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六月の傘に雨は降らない
首の折れた傘が横たわる渋谷 静脈血の田園に渇ききったトウモロコシが跋扈し、錆びた鍬とDDT, 彼女たちが街頭スクリーン上で踊りだせば、ハツカネズミの午睡も終わる 黒死も赤死も大差ないねと 玉座に居座る黒焦げのマネキン 絨毯を這い回る渇ききったハイエナ 君が珈琲に青一号を注ぎながら呟く幻想 コールドゲームが訪れない球場を鳥たちがまた飛び立つことはできないから 二銭銅貨浮かぶ鴉色の空の中 象牙の塔の群れは眩しいままだ 「水脈を掘り当てた!」と喚くルンペン 駅前ロトの物語が終焉を迎えるとき、 禿鷹どもは自らの傘に穴を空ける 6に餓えた彼女らは、777を忘れ、七つの大罪の(存在しない七番目)を8月に数えようとしたけれど、今は未だ32日だ 腐乱死体を積んだ列車の茜色、僕ら一人一人が偉大なる画家になれる気がした時、プラットホームには誰もいない 無音の朝、無言の歌 ―― ……――…… 彼の書く小説はリーダーとダッシュで覆いつくされている そこにあるのは空白と改行の豊穣なる海 そこにあるのは空欄の水族館の清廉 そこにいるのは……―― 文字の無い世界に意味を求める連中は生ける屍だと 彼の号外が彼の眼に映る彼と彼の白い目が黄疸するのはフラッシュライトといつかの記憶が眩しすぎるから 彼はもう日傘を手放すことが出来なくなってしまった レインブーツを脱ぎ捨てた君 スカートを穿いて傍観者となりたい彼 憐憫に溺れた救護活動を求め、嘆きの緊急停止ボタンを押せば ほら、向こうから彼女たちがやってくる 「穴の空いていない―…は何処に?」 ――応答無しに蹂躙される折れた傘 止まない通り雨に濡れて…… 裸の世界が赤と黒に染まっても尚 彼の地肌を這う防弾チョッキは蒼いまま
六月の傘に雨は降らない ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1195.7
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2018-07-26
コメント日時 2018-08-07
項目 | 全期間(2024/11/23現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
もしかしたら過去にあったかもしれないのですが、 北村灰色さんが死をモチーフにされる、なにかを訊いてもよいのでしょうか? 強めに語る死と、やわらかめに語る死とがあると思うのですが、その加減が語の単位で調整されている手応えを感じています。 つまり、いつも一つの死について著されていると感想を持っているのです。 僕は北村灰色さんの詩にコメントをするとき、そのため表現の話でつい留まってしまうのですが、描く死が変わることはあるのでしょうか?
0かるべまさひろさん コメントありがとうございます。 死をモチーフにしているのは、自分自身が死にたい(ただし実践はできていない)っていう願望、消失や破滅願望が十代半ばからずっと根底にあるからかもしれません。 美しい表現、綺麗な表現をしても暗い、死をイメージされることが読み手・聴き手から多々あるのは、他人や世界に対する攻撃性や怒り、嘲り憂鬱欲望等のネガティブな感情も作品には表れるからなのですが、それと同居して或いはそれ以上に自らを自らの表現で(終わらせたい)という部分が大きいのかなと思いました。
0北村灰色さん ご返信ありがとうございます。 なるほどですね。表現として、深化していくことを馳せながら今後も読ませていただきたいと思いました。 ありがとうございます。
0貴音です 私は普段、自分の詩をキメ台詞の連続だと思っています。 実際に言われた事が有ります。 それは悪い意味でありましたが。 きっと格闘ゲームで言うなら パンチとかキックも見せてほしいし 繋げてからの必殺技なんかがあると良いのかも知れませんね 私は北村さんの言葉が、詩が好きだ だけど、もしかすると必殺技が多すぎるのかも知れない つまりですね 勝手に似た者同士だと思ってるんです。 良い所も悪い所も。
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