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照明落とした体育館
講演会、演劇、演奏会、体育館は暗くなる 光の入らぬよう、あのどっしりした分厚いカーテンが締め切られ 昼間の夜がつくられる 私は暗くなった体育館が好きだった 暗い中で沢山の人がおとなしく座っている体育館が好きだった 昼間の夜は薄ぼんやり人の顔はわかるが 呼吸の動きや瞬きは、あるのかないのか分からない ぐずっと鼻をすすっても 斜め2、3人前の方で音がしたと思うが、誰の音かははっきりしない 閉じ込められた体温は隣と隣と前と後ろとと繋がり 前方を向いた視線の数は合計一になり 親しくもないクラスメートのことすらいとおしくなり わたし は体育館の中の暗がりに溶け出して 「静」のかたまりとなる 嫌なあの子も口を閉じ、表情はわからない 学年の人気者も口を閉じ、表情はわからない いつも一緒に行動するあの子も、口を閉じ、表情はわからない みなみな瞳だけがとぅるんと輝き、同じ生物であった ステージが終わる ああ、またみんながみんなそれぞれを始めてしまう ああ、また嫌いなやつ、眩しいやつ、気になるやつ、 ともだち、しんゆう、くらすめーと、どうきゅうせい、おとこ、おんな、 ある日世界が大地ごと揺れた 照明の無くなった夜、安全そうな場所に人々が寄り集まった 空中(そらじゅう)に、あの分厚いカーテンが締め切られていた
照明落とした体育館 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 497.6
お気に入り数: 1
投票数 : 2
ポイント数 : 0
作成日時 2024-02-19
コメント日時 2024-02-29
項目 | 全期間(2024/11/23現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
体育館での経験。人々が個を削ぎ繋がった。暗闇の中で集まれば、エゴを出さないで連帯感が 生まれる。それは、危機をみんなが共有すること。 こうしたことを考えるのは、とても大事な事ですね。
1お読み頂き、コメントも誠にありがとうございます。 終わりに結びつけたシーンは不謹慎かもしれないと考えつつも投稿しました。 あたたかく捉えていただき有難いです。
1こんばんは? 作品を読ませていただきました。 体育館が暗くなるとなんとなく安心感があるよねぇと思いながら読んでました(笑) 暗くなるとクラスの人気者も、親友もみんな自分と同じ生き物になり、そこから安心感が生まれるといった人間の本能が上手く表現されているように感じられました(・∀・)★
1お読み頂き、またコメントも誠にありがとうございます。 なんとなくの安心感、感じていらっしゃいましたか。誰かにこの感覚を確認したことはなかったので、同志がいると知ってうれしくなりました。
1最後の締め方、びょうびょ様(と呼ばさせていただきます)は不謹慎と承知の上ということだったので、他の方が触れていないその部分に言及しようと思います。 やはりパッと思い浮かべるのは東日本大震災などの災害、避難ですよね。空中にカーテンが締め切られ、皆が「それぞれ」の生活を中断させられていく。確かにそれまでの体育館での「静」のかたまりになる体験と類似しているように思えます。 しかし、一つ違うのではと思うのは「表情が分からない」という点です。災害のカーテンが締められる時、私たちは鮮烈にお互いの表情が見えてきてしまうはず。家族とはぐれてしまった人、家が崩壊してしまった人、薄暗がりの中のはずなのに、お互いがその表情の悲痛さを感じ取れる空間になるはずです。 最後、「なぜか各々の表情がありありと見えていた」といったような締め方が欲しいと思いました。ただ、良い着眼点、テーマを持った詩だと思います。
1お読み頂いた上にコメントも頂き、誠にありがとうございます。 「静」という言葉を用いたにも関わらず、結びの節と結びつけるには考えが浅すぎました…。 また自身の頭の中では、照明や昼の光がなく、多くのことが明らかでないからこそ生じる(のではないかと考えている)感覚を表そうとした所があります。それでこの詩もどきでは、日の落ちた時間帯に起こった恐怖でまだ誰も何も状況が分からない、明るくなるまで身動きができない限られた状態を想像しておりましたが、言葉も配慮も不足だらけでした。 そのような中で暖かいお言葉も掛けて頂いて、有難い気持ちです。
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