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カブトムシたち
橋の上から眺める 南の方に集落がある 不確かな感情を持って しばらく考えあぐねていると やがて虹の橋がかかった 遠くへ思いをつなげるアーチ 天使がぞろぞろ歩いていく 川の北 夜の闇の中では カブトムシが木にゴソゴソと這っている 桃が匂いを放ち 蝿たちは自由だ 人の手の届かない楽園 悲しいからと泣く人たちは 悪いものに救われる 人は善を志向せねばならず 落ちて行った人たちの居る場がないのだ 街に行けば様々な楽しみがある それがない場合心休められる場所は 人に迷惑をかけようのない所 すなわち自然の盛り場 後ろ手にドアを閉めて出て行こうとする人がいる 闇を見つめるために 真実の愛が全てを救ってくれると信じている この世で神に見放されたものたちを救うものも確かに存在するのだと知っているからだ 日は昇りくり返し 夢が草いきれの中辺りを包む 心を決めて飛べよ放し飼いにされたカブトムシたち 夜と昼とを切り裂いて
カブトムシたち ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 616.7
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2023-05-03
コメント日時 2023-05-03
項目 | 全期間(2024/11/23現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
カブトムシたちが象徴的な意味を持って居ると思いました。勿論落ちて行った者たちではないと思います。落ちて行った者たちや神から見放された者どもがカブトムシであるはずがない、これが私の第一印象なのですが、これから私がこの詩を何度か読んで行く過程で、その印象は変わって行くのかもしれないと思いました。
1こんにちは。 これは個人的な感想で、黒髪さんが伝えようとしたこととはたぶん違うとは思うのですが、この詩を読んで悪人正機を経ての極楽浄土を思い浮かべました。 今の世の中、天国や極楽へ直行便で行けるような全くの善人なんてそうそういるものではありません。 いずれは極楽浄土に行けるとしても、トランジットとしての辺土とか仮土とか呼ばれる処にしばらく滞在しなければならない人が殆どだと思います。 でも、この詩の最後の方の「心を決めて飛べよ放し飼いにされたカブトムシたち」というところを読むと、やはりこの感想は違ってますよね。 勝手なコメントですみません。
1こんにちは、読んで下さりありがとうございます。 印象が変わっていくだろうと思われたとおりというか、エイクピアさんはおそらくカブトムシがお好きなのですね。僕もそうですが、人間については様々な人がいるもので、今回も、また最近ずっとそうなのですが、悪い人が救われるというようなことを願って書きました。実際には現実に善行を積みながら生きるくらいしか、借りを返せることはないわけですが。人間には無限の闇があるそうで、カブトムシたちはそれに抗いつつ飛べるのかなあと。
0一行でも読み落とすと読み間違えてしまいそう。慎重に読まなければならないです。どの言葉が現実を現していて、どこに作者の意図があるのか。神に見放されて救われるだろうか?と思ったけど、善人なおもて往生をとぐや、無神論の生き方でしょうか。宗教詩に読めました。カブトムシたちと複数になっているので、この詩は誰かに宛てたメッセージなのですね。自分にはかなり難解な作品でした。
1こんにちは、読んでくださりありがとうございます。 全くの善人はなかなかいないですよね。悪口を言ったり怒ったりとかは普通です。でも、日本仏教の常識では、すべての人が浄土に行くことになっているそうです。その過程が色々ある、というわけでしょうか。カブトムシは、カフカの『変身』を意識しました。ご感想の通りで間違ってはいないかと。一貫した詩になっていないことは表現における反省点です。
0こんにちは、読んでくださりありがとうございます。 たわしさんのおっしゃるとおり、詩文で現実を象徴させつつ書きました。神に見放された人たち、というのは、『ヴィンランド・サガ』という漫画、アニメで、奴隷の人たちに言及して言われていたことを取り入れてみたのですが、そういう人たちが救われないわけがないというのは、よく考えれば当然であるかと思われます。そういった人たちも救おうとする人間に出会ってきた、ということを、僕はこの詩で言いたかったのです。この詩は、悪人に宛てた共感と応援の詩と言えるかと思います。果たして十分な意味を表せたかと、いつも不安になるのですが、僕が書きたい詩、書ける詩はこんなのでした。作り方としては、バリー・ユアグローの短編などに影響を受けているようです。
0メタファーが安定せず常に揺れ動いていて、まるで雲の如く変わり続けるような、一回でも見失ったら全て見落としてしまうような、そんな詩だと思いました。すごい好きです。
1こんにちは、コメントありがとうございます。 寓話のようなものを書いてみました。擬人化はしていませんが……。寓話は英語ではfable、漫画の『ザ・ファブル』の題名にあるとおりです。メタファーをたくさん使いました。如月さん、ご注目くださってありがとうございます。雲のように変わっていく詩を書くのは、好きな文章を綴っていく楽しみがたくさんありました。好きだと言っていただけて、何より嬉しいです。励みにしていきたいと思います。
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