子どもの頃の願い事。
覚えていますか? 私は忘れました。
彦星と織姫が会える。
喜んでいますか? 私はそうですね。
で、はい終わり。
笹の葉さらさら。歌う声。
私たちが幼く純粋すぎた星だった歌声。
願い事はさ、もういいか。
空の上の恋人を想ったとて
私の何かは、変わるのか。
空は曇り。雨が止まぬうちに夜が来る。
ほら、雲の上では星が笑っていやがる。
星は生まれ、燃え尽きぬ。
やがて勝手に消える幻想で
我々が見ている星の真実は。
何千年前に生まれて燃え尽きた
彼らの残骸を見ているのだ。
天の川。それは、きっと星たちの墓場。
星たちの願いが、散らばった鮮やかな死体。
彼らを見て美しいと思うのは、我々だけ。
燃え尽きた星は、誰にも知られず死んでいく。
死んだら星になるなんて、そんなの嘘だ。
誰にも知られず孤独に生まれ。
誰にも知られず孤独に消える。
そんな選択肢を私は認めない。
もう彦星と織姫は
とっくに燃え尽きているのかもしれない。
それでも願うのは何故?
笹の葉、さらさら。天の川。
今日も誰かが星の過去を指さして
「ほら、綺麗だね」
と笑顔で囁いた。
今日も、星は綺麗ですね。
「ああ。」
そういえば。
「うむ。」
自分の願いを、少し思い出したんですよ。
「ほう。」
でも、叶っていないことに気付きました。
「はて?」
だって、私はまだ息をしているじゃないか。
「ははは。」
ははは。
作品データ
コメント数 : 2
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作成日時 2022-07-07
コメント日時 2022-07-08
#現代詩
#縦書き
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2024/11/23 18時53分49秒現在
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失意を書くのには詩は不向きがします。希死念慮を星の死に重ねて、宇宙が孤独でしかないとき、何を手繰り寄せましょうね。明るい小学生のような希望にも共感は得られにくいでしょうね。なにか突破する力が欲しいです。私も身に覚えがあります。
1湖湖様 コメントありがとうございます。 >失意を書くのには詩は不向きな気がします というコメントについてですが、失意や絶望を描いている詩人は沢山います。例えば、萩原朔太郎や実子を失ってからの中原中也の作品は私にとって大きな影響を与えました。 ある作家何人かは「絶望、病んだ精神が無いと文学は完成しない」などと論じていたはずです(曖昧な記憶ですが。) 私の作品に関して、賛否両論あるかもしれませんが、綺麗事だけ書くような詩は私は好きでは無いのです。 読んでくださってありがとうございます。
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