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かいだん
吊るされた骨格標本が 自由をもとめて歩きだす真夜中 聲のない垣根に空蝉 堪えきれず吸盤は剥がれた つかれた利き腕が放棄した攪拌機にも 心臓はない わたしは脱衣所で ようやく起き上がった身体を はだかにしたばかりだ これ以上の身軽さを どうして手に入れよう? 追い焚き機能のない浴槽は すっかり冷めているのに まどろみ という響きに 浸かりたくて 明かりをたよりに 両腕を漕ぐ 卵白をほどいて 泡立つメレンゲ ホットケーキの裏は 真っ黒に焦げて 自動販売機が 一等あかるい がしゃん と うみおとされ ワイヤーネットから ばらばらに散らばった 家族の数のスプーンやフォークが 錆びるための塩分濃度について考えようか? しかしわたしは 階段を行かねばならないのだ
かいだん ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 2319.4
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 67
作成日時 2019-09-01
コメント日時 2019-10-09
項目 | 全期間(2024/11/23現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 6 | 3 |
前衛性 | 9 | 4 |
可読性 | 7 | 2 |
エンタメ | 11 | 6 |
技巧 | 21 | 16 |
音韻 | 4 | 1 |
構成 | 9 | 3 |
総合ポイント | 67 | 35 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 0.9 | 0 |
前衛性 | 1.3 | 1 |
可読性 | 1 | 0 |
エンタメ | 1.6 | 1 |
技巧 | 3 | 2 |
音韻 | 0.6 | 0 |
構成 | 1.3 | 0 |
総合 | 9.6 | 7 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
一見、生活感のある浴室や台所の風景が入ってくるのだけど、冷めている、焦げている、錆びるという、マイナスな表現がこの詩全体の雰囲気をさらに強調していて面白いとおもいました。
0つつみさん お読みいただきありがとうございます。 面白く感じていただけたとの感想をいただき嬉しいです(^^) 沙一さん お読みいただきありがとうございます。 夜の学校で動き出す人体模型やモナ・リザ...いつの時代も学校の怪談は子供たちの興味を惹くようです(^^) 丁寧にお読みいただき嬉しいです! yamabitoさん お読みいただき、またそのように仰っていただきありがとうございます(^^) 仲程さん お読みいただきありがとうございます。 今回は意識的に意思表示をしてみました。自分としては今まで割と避けていたことなのでとても嬉しいです(^^) 読んでくださった方へ ポイントの分布が自分のなかでは以外な感じで、今更ながら各項目について考えさせられました。反省点も見えて投稿して良かったなぁと思います。ポイントが導入された際、「エンタメ」って何だろう?と思っていたのですが先日wikiで調べました。 結果、この投稿にエンタメ点を入れていただいているのがますます不思議に思いました。ですが、この私の投稿作を読んで「面白い」と思っていただけた方が僅かにでもいるのだとすれば...私にとって非常に励みになりました。皆さん本当にありがとうございます!
0つかみどころのない様な感覚はしつつも、各所で面白い比喩や表現を使われている詩と感じた。 面白く感じた箇所が二点あり、ひとつは「骨格標本」が夜を歩き回っている箇所。骨格標本を夜に見た時のありきたりな恐怖その他の感情を表現するのではなく、骨格標本そのものを作中で動かした発想の飛躍っぷりは興味深く感じた。 二つ目は浴槽の箇所。「ようやく」起き上がった体、しかしその時間があまりに長かったために湯舟はぬるま湯どころか「冷めている」。浴槽の温度の変化を書くことで、間接的に主人公がどれだけ体が重く、通常ではないかを見事に表現していると感じた。 他方、その真意まで読解することが出来なかったのは私の致命的な読解力不足が主な原因だが、良くも悪くも「読み取りにくくさせている」要員があるともまた感じるところではあった。 まず「吸盤」。冒頭で骨格標本が突然動き出し、「空蝉」とあるからこの骨格標本が主人公として描かれるのだろうと考えながら読むと、かなり唐突に「吸盤」の二文字が表れる。確かに標本に吸盤が使われているのかも知れないが、既に作中では標本は「歩き出し」ている。とすると、骨格標本は比喩だと読む。しかし、それではせっかく登場した骨格標本が、回収されていない(骨格を思わせる描写も、標本を思わせる描写も見当たらなかった)。また、浴槽にいたはずなのに途端にパンケーキの描写に写るあまりに急な展開。これらは狙ってそのような構成にした可能性は勿論あるし、ダメだ、とは言わないが、単純に一読者として、前述の表現が本作を読み取りにくくしているのではないか、とも考えた。
0ふじりゅうさん 「疲弊感」が伝わったのなら、私としてはまずまず成功になります。しかし逆に人様に読んでもらうものとしては失敗だったな、とも思いました。読み終わったあと後味が悪いというか、後味が悪くても楽しめる作品はたくさん存在しますが、そのためにはもっと突き抜けてないとダメだなぁと。 私は骨格標本そのものを回収するつもりはもともとあまりありませんでした。それぞれのモチーフに対して私が持っているイメージの共通点を繋げたのですが、わざと読み取りにくくさせているつもりはないので、そこはまだまだ私の工夫が必要ですね。 お読みいただきありがとうございます! ※作中の「攪拌機」は「攪拌器」に訂正します。
0怪談として読むとゾクリとするよりも親しみのある絵が浮かびます。 階段として読むなら 続いてくもので徐々に景色をかえるものですが A→Bって流れよりは Aから急にKとかに飛び越えたような展開 なんにせよ、好きです
0カオティクルConverge!!貴音さん お読みいただきありがとうございます! 私の中では怪談といえば「学校の怪談」なので、どこか気の抜けたドタバタした感じです。人面犬とか口裂け女とか定番で、恐怖なんか感じない、むしろ滑稽と思えてしまうものであります。それでも世代が変わっても未だに子供たちの興味をひくらしく、不思議なものですね。 好き、と仰っていただいてとても嬉しいです。本当に励みになります。ありがとうございます!
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