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心配停止
私は最近自分が変だと思っている。 なんか体の中に誰かが潜んでいるようだ。 でも別に彼氏もいないし セックスもしていない だから子供が出来るって事はない。 分からないけど感じるならきっと下腹部 子宮に違和感があると思うんだけど 私の場合は胸の奥。 心音がドアのノックみたいに聞こえる。 そのドアを開けたら誰が立っているのか分かるけど 近頃物騒だから用心している。 そいつは内側にいるから逃げられない。 ある日 私は夢を見た。 暗いアパートの自室で ドアを叩く音が聞こえる。 自分の意志とは反対に ドアを開けようとしていた。 白い日差しの差す朝。 静まった空間で私は飛び起きた。 オーイ!いるんでしょ?と ドン!ドン!と心音が体を叩いていた。 私は煩い!人違いだ!と自分の心臓を叩き返した。 脂汗で濡れた体を シャワーで洗い流している時に気付いた。 人違い…どうしてそう思ったのだろう。 私はカウンセリングを受ける事にした。 ここは以前に私が大きな事故に巻き込まれ フラッシュバックで悩んでいた際 信頼を寄せていた場所だ。 きっと何かを抱え込んでいるのかも知れない。 先生と話していく中で自身に折り合いを付けよう。 そう思っていた。だけど… 「あら××さん、お久しぶりね。随分、印象が変わったわね。見違えてしまったわよ。」 先生にそういわれた時に ふと、近くに合った姿見で自分を確認する。 今まで気づかなかった。 私はこれまで人付き合いが苦手のインドアで 化粧もろくにしない人間だった。 それなのに今の私は接客の仕事をしていて メイクもしっかりして飲み会にまで行ってる。 此処に写っているのは私だけど、誰だ? 今までの私が居なくなって来ている。 そう思うと具合が悪くなって ふら付いた身体を先生が支えてくれた。 そして呼吸や気持ちを整える為に横になり 気持ちが大分落ち着いたので先生との会話を始めた。 通わない間に起きた出来事に原因があるのかも知れないから 世間話も込みで話していた。 そこで分かった事は あくまでも推測だけど何とも奇妙な オカルト染みたものだった。 かつて大きな事故に巻き込まれた私は もう死ぬばかりだったそうだが 奇跡的にドナー提供を受けて今も生きている。 そう私は私だけど、実は体の一部は私じゃない。 提供者の女性の心臓で出来ている。 そして不思議な話だが 記憶の大半は脳が司っているけど 他の臓器でも記憶しているらしい。 だからドナー提供者の好きだったものや嫌いなものが 心身に影響を及ぼす事があったりするそうだ。 もしかすると私はずっと事故のフラッシュバックに目を向けて 今更になってそういった所に目が行くようになって 異常を来してしまったのかも知れない。 変な話ではあるがそうかと思えば納得が出来た。 カウンセリングが終わったその日の晩 悩みの晴れた私はお酒を飲んで部屋で寝た筈だった。 だけど目が覚めると私は 電車に乗って帰宅している最中だった。 訳が分からない私はヒールの踵で自分の足を踏んだ。 痛みが走る…夢ではないようだ。 スマホを見ると水曜日になっている。 カウンセリングを受けてから3日も経過している。 真っすぐ寄り道せずに急いで家に帰った。 家に帰ったからって何かある訳ではない。 取り敢えず、状況を整理したいと思ったのだ。 アパートについて鍵を閉めた瞬間 激しい動悸が私を襲い 視界が閉ざされていった。 目が覚めると夢の中だと感覚で分かった。 暗い部屋、そしてドンドンとドアを叩いている音。 恐る恐る鍵を解除し、扉を開けると知らない女性が立っていた。 でも分かる。この子は私の心臓の主だ。 「招き入れてくれてありがとう。早速なんだけど出てってくれない?」 「出て行くって、何処へ…?」 「…私の体からよ?」 「ちょっとふざけた事を言わないでよ!これは私の体よ!」 「その体を動かしているのは誰?私でしょ?止めたって良いのよ別に。」 「…つ」 「あなたの事、ずっと見てた。死んだ私が誰かの体で生きられる…それだけで幸せなんだと思い込もうとした。なのに!あなたは何時までも事故の事を引きずって、ますます家に引きこもってさ!外には楽しい事が沢山あるのに、ずっとずっと籠って。あんたみたいな奴の人生を送る為に私は死んだんじゃない!だから決めた!あんたから全部奪い取って、私が××として人生を終える!」 「そんな勝手な事、許される訳がないじゃない!」 「じゃあ何?あんたはまた全部を譲ってもらって引きこもりたいの!?両親、友人、会社の仲間に笑顔で囲まれているのは私が主張をするようになってからよ!あんたに譲って誰の得になるの?忘れたとは言わせない…身内から依然と違って生き生きとしているなって言葉!皆が望んでいるのは私なの。以前のあなたなんて用がないの。」 「そんな事ない!私だって…私だって!」 「あーもう話したって無駄だよ。私は何年もあなたの体と対話して来たの。あんた自身の臓器も、もう仕えたくないってさ」 「そんな事って…いやああああああ!」 じゃあね、××。 これからは私が××として生きるから。 心配することないよ? 上手に生きてみせるか
心配停止 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1157.1
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ポイント数 : 0
作成日時 2020-05-01
コメント日時 2020-05-01
項目 | 全期間(2024/11/23現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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可読性 | 0 | 0 |
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技巧 | 0 | 0 |
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構成 | 0 | 0 |
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平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
お読みいただきありがとうございます。 一定以上の水準に到達している作品ってだけでも嬉しいです。 私は相変わらず映画は見ないのですが、エッセイを最近書くようにしていました。 そこで私なりに得たもの、書きたいものが分かったような気がして 年賀状って詩から続けて何作か書いていました。 長いけど読みやすい、伝わりやすいってのと 今回、匿名にし忘れちゃったんですけど カオティクルのイメージを消す事を目標にしてきました。 もう少し、私に力が有れば面白く見せられたと思うんですけど 難しいですね…。 まだこの書き方は力を注いでる割には形にならないのですが 諦めないでものにするように努めてまいりたいと思います。
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