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冬の幻視(まぼろし)
寒の暁には 怜悧な羽根の 蜻蛉がつぃーつぃーと 細雪に混ざりこみ わたしの心を 薄く うすく スライスして 春も夏も秋も 冬もなく 町の風景に散らばめてゆき ます、冷え切った 手は あなたの手を 足は独りで 町外れで 土筆をふみ 舌は 赤 いろ あかね色 いろいろな人の 舌に 本音を聴く耳と 柔らかな 耳たぶは雪に 触れて 冷たすぎるから 舐めてもあまり甘く ないのでしょうね 汗と潮が混ざる 匂い あなたが 入道雲を背に 走ってきます 雪いろの蜻蛉が つぃーつぃーと、寒いねと わたしに向けられた言葉に 染み入って溶けるから あぁ、やっぱり冬だよと 洩らした途端に 春に向かって 一斉に 雪いろ蜻蛉 たちは 飛び去るのです 冬を薄らうすらと 切り裂く まぼろしが 年の空に飛び交う つぃーと あなたの指さきが 頰を掠って雪と すれ違いそらに流れた
冬の幻視(まぼろし) ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1234.3
お気に入り数: 1
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2019-01-02
コメント日時 2019-01-10
項目 | 全期間(2024/11/23現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
ご馳走様です。また食べます。
0つきみ様 コメントありがとうございます。本当なら記号もあり12月末に出せば良い作品だったのですが、二作を早々に出したので立て年明けになりました。
0上記のコメント、記号でなく季語です。失礼。
0改行が多い、内容が普通だとおもった
0オオサカダニケ 様 コメントありがとうございます。 改行が多いのはぼくがこの詩を読む、書く際の淡々とした息遣いをそのまま当てはめているからです。また平易な言葉で描いているため、ひとつひとつの詩句が弱々しくならないようにという考えもありました。 どう普通なのかがわからないですが、ダニケさんのよく言われるルミナスラインなどは皆無な詩だと思います。狙ってつくるものだとは思っていませんので。詩、全体の流れがあってとくに光る詩句が生まれることはあるとは思っています。
0寒いときって、発する言葉が短く途切れ途切れになったりします。寒さに震えながら語っている様子がこの改行にあらわれているように思いました。初日の出とか、冬の天体観測とか、初雪の降った朝とか、とーっても寒いけど、そういう時にしか見れない美しい景色を教えてくれるような温かい時間を感じます。「つぃー」という表現がまた、氷を撫でているような温度と質感を思わせます。氷はベタベタ触ると溶けてしまうし触っている手も冷えきってしまうから、指先で少し触って確かめるような繊細さや、冷たく張り詰めた空気のなかを悠々と何かが飛んでいく清々しさが「つぃー」という音になって見えました。素敵ですね。寒いと色々と億劫になりますが、その時にしか見れないものや感じられないものがあるから、こんなに寒いのも悪くないなと思わせてくれる作品でした。有難うございます。
0杜 琴乃 様 冬の朝、霊感というと大袈裟かもしれないですがなにか起こりそうな気配を感じる日があります。そこにふたりがいたらどんな風景が観えるだろう、と思いながら描いてみました。色々なことを思い読んでいただきありがとうございます。
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