傷付いた分
何か深いものが生み出せる
そんな風に思い込んでました
だけど私は何の感動も生めず
ただ無駄に傷付いただけで
今更それに気付いても手遅れで
重傷で次は死んでしまいそう
私はあなた達が羨ましい
傷付かなくてもやって生けてる
私はイケない人でした
私は生けない人でした
強く鳴きましたが
誰も覚えてくれません
皆も騒いで居るからだと
今度は黙ってみましたが
気味悪がられてしまいました
ならばと最初に鳴きました
協調性が無い奴と言われました
今度は遅くに鳴きました
バカな奴と言われました
もうどうしたら良いか分からず
誰も居ない場所で
ずっとないてました
生き生きとしたあなたの色や
輝きを私が台無しにして
周りを私で染めたいわ
誰も分かってくれないの
この問題は深刻なのよ
ひとりで持つにはとても重い
漠然とした虚無と孤独
陽気なあなたには伝わらない
深刻なあなたにも伝わらない
その狭間で私は押し潰され
些細な事で明日いなくなる
待合室にポツンと座る
名前を呼ばれるのを待っている
だけど全く呼ばれない
そうしてるうちに夜になり
病院は受付が終了し
私は診察室で寝た
きっと私は患者です
何かが辛いんですいつも
きっと病気なんです
いつも辛いんです何かが
答えに出来ないものを患って
誰にも診れない
誰にも見えない
外は真っ暗だ
波のように押しては引く車の音
目覚めた布団の中で
じーっと聴いていた
私は起きて直ぐに煙草を吸い
飲みかけてた酒を口に運ぶ
再びぼやけろ
この現を寝惚けて終いたい
見境がなくなって
全てがどうでもよくなって
そのまま消えてしまいたい
それでも消えない
完成された私と世界
私は使えない私を横に並べる
駄目だ駄目だと私は呟いてた
そして射殺している
私はそんな毎日を過ごしていた
終わりの見えない日々だ
そんなある日
突如私は捕まった
私は私の横に並ばされた
もう駄目なんだと呟いた
そして私は私に射殺された
私も私みたいになるのかと
私は私に問いかけた
死期を知らされたとして
残された時間
全力で生きられるだろうか
私の事だからそうかと
諦めてしまうだろうな
何も遺せず
成し遂げず
覚えても貰えず
引き継がれず死ぬんだろうな
自分の事なのに
向き合うのが面倒で
へぇーそうなんだと他人事で
周りの人に
それで良いのかと問われながら
私は死ぬ
てるてる坊主
私はお前がとても嫌いだ
たかが丸めたティッシュの塊
吊るされてるだけ存在の癖に
皆から期待される
たまたま晴れただけなのに
あなたのお陰と感謝される
人の為と頑張って来てる私を
高い所から見下ろして
その笑顔はなんだ?
嘲笑ってるのか?
私も吊るされて
皆から感謝されてやる
ろくに開けない冷凍庫
久し振りに整理してたら
化石みたいな私を見付けた
何時の時代の私なんでしょう
とても寒かったのでしょう
母の中を思い浮かべた格好で
小さく丸まって
黒く干からびていました
もう調理はしてあげられないと
生ゴミの袋に混ぜて
ゴミ収集車が回収する
私は私を救えない
悲しい事ばかりですが
辛い事ばかりですが
そんなに泣けないもんです
良くも悪くも気持ちは
そんなに長続きはしません
同時にそんな出来事も
そう長くは続きはしません
また来る事に悲観しますが
結局は終わってしまうのです
その後は何も無い訳じゃなくて
知らずに答え持たされて
また生きてる
私に付けられた切り取り線は
誘惑の紋章
町では刃物が沢山売れました
人は私を切り取りたくて
刃を隠さずに駆け寄ります
逃げ惑う私
まるで狂乱の舞踏会
なんて殺意と注目なのだろう
これが女としての快楽なら
きっと私は幸せでした
乱暴に切り裂かれてた喉笛で
奏でる途中で死にました
ある日に道を歩いてると
ゴスンと頭に鈍い音がしました
出血もしてました
地面には石が転がっていて
私の字で
死ねと書かれてました
人を憎んだ言霊が
どうやら帰ってきたようです
ふと空を見上げると
隕石のように降り注いでました
私は私の過去の吐いた言葉に
どうやら殺されるようです
弱虫はここに居ます
強い虫はおりません
泣き虫はここに居ます
鳴き虫は草木におります
腹の虫は沢山おります
収まりませんが腹が減ります
虫酸が走りますが
事態は動いてくれません
虫の知らせが届きました
あなたの事が気になりました
既に虫の息です
私はそれを無視できない
虫ケラと扱えない
私が居ないと駄目なんて
そんな事はありませんでした
疲れ果てた私はある日
家の明かりが付いていたので
こっそりと窓から覗けば
知らない誰かを連れ込んで
私の時とは違う
まともなあなたの会話が
部屋の中から聞こえました
あなたに私は不必要で
私があなたを駄目にしてました
芝居をしてる訳ではないです
でも本当の私を
誰もちゃんと見てくれません
人は自覚の無いイメージで
私を知ったように語ります
本当の私は違います
そんなのじゃありません
ですが説明しろと言われたら
なんと答えたら良いのか
私には分かりません
自分の事を分かりません
誰か教えて下さい
これで幸せになれます
そんな事を言っておいて
何も変わらないじゃない
私がいつも出掛けてる日に
どうして自宅に電話してるの
私はそう伝えた筈なのに
話したこと覚えていないのね
約束が出来たらこっちのもの
そんな風に思ってるんでしょ
だからこんな事が出来るのよ
もうおしまいよ
さようなら
仏様が天から見下ろしていた
愚かな私を見てました
ほっとけないそうです
でも手を差し伸べてくれません
もし差し伸べてしまったら
私はこの世に居ないから
それで良いじゃないですか
私はもう楽になりたいです
極楽浄土に向かいたいです
いつまでこの苦しみは
続くのですか
安いボトル焼酎と
少しの贅沢に牛丼を買う
ただいまと言う癖が抜けない
一人の暮らしは寂しいけれど
返事は怖いから要らない
寂しさ紛らわしたくて
こっちの気持ちを察しないで
馬鹿騒ぎしてるバラエティーを
遠くの家族や友人に見立て
野次やツッコミを入れる
そうしてないと夜が長くて
つまらない人生とは何か
つまる人生は面白いのか
そんな風にも考えたりする
行き詰まる場面があって
どうしたら良いのかと悩む
そうやって歩んだ人生は
振り替えると悪くないのかも
困難の無い人生は無難で
とてもすっからかん
つまらない
困難の有る人生は
つまり
有り難うで満たされてる
相手もいないのに羽目を外し
酷く酔った寒い帰り道
さっき飲み食いしたもん
全部道端に吐き散らして
背中を擦ってくれる人をおらず
こんな自分を情けなく思う
寒いってのに自販機で水を買い
口を濯いだ後に飲み干して
悪酔いから醒めた
ぼやけて繋がってた星の光は
ハッキリと粒状に見えた
作品データ
コメント数 : 3
P V 数 : 1620.9
お気に入り数: 1
投票数 : 0
ポイント数 : 8
作成日時 2020-05-12
コメント日時 2020-06-04
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/23現在) | 投稿後10日間 |
叙情性 | 2 | 2 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 3 | 3 |
エンタメ | 1 | 1 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 2 | 2 |
総合ポイント | 8 | 8 |
| 平均値 | 中央値 |
叙情性 | 0.7 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1 | 1 |
エンタメ | 0.3 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0.7 | 1 |
総合 | 2.7 | 3 |
閲覧指数:1620.9
2024/11/23 16時55分51秒現在
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ちょっと泣いてしまいました。 最初は「この内容を書くのにこの量が必要かなあ…」と思いながら読んだのですが、 最後の2行を読み「ああ、ここに繋がるには必要だなあ」という思いに変わりました。 ”世界”にたいするぼやけた愚痴と人生の欠片のようなものがバラバラと繋がって自分を弱い虫にしていて、それは悪酔いのような気分で。でも酔いが醒めるとそれは残酷なほどにバラバラの事象なんですよね。 詩の中の私、の幸せを願いながら 私自身の「相手もいないのにハメを外して酷く酔った帰り道」を想いました。
0お読みいただきありがとうございます。 まさか泣いていただけるとは思いませんでした。 人の気持ちを動かせる詩を書けて嬉しいです。
0くはー。長い。長かった。これで終わりと思うと終わっていなくて、が続いて、でも微妙な起伏があって結局最後まで「読まされて」しまいました。もうほんと弱音吐きつづけているんだけど、強弱あって、垂れ流しではなく、うっかり引き込まれたり突き放されたりしました。しめがピシッとなって言葉の背筋が伸びていると思います。
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