言葉が
夜明けの荒野で
瞬く間に
無数の
白骨となる
悼んでいるのは
君というぼくであり
ぼくという
夢の樹海だ しかし
言葉という荒野に
棺はいらない
ネアンデルタール人の手向けた
ヤグルマギクのような
天に昇る香気が
必要なのだ
ああ 進化とは
なんという退化なんだろう
今夜ぼくはきっと
君に内緒で
アンドロイドの夢を見る
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作品データ
コメント数 : 2
P V 数 : 551.3
お気に入り数: 0
投票数 : 1
ポイント数 : 10
作成日時 2022-09-10
コメント日時 2022-09-10
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/07/06現在) | 投稿後10日間 |
叙情性 | 5 | 5 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 5 | 5 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 10 | 10 |
| 平均値 | 中央値 |
叙情性 | 5 | 5 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 5 | 5 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 10 | 10 |
閲覧指数:551.3
2024/07/06 20時30分53秒現在
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凄いですね。凄い。言葉のチョイス、組み合わせ、詩の構成。あるゆるものが及第点以上。いや、何を描こうとしているのかどうでもよくなるくらい、言葉の波、渦に身を委ねていたい気分。危ういところも描いているのに邪念がない。浄化された詩として「読める」エンターテイメントに仕上がっている。いや、本当素晴らしい、グレート!よって花丸の満点を差し上げます!
0ルネ・マグリットとかジョルジョ・デ・キリコといったシュールリアリズムの画が好きで、あんな世界を言葉でやりたかったんです。 それからもうひとつ試したのは「一人称」の解体。ぼくにとっての「我」を「君」と相対化してみました。デカルトの「我思うゆえに我あり」の「我」の支配する世界って、言葉にとっては索漠とした荒野じゃないのかなって思いませんか。 誉められ、とても舞い上がっている薄楽より
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