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霧雨
剥奪される霧雨の軽さの中に散乱する白という白の拡声する呟きは、枠の反射光をも擂り潰してしまうほど戦いていたが、膠着する怪しい静けさを取りこぼして、忍び足で通り過ぎる再受肉した亡霊のように、窓ガラスに両手をついて中を覗きこむ透明な眼球の化身、溶解する声、傾いた針の頸が流れ去る そろりそろり 何も称揚されない灰染めの空間に、さーっとすり抜ける尾の跡は、溝という溝を舐め尽くしても、濡れた視線は捩れたまま戻らず、線形関数の悲哀は慰められることなく折り畳まれて、下水口にしまわれ、その最中にも途切れた溝に戸惑う尾の跡の逡巡は拾い上げられ、今なお痙攣し続ける椎骨の鎖に浸されてゆく 対流する/水銀の霞 岩に/刻まれた//咆哮の爪痕 偽陽性を//示す声紋の/比重 沈み/ゆく羽音の//黎明 白光//の憧憬を/も 隠蔽する//凋落に そろりそろり 屹立する壁面に顕れる菌類の落胆は、亡命する前衛の硬化しつつある呼び水の、換気できない罅という罅に芽生える応力に瞬く粒になだめられ、忘却される剛性の罠と、詐称する弾性の臨界点に、降下できずに座礁する菌床の基底は、やわらかいみずのすなじにうきでるなまあたたかいかすかなながれをもとどめてしまうほどのすえたおもいふしょくのきりさめがただよううすぐらいげすいのくうかんにとりのこされて 剥奪され・・・る軽さ 灰・・(染めの)・空間 屹・立す・・・る壁面 白という白 溝という溝 罅という罅 そろりそろり
霧雨 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 774.2
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2017-10-28
コメント日時 2017-11-01
項目 | 全期間(2024/11/23現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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可読性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
剥奪、散乱、膠着・・・と戦闘や暴力をイメージする、郷土のある言葉と、霧雨、というやわらかなものとの取り合わせ。再受肉した亡霊、透明な眼球の化身、といった、ゴシックホラー的なイメージ・・・ 濡れた視線、痙攣し続ける椎骨の鎖といった、エロティックなイメージも、ゴシックホラー的な世界に結びつくような印象を受けました。 詐称する弾性、座礁する菌床、と硬質な言葉のイメージと、音が引き出す言葉の連鎖のあとに、流れるように綴られるひらがなの波・・・。きりさめ、げすい、くうかん、と、前半がここで、やわらかく再現されている、と見ればよいのか。 意味を辿る、というよりも、感覚や質感を辿る、作品なのだと思いつつ・・・いささか実験性が強すぎないか、という思いもあるのですが。 硬質の観念どうしがぶつかり合うような空間を濡らしていく霧雨のイメージ、そこに拡散する白、明確なイメージを取ろうとする、その意識を寸断していくような、/を多用した行替え部分。 灰染めの空間で崩壊していく(溶けていく)硬度。ひらがなでやわらかに馴染んでいく言葉の流れ、その中から夢の中のつぶやきのように取り出される 白という白/溝という溝/罅という罅・・・捉え難い感覚はありましたが、硬質な世界から柔らかな世界に解かれていく感覚に身を任せながら、やわらかい雨に濡れるような感覚を味わう詩だなあ、と思いました。
0まりも様 この詩は意味よりも、霧雨の降る日の感覚や感情を主体にして書いたものです。 やはり無意識に身構えて力んでしまうのか、硬さがなかなか抜けません。 まだまだ己の未熟さを思い知らされます。 詳細なコメントをありがとうございました。
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