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詩を支配している静謐。
先ずは無難な詩だなと言うのが初読、二読、三読時の感想だったのですが、それでは芸がないので、もうちょっと書きます。 第1連、第2連で、昔書き付けた言葉の古びぶりが、使い捨てライターの明かりの様に心もとないし、常緑樹や、見慣れた靴の変貌ぶりから朝昼夜の変化と、心理的な重力の故か、一日のよどんだ空気が示唆されています。 第3連目で月が黒猫の瞳にたとえられている。濁った空気と相俟って、月に見詰められたと感じる、心理が秋の水の様に澄んでいるように感じられます。 第4連、秋が深いため息をついて居る。夜長や秋澄むなどの表現が思い浮かびます。 最終連で、コメントでも言及したのですが、冬支度と言うか、やがて来る冬を示唆して居る様な、揺れる木の葉は落葉樹の落葉を示唆しているのではないかとかいろいろ空想しました。 以上全連読んできて思うのは、無難な詩と言うよりはむしろ詩全体を支配している、静謐ですね。心の中はざわついて居るのかもしれないが、外の自然は、静謐に包まれている、自分の心がざわついて居るだけだと。潜在的にこの詩は、自分の心とは相反する形で、秋から冬への自然の静謐ぶりを高く評価している詩ではないかと思った次第です。
詩を支配している静謐。 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1160.1
お気に入り数: 0
投票数 : 2
作成日時 2022-10-08
コメント日時 2022-11-05
このたびは拙作への深い洞察とご理解をありがとうございます。 作者といたしましては、大変ありがたく、また恐縮ながら、 嬉しく思いました。 「心の中はざわついて居るのかもしれないが、外の自然は、静謐に包まれている、自分の心がざわついて居るだけだと。」 「秋から冬への自然の静謐ぶりを高く評価している詩ではないかと思った次第です。」 というお言葉はまさにおっしゃる通りでございます。 補足させていただくなら、総じて自然は泰然としており、 時に揺れ動きがちな私達人間という小さな存在をも、 大きく包んでくれているのではないか、 という個人的な考えを、冬を目前にした秋という、 どこか物悲しさを感じさせる季節に特有の、「揺れ」のようなものを通して 描いてみたい、という意図がございました。 しかしながら拙い表現ゆえ、読者の方に伝わるかどうか 自信はなかったのですが、 このたびはエイクピア様に深く読み取っていただけましたこと、 大変感激しますと同時にありがたく思いました。 その上、拙作のためにわざわざ筆をとっていただきましたこと、 重ね重ね、感謝申し上げます。 ありがとうございました。
1いえいえこちらこそ、コメントと言うか、論評した甲斐が有りました。
1これ読んでから作品みてきました。関係ないけど、推薦文にも投票出来るから皆んな気に行った推薦文に投票してみるのも一興かと思いました。
1ほばさんコメントを有難う御座います。ああ、推薦文に対する投票は推薦文が推奨して居る詩作品に対する投票とばかり思って居ました。二票入って居ますね、今見ると。
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