窓の外笑顔だみんなくちあけて
エアーのたらぬ
魚だからだ
僕のいるこの部屋だけがエアーを充填されて
くちをあけぱくぱくせずとも
生きていける
くちをぱくぱく
食べ物さえも
じきに要らなくなるだろう
窓からは
色々なものが見えるだろう
みんな笑顔でくちあけて
エアーのたらぬ
魚だからだ
僕だけが笑っていないのだ
エアーのたらぬ外の景色は
音を反響させることもなく(真空だからだ)
互いの耳に静かにくちづけては
互いにエアーを脳に送り合う
だからみんな仲良しで
持ちつ持たれつ
やっているやっている
白色の陶器の流し台に
「ぺ」と吐いた唾
ぬら 死の磨きたて
白色陶器 血混じりの
吐いた唾 とか僕の夢とか
わずかな音 唾 ぬら 垂れる音
それすらも もうそろそろしなくなる
僕の部屋すらもうすぐ真空で
マイナス二七〇度
窓から攻めくる陽射しに
僕は喜ぶ
彼果てる迄
枯れる迄 果てる迄
体に蓄えた水分みな ぬら
口から吐いて
蒸発 結露 横顔 外は 宇宙デブリ混じりの
雪
飛沫 デブリ 白色 くちぱくぱく
しん(耳が痛いほどの)
あんなに食べて大丈夫なのかなあ
やっているやっている
あんなにまみれて大丈夫なのかなあ
霜焼けたデブリに
灼ける迄
作品データ
コメント数 : 12
P V 数 : 2060.2
お気に入り数: 1
投票数 : 0
ポイント数 : 19
作成日時 2020-06-03
コメント日時 2020-06-12
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/23現在) | 投稿後10日間 |
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 1 | 1 |
可読性 | 2 | 2 |
エンタメ | 13 | 13 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 1 | 1 |
構成 | 1 | 1 |
総合ポイント | 19 | 19 |
| 平均値 | 中央値 |
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0.5 | 0.5 |
可読性 | 1 | 1 |
エンタメ | 6.5 | 6.5 |
技巧 | 0.5 | 0.5 |
音韻 | 0.5 | 0.5 |
構成 | 0.5 | 0.5 |
総合 | 9.5 | 9.5 |
閲覧指数:2060.2
2024/11/23 16時57分59秒現在
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多宇加世さんへ 冒頭三行は短歌のリズムですね。他にもあるのかもしれないけれど、私の中に短歌のリズムが馴染んでいないので見つけられませんでした。 私は朗読が好きなので本作も音読してみました。後半の短く区切っていくところでさえもリズムを取るのに苦労することがほとんどなくて、私のリズムと合っているのか、いや、多宇加世さんは読み上げながら詩作する方なのかしら?と思ったりしました。それくらいに音読しやすい。 余談ですが、最近たまたまApple TV+で「スヌーピー 宇宙への道」を見ていたので、宇宙デブリにも躓くことなくすんなり受け取れました。何が幸いするかわからないですね。
1「私は朗読が好きなので本作も音読してみました」音読していただいて嬉しいです。僕自身は詩の朗読が照れてしまってまったくできない人間なので。でも仰るとおり、音読しやすいように(いつのまにか、だったり後付けだったりするのですが)意識して(?)書いています。ただし、僕はやはり音読ができない(しない)人間なので、いつも頭の中で音を響かせて書いています。 「後半の短く区切っていくところでさえもリズムを取るのに苦労することがほとんどなくて」言及されている箇所は一番意識したかもしれません。この箇所は、想像以上のものになったと喜んでいたところです。 宇宙デブリが登場するなんて、そういうところがスヌーピーの魅力ですよね。検索したらとても面白そうでした。教えてくださりありがとうございます。
1多宇加世さんへ > いつも頭の中で音を響かせて書いています。 やはりそうですか! とてもいいですねえ。 詩の朗読というと、なんか朗々と読み上げるみたいなものを想像されるかもしれませんが、私はそういうのが苦手なので少々変わった朗読をします。6月の私の投稿作「鳶に油揚」を見ていただくと、「ぬら 死の磨きたて」を私がどのように音読するか想像していただけるかもしれません。よかったらご笑覧ください。 そうそう、前のコメントで〈冒頭三行は短歌のリズム〉と書いたのですが、反応がなかったということはあまり意識されていなかったのでしょうか。私は声に出した瞬間、31音だ!ってなって、もしや多宇加世さんは短歌の人??と思ったのですが。
1「鳶に油揚」読ませて(聴かせて)いただきました。自作がどのように読まれるか、少し想像できた気がいたします。ありがとうございます。 「短歌のリズム」というのは大正解です。この「ぬら」は一度、いくつかの連続する短歌として作り上げたものを新たに繋げて作ったものなのです。冒頭に偶然、短歌の形のまま一つ残ったのです。先日のコメントで拾えずすみません。ちなみに自分は短歌の才能がなく、それを消化する形でこの詩を作りました。川柳はやってますが、短歌の人ではありません。ご考察、鋭いですね。ありがとうございます。
0多宇加世さんへ あわわ、コメントが拾われなかったことを責めているわけではないのです。 私は定型詩にはあまり馴染みがないので、もし私が本作の作者であったなら最初の三行の後にきっと一行あきを入れるなと思ったんです。けれども多宇加世さんはそうされなかった。ということは、偶然31音になってしまっただけなのか、31音を特別なものと思わないほど慣れ親しんでいるかのどちらかだなと思ったのです。やはり三十一文字に馴染みのある方でしたか。 元は連作だったのですね。なんだか見方が変わってきそうです。読み直してみます。 拙作も見てくださったようで、ありがとうございます。
1冒頭から言葉のセンスやリズムが好きだなぁと思いました。 リズムをわりと一定に保ちつつ進むのかな?と思っていくと最後のほう変わってきて、 それが『無くなる?食べられる?死?』なのか、そんな結末を盛り上げてるようにも感じました。 過去作もさっと読ませていただき、今作はより情緒というよりはポップな気もして、 自分は好きですが、その辺は人それぞれ好みもありそうですね。 ぜひ他の皆さんのコメントも見てみたいです。
1「僕」だったのが「彼」に変わったのが気に入りました。 「僕」のときは読み手の私の手元の近くにある感じだったのですが。 「彼」に変わって終盤へ進むと この作品が私の手元から遠くへ離れていってゆく感じがして、おもしろがれました。
1空気不足の魚の顔と笑顔を重ねるのは興味深いですね。なるほど、と。そして、空気も食べ物も充足している自分は、笑顔を作れない。んー、真顔なのかな? 外を冷静に眺めている様子が伝わって来ました。鮮度の良い表現力、そして全体のバランスを整えるのが上手ですよね。先月分も読ませて貰ったのですが、全体のバランスはどれも良くて。きちんと繋がりを保ったまま進んでいくので、振り返りに耐えられる作りになっていますよね。 前半部分、もう少し削ってもいいかと思ったのですが、後半とのバランスを考えれば、大体半分ですからいいのかな。前半は頭を使って読ませる文章で構成されているので、冷静な意識になってきます。そうなると、インパクトが弱く、長く感じてしまうのかも? 個人的には、前半の方が好きですけどね。 後半のガツン! と来る感じ。こっちには確かな強さを感じます。わたしはイメージが浮かびにくい作品が苦手なので、どう評価しようか迷うところなのですが、好きな方は好きだろうな~って思いました。言葉選びと配置に独特なまとまりを感じます。
1「31音を特別なものと思わない」多分それで合ってるかと思います。慣れ親しんではいませんが。 リズムに気を遣い読んでくださってありがとうございます。いろいろな読まれ方がされて嬉しいです。
0好きと言ってもらえてうれしいです。 ポップなものは好きです。 過去作も読んでいただいたとのこと、ありがたいです。
0コメントを読んで、僕はれいんまんさんの読み方が面白かったです。 それは決して今作の読み方を間違ってて興味深いというのでなく(だから僕が決して怒ってるとかではないのはご理解ください)、なにか、ユニークなところに目がいくかただなあ、と率直に感じたのです。 「僕」の時は手許にあって、「彼」になると遠くへ離れていく……。 非常に勉強になりました。ありがとうございます。
0読んでくださり、またコメントくださりありがとうございます。 「前半は頭を使って読ませる文章で構成されているので、冷静な意識になってきます。そうなると、インパクトが弱く、長く感じてしまうのかも」すごく勉強になりました。いつかこのご感想が活かせればいいなと思います。 「言葉選びと配置に独特なまとまりを感じます」これに関しては意識している部分とそうでないところがあります。もっと自己分析できればいいなと思っています(自己模倣というわけでなく)。
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