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形而上の色鬼と有刺鉄線の因果律
境界線の朝焼け 刹那に溺れる飛行機雲 首吊りのチャイム、針時計の無慈悲 渇ききった煙草、マッチ売りの少女の諦観 ……暁光、青い焔、俯いたままの火曜日 透明なコーヒーの水面が微かに揺らいだ 夕刻がアスピリンを溶かし 名も無き食紅が笑みを零す レムの3乗、夢魔と無呼吸のエンドロール 狂いだす計算式に私の記憶は2しかない 罅割れた十三階段の四段目 終わらない色鬼に散りゆくのは最期の零だとしたら 一体誰が形而上の鬼だというのか? ――やがて訪れた逢魔が時に肩を叩かれる 複雑骨折するマネキン 折れることの無いステッキ 青痣と内出血がコンビニの警笛を鳴らす…… 「能面の少女が私の顔を剥ぐ」 ――私はそもそも何者でも無かった。 石榴を模写しよう!と貴女が叫んだとき 私は真っ暗な(恐らく)透き通った夜空を見上げさせられたのだ ・偶発的な審判 「0.003の不明瞭な世界で、凍てついた車輪に刻まれた蒼の傷痕だけが鮮明だったよ」 ・作為的な審判 「空に溶けたブラックボックスは、暗い藍色をしていた。意識障害と有刺鉄線の因果律、15379奇数が這い回る1/2月にどちらを選択するべきか、私には判らなかった」 ――赤銅色の夕刻が網膜と夢を炙ってゆく 視えない心臓と眼鏡を補修する為に 私は形而下の外科室を捜しているけれど 街にはライラックと揚羽蝶の葬列が蠢いているだけ。無邪気に、無表情に ――カウントダウンが刻まれるように 私の視界のセカイは崩落してゆくけれど 最期に視た美しき刹那の場面だけは――
形而上の色鬼と有刺鉄線の因果律 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1986.2
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 13
作成日時 2019-04-20
コメント日時 2019-04-25
項目 | 全期間(2024/11/23現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 3 | 3 |
前衛性 | 3 | 3 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 5 | 5 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 2 | 2 |
総合ポイント | 13 | 13 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 0.8 | 0.5 |
前衛性 | 0.8 | 1 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 1.3 | 1.5 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0.5 | 0 |
総合 | 3.3 | 4 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
イメージが踊っていると思いました。上手く言えないのですが、神ってる見たいな詩ってる見たいな評言が思い浮かびました。
0批評というよりはライトレスなんですが、ひたすらカッコいいフレーズとイメージをキメることを追究した、ある一つの系としてカッチリ出来上がってるなーという印象です。どこか都市伝説的なホラー感を纏いつつ、歪んだエレクトリック・ギターのサウンドが残響しているような感覚。意味はどこにも結ばれないのに世界だけが立ち現れる、一種のかくり世じみた心地よさがありますね。面白かったです。
0街にはライラックと揚羽蝶の葬列が蠢いているだけ。 が好きです。
0この作品が織りなす言葉の世界は冷え切って閉ざされている、と思いました。 温かさや広がりと縁が切れている、そういうものの「怖さ」を感じますねぇ。
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