なあ、どんな気分だい?
なら、今から教えてやるよ。
C電極を脳脈にぶっ刺してから、
全身イルミって窒息しそうだ。
夜毎、ずっと冷えた砂の上を歩き
続けるか、それとも、いったいど
こにいくのか、俺たちにとっちゃ
あ、どうでもいいことさ。
なあ教えてくれよ。どう生きる。
皆んな、さようなら、さようなら
かもな。俺の最高も最悪も嘘や非
道もその快楽ごと次の奴にプレゼ
ントするさ。いつしかの聞いたふ
りや言ったふりのまま、はじめか
らなかった二人の約束のようにみ
んなドブ川に流そう。
今夜の案件はでろでろの脳で蛙女
を御徒町の見せ物マンションにア
テンドしてやること。案件のマニ
ュアルを車内でiPadで読ませる、
ご丁寧にサインも書かせる、なん
て脅迫まがいな仕事は一切しない。
俺も蛙女も理解してるから会話な
んか必要ない。車内はこんな感じ
さ。
「ほら、DMTの中で子鹿にキスを
するだけでいいんだよ。怖がる
ことなんて何もない。」
車内では蛙女の好きな、
Portisheadというトリッピーなバ
ンドの曲を流してやってる。首都
高をカッ飛ばす。
今夜ぐらいの案件なら俺たちにと
っちゃあ少しばかりの、おふざけ
だ。それでたいした金になる。
思うまにマンションについた。
観客らは、受け付けで買ったコカ
インやLをキメてる、鑑賞料二万、
もちろんネタ込み、受け付けで選
ばせる。別口から用意された十九
歳の青年が今夜のBaronで彼の事
情について、俺たちは何ひとつ知
る必要がない。ただ丸裸で両手両
足を拘束されて、ソレを囲むよう
に観客席の男数名がそれぞれパイ
プ椅子に座っている。
ある男が立ち上がって青年に話し
かける。「恐ろしいかい。」
さあ蛙女の登場。俺がネタの入っ
たステンレス製のドル箱をひとり
ひとりの前で追加しますか、と聞
いていく。あがり十五万円。
蛙女が青年を責める。
乳首を舐めて吸って伸びた乳首に
マチ針を突き刺す。悲鳴をあげる
青年。それから蛙女は丸出しのチ
ンポの皮をむいて、やわらかい習
字で使う筆の先で亀頭を優しくな
でなでする。
勃起していく青年に蛙女が聞く。
「気持ちいい?咥えてあげようか。」
青年は口枷をつけられているので
答えられないまま首を横に思いき
り振る。
俺はスピーカーでおばけのQ太郎、
阿木陽子作詞、宇崎竜童作曲の名
曲をすこしずつボリュームをあげ
盛り上げていく。
『くえすちょん、くえすちょん
君は誰、ぼくおばQ、
大人になんかならないよ
らしくないのが良いところ
ぼくらは宇宙にはねている
自由な 自由な 遊び人』
蛙女がチンポを触りながら聞く。
「君は誰だい。」
んんー!と声を上げようとする青
年の頬を蛙女が木製のスパンキン
グ用の器具で十数回ぶっ叩いてか
ら、口枷を外してやって青年の耳
を舐めまわして囁く。
「君は誰なの。」
青年が答える。
「ぼくおばQ!ぼくおばQ!」
俺が手を叩くと観客からも拍手が
あがる。俺は「今夜だけ特別に半
額サービスにします。ネタ追加し
たい方は手を上げて下さい。」ほ
とんど全員から手が上がる。
上がり十二万。
蛙女がまた聞く。
「君は誰なの。」
青年が答える。
「ぼくおばQ!」
拍手がおこって蛙女がよくできま
したと自分の口に入れた三倍の勃
起薬と興奮剤をそのままおばQの
唇にゆっくりと当てて、大丈夫だ
よ、ただの勃起薬だから、とおば
Qの口に唾液と一緒に水を流しこ
し込む。
エリック・サティ、音楽の調子を
変える。また頬を何発か打たれ、
青年が涙を流しながら叫ぶ。
助けてください
許してください
もう要りません
許してください
蛙女がいい子いい子と首筋から乳
首へと、お腹から足の先まで舐め
ていく。少しずつ、勃ってきて、
いつしか血管が浮き出るほどにな
ったチンポの先に舌を当てる。一
瞬でチンポは血管が浮き出るほど
反り勃った。その血管に沿って少
しずつ責めていく。そのうち咥え
込む。
観客が近くで見ようと席を勝手に
ズラしたので、牽制して別の空い
ている席に案内する。
青年は大泣きしながらあっと言う
間に射精した。蛙女はそれを観客
の前で飲み込んでおばQの精子、
とっても美味しいわ、と笑った。
大人になんかならないよ、蛙女は
歌いながら乳首のマチ針をひりひ
りと抜いていく。流れた血を舐め
あげ乳首を舌でくるくると舐めま
わすとまた青年のチンポが反り勃
った。
「もう一回欲しいの、でもあげない
よ。これが君の最期だってさ。」
青年はもう涙を流し尽くしたのか、
黙って俯いていた。
俺は観客一人一人にこの後、女を
用意するか帰宅するか確認して、
お土産におばQのブルーレイディ
スクを渡し、中身を確認させて、
一人二万五千円万ずつ回収する。
女の紹介料含めてあがり二十万。
観客の帰ったところで青年の拘束
を外してやって、うずくまってぶ
るぶる震える彼を抱きしめて頭を
撫でてやる。
『大丈夫、成るように成るだけさ。』
ほらよっ、と今日のあがり八十万
のうち、二万を青年渡す。蛙女は
ウキウキしながら八万受け取って、
Q太郎のディスクを二万五千で買
って、送りはいいよ、と言ってさ
っさと帰って行った。
俺と彼だけになった。
「さあて、どこに行こうか。」
彼が立ち上がる。俺は「今日も可
愛かったよおばQちゃん。」と彼
の頬にキスして二十万渡した。
最後のディスクケースの中に入れ
ていたドラッグ、
あれはすべて偽物だ。彼に上野駅
への行き方を教えてやって俺は一
人になった。
なあ、気持ちが分ったかい。
映画館で買うポップコーン、
あれ、あるだろう。
あれさ、食ってる時より
買ってる時の方が、
気分がいいだろう。
そんな気持ちさ。
分かんねえだろ。
作品データ
コメント数 : 17
P V 数 : 1680.3
お気に入り数: 1
投票数 : 4
ポイント数 : 0
作成日時 2023-11-03
コメント日時 2023-12-12
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/23現在) | 投稿後10日間 |
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
| 平均値 | 中央値 |
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 0 | 0 |
閲覧指数:1680.3
2024/11/23 18時55分23秒現在
※ポイントを入れるにはログインが必要です
※自作品にはポイントを入れられません。
誤字訂正 失礼致しました。 ×二万五千円万 ○二万五千円
0文字の装飾を一枚ずつ剥がし読めるように書いてあったり、歌の選曲であったり、夜毎、ずっと冷えた砂の上を歩き続けるか―、といった手触りを感じる表現であったり、内容の方に目が行きがちですが、読み終えた後、善悪の天秤がぎりぎりのところを保っている。そのように抑制をされた作品だと思います。
11.5Aさん コメントありがとうございます。 氏の「狼」という作品が好きで、真っ先にコメントをしました。 仲間がシャブやヘロインで死んでいったから、 こんなの他の投稿者から軽蔑されるかもしれないけどその死んでいった仲間との「悪ふざけ」のつもりで、最後、天秤に作品をかけました。 俺は秋葉原で降りて、上野まで歩くのが好きです。 時々、Portisheadを聴いて、時々、keith Jarrettを聴いて、 アキバのユニクロて買った白いTシャツにドトールの珈琲をこぼしたまま、 歩いて帰ります。 母親は小さい頃、レンタルビデオ屋さんに連れて行ってくれましたが、 Q太郎とベムしか借りちゃダメという束縛があったので時代錯誤の歌が作中、出てきます。 いつしかの街が、今の街で、 きっとそのどぶ川にまだ淀み続けている魂のことを、 冷たいガードレールに腰掛けて十五分くらいで俺はさっさとこの詩を書きました。
1どこまで実際あった事なのかかわかりませんが、リアリティを感じますね。 おばけのQ太郎の使い方はいい使い方だと思います。なかなか酷い悪ふざけですし。 即興で返詩を長歌で。 大人には なんかならないよ 子供にも なれはしないんだ 泣きながら 股間反り上げて 「ぼくはオバQ」
1令和もロストジェネレーション。ゼッケンです。舜舜さん、こんにちは。村上龍が「ティファニーで朝食を」を詩にしたらという印象。ティファニーで限りなく透明に近い朝食を。舜舜さんの作品は、俗悪な現実の針の穴にいまにも切れそうな人間への慈愛の糸を通すその手際がスリリングです。中毒性があります。
1作品を読ませて頂く上で、その創造物の鎧を外していった先にある本当の気持ちを見てみたいと思っています。なぜ自分はこんなことをしたいのだろうと時々考えますが、考えるという行為の中には、もう既にその答えが残されてはいないのだと知ることの方が多いです。狼を取り上げて下さいましたが、僕がそこで書き出そうとしていた気持ちは、/舜舜さんの作品に形作られた本質と似通っているのではと勝手に想像しています。僕も歩くのは好きです。見知った道よりも、見知らぬ道の方が好きかもしれません。歩くさなかに生れる気持ちもありますね。作品が結晶になる前の、その欠片をお見せ(お教え)頂きありがとうございました。
150万儲けたのかな、いいなー なんかすごいはっとさせられました。ケツからぶっ刺しても脳天に簡単に届く詩だと思います。PortisheadのDummy大好きです。おばQも聞いてみました。 面白かったです。とても真摯な作品だと思います。
1羽田さん コメントありがとう!! ちょっと久しぶりに殴り書いてみました。 ぼくの初恋は愛子ちゃんって名前なの。 そう、この詩とは全く関係ないと思われるでしょうが、 その名前ひとつで、人前で俺は裸を晒せるんです。 俺やおばQみたいな輩はね。
0ゼッケン様 >ティファニーで限りなく透明に近い朝食を。 それはいったいどんな朝食なのか。 龍はトパーズを書く際に、方々の風俗嬢たちに取材をしたそうだけど、 変わらず朝食代わりに男を自宅に呼ぶ女性たちが俺のまわりには幾らでもいます。 再開発でぶっ壊れていく街を ワンダモーニングとくわえ煙草で眺める男、 分譲マンションの内見にパトロンと行く女、 >令和もロストジェネレーション とっくに保管計画は始まってるし、 日増しに俺や彼らの言葉は虚しさを増幅させています。 老詩人が見て見ぬふりをしているのか知らないけど、 はっきりいって気味の悪い奴ばかりです。 もはや、慈愛の糸は金にも希望にもなりませんよ。 あと俺は、お熱いのがお好きです。 素敵なコメントをありがとう。Shun Sakuraeda
01.5A様 再びコメントをありがとうございます。 見当違いなコメントになりますが、 俺もDolls、Qも、蛙も、必要なのは 誰ぞから受けた愛情に対する感謝と あとは自爆するだけの覚悟かと思います。 俺は野たれても、凍えても、結晶を作りますよ。 現代詩なんかクソくらえ。
1水亜鉛様、コメントありがとうございます。 調べたら美しいメキシコ原産の鉱石が出てきました。 建物の外壁や屋根に使われる 亜鉛メッキにも特別な防サビ効果がありますよね。 ごめんなさい。そんなに綺麗なものを見てしまった後で 頂いたコメントには一言しか返せません。 てへへ。ありがとう。
1SM感情ってなんであるのかなぁ、と思いました。人間の心の不思議。刺激が強すぎて不潔な感じがしてしまいましたが私が潔癖すぎるのか、わかりません。
1舜舜って名前良いね 女性みたいな名前でもあるし それだけで色々と広がりがあるなぁ 俺ももっと気の利いた名前にすればよかった 過去に投稿された詩とかコメとか読んだけど俺、過去にもコメントしてたみたいで、その時はお返事貰えなかったので俺も印象薄かったのかな 今作の話なんだけどオバQ絶叫させられた彼のアガリは22万円て事でいいのかな? 蛙女の前で払った2万と2人になった時の20万で22万。 随分な事をされていたけど22万円ならまぁ仕方ない、其処に愛はあると思いました。 グッピーが水槽の水に馴染む 舜舜さんのコメ欄の振る舞いを見ていたらそう思いました 今のビーレビの環境みたいのに舜舜 さんが適応しているというかスイスイ泳いでいる感じを受けたな かつて文極でゼンメツさんのことを王子って呼んでた事を思い出したな ちょっと舜舜さんも王子気質あるな 星の王子さま気質 ナイーヴ拗らせみたいな ゼンメツさんはいつのまにか大人になってしまってなんというかもう王子とは俺は言えなくなったけど。 これからは暫く舜舜さんを王子として 推しにしようかなぁとか思いましたね ゼンメツさんみたいに精緻と言うか 作り込まれたおもちゃ箱感はまだないけど、なんか舜舜さんは舜舜さんなりの俺を魅了させてくれる作品を作ってくれそうな気がするな 俺の処に空コメントしてたので ちょっとみてみたケドまぁソレも縁であるかもしれないですね その空コメントも謝ってもらってるし グッピーが餌を求めてグニャグニャなる風景が浮かんだな、2度目だけど これからもワクワクさせる作品を読ませてくださいね
1湖湖様 初めまして! コメントありがとうございます。 本作、御徒町辺りでも滅多にない不安定なガードレールの上で ケツ穴と玉のポジを気にしながら即興で書いたため、 誤字脱字も多く、また内容も不潔かつ不浄な作品となっております。 SMや拷問については全くの専門外のため ぼくも時々考えるところではあります。 ゆえに湖湖様が決して潔癖すぎることはございません。 それでもコメントを残して頂けたこと、 感想を頂けたこと、心から嬉しく思います。 ありがとうございました。
1グッピーってあれ、すぐ死ぬん じゃないんですか。ちゃんとし たらちょっとは保つのかな。で もダメだろうな、俺多分。朝起 きて携帯を開いたら吸収さんの 「インソムニア」が表示されて てね、これはもしや、と思って コメントした次第です。空コメ 失礼しました。運命や巡り合わ せのことだと思ってます。拘束 2時間半で22万ならQは飛び ついてきますよ。それに普段引 きこもりだから白くて綺麗なん です。蛙女のつけて来た香水が 甘ったるい香りのヴィヴィアン のブドワールだったから匂いが 充満して、またQの全裸やその 場の空気を良くしていたんです よね。もしあの場で、音でもな んでも盗撮なんかしようとした 奴なんかいたら、とっちめて、 あと10は引っ張れたんですけど ね。Qはそっち専門ですから。 前のコメントももちろん読ませ て頂きました。ただ、マジック マッシュルームでだしを取る味 噌汁を極めようとしてビーレビ 離れしてるタイミングで気付い たら返信欄が消えてしまってい たんです。その説はごめんなさ い。ココはなぜ、そんな仕様な んだろうな。あ、俺の方が王子 ですよ。舜ってさ本名で、俺の 好きなエイクピアさんが書いて くれてたけど、古代中国のなん とかの王子なんです。じゃなく て、舜って揺れ動く炎って意味 もあれば急に咲いて早く散る花 、そんな意味もあるらしく、そ んなこと知る由もないアル中の 母が酒好き作家の陳舜臣からぽ いっと取ってきた次第です。あ れれ、また頭トんでるかしらね 。俺のことおもちゃにしたかっ たら結構高くつくけど、俺にと っちゃあ、今朝のインソムニア との出会いと吸収さんが激励を くれたこと、それを早くアル中 で頭ボケた母親に知らせたいで す。コメントありがとうござい ます。でももう甘やかしてくれ なくていいです。クソだと思っ たら、自分の家のトイレぐらい 掃除しろよと叱責してください。 好きですから、あなたの人柄が。
1おばQと言う存在。勃起するペニス。今日のあがり。金銭的な事も含めて、性戯と言うのか、現実がせりあがって来るさまが極めて印象的で、詩の枠組みを超えようとする試みであろうかと思いました。
1親愛なるエイクピア様へ 流石、着眼点が一味違いますね。 素晴らしいペニコメをありがとうございます。 「現在がせりあがっていくさま」と素晴らしい表現で俺の気分をブチ上げて頂いてますが、どうかそれが俺が書く詩の本質となればと思い、いつも詩を書いています。 この詩は俺とおぼQの存在や、成らずものの金策についてリアルらしく表現していますが、さて本物でしょうか。 せいぜい、本物です。テキストの枠を遥かに超えて、テキストで詩を表現するにはどうしたらいいでしょうか。
0