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スリーカウント
23:15 女の子ってアボカドが好きだよねえっていう話を交わしたのが何回目なのか、緻密なカウントを誰も求めちゃいないので忘れてしまったけれど、さっきの瞬間に鼻先数センチのところで感じた徒労の色には大分慣れて「しまった」。若いっていいね一過性っていいね青臭いっていいねーなんて話はノド元を過ぎたけれど未消化のサラダは胃の中へ落下、して袋の中に蟠りの輪をかけてコアを避けての吸収作業を開始。アボカドはあくまでもサブで、食卓を彩るのは安価な味の残る、牛海老のボイルだった。女の子って甲殻類が好きだよねえなんて遠慮がちに疑問符を付けてみました、なんて平叙文は、いちど退屈だと思い込んで海馬の引き出しの奥の奥へとしまいこんだ、塵くずの中には恐らくなかったものだのに、全くの新鮮味を脳に目に与えることなくって、砂利に似た感触を舌の上は感知。三大欲求の一つを満たすためによもや海老がその身を差し出して、自ら網に入り込んでいったなんて夢想を片手に、哀しいポーズを取りながらされるがままのサーブを赦す、なんて、少女性を持て余しているのかと尋かれたら、ただちにノー! と答える唇が今夜に限って芯から迸る不愉快の捨て場に困り果てている、件に対して先の数分で自覚を持って「しまった」。出来ればしまって、いたかった。そうこうしている内に電車に乗り遅れて「しまった」。 23:41 最寄りには戻れない。
スリーカウント ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 851.3
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2017-11-12
コメント日時 2017-11-17
項目 | 全期間(2024/11/23現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
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構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
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技巧 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
タイトルのスリーカウントが何を示しているかは一見わからずとも、一行目のアボカドの話がどうもありそうで、一気に惹かれました。ありそうな、いや、実際にそんな話をしていたのかと、現実感がこみ上げています。ただ、その現実感に反して、語り手の思い=独白は、そんな他愛もない会話とは無関係に続けられています。 女の子が好きなアボカドはメインではなく、あくまでもサブだと、何だか、はっと、しました。でも、それを言っては、この場が崩れてしまうと思いとどまり、まさに溜飲をのむといったところでしょうか。ただ、そんなあふれ出た思いは語り手の中から去ってくれるわけでもなく、メインの海老は優雅に語り手の食道を踊っています。 そして、「出来ればしまって、いたかった。」ということは、しまっていることができなかったのでしょう、言ってしまったのでしょう、メインは海老だって。いやいや、「女の子って甲殻類が好きだよねえ」という、言わばこの場を崩してしまうことを。 そして、事態は最悪なことに。場を崩してしまっただけでなく、帰れなくなってしまったということ。 作者の配慮によって、何がスリーカウントであったのかは一目瞭然です。僕だったらきっと、「」で囲わずに、しまったの前に読点を置いて、一呼吸置く・唾を飲み込む感じで、~~~~、しまったと書くでしょう。あくまでも僕の話です。 そして、この「しまった」と、「しまって、いたかった」というのは、対比なのでしょうか。英語で言えば、「oops!」という「しまった」と物を置いておく「しまった」という二つの意味が「しまった」にはあります。その二つの意味が交錯していることで、この作品が全体に不和をもたらします。そのことによって、この語り手は「甲殻類が好きだよねえ」なんて言って「しまった」わけですが、実は、もっともっと奥に秘めた何かを「しまった」、というか「しまっている」のではないかと、この作品には書かれていない何かがしまわれているのではないかと思わされました。
0>花緒さん 初めまして、沢村と申します。お読み頂きましてありがとうございます。 拙作は私が21の時分、花が咲いてるんだか散ってるんだか微妙なJDの頃に書いたものです。 変更箇所はタイトルだけなので、ご指摘の通り大変読み辛さが目立ちますね。お恥ずかしい限り。 誰が見てもわかるように書き換えても良かったんですが、 もう五年以上もすぎてこれほど自意識を爆発させた散文を書ける気がしなかったので、 これはこの状態がある種の「完成」だと思い、投稿させて頂きました。 学生の頃の記憶はぎりぎり(まだ)再現できると信じていますが、これほど自意識を爆発させた散文を書き殴ることは出来ないと思います。 きっとオケツから蒙古斑とれていなかったんでしょうね。
0>なかたつさん 初めまして、お読み頂きましてありがとうございます。 この散文は学生時代に使っていたノートに書き殴られていたものですが、同頁上部に「アルタ前/19時/×××営業 25↑オッサン4匹 いきたくない」と書いてあったので、余程アガらない面子だったんでしょう。改題前は「眠らない街の肖像」でした、花緒さんへのコメントに書き示した通り、本文をあまり弄りたくなかったので「せめてもの抵抗」としてタイトルは分かりやすいものに変更しました。もともとのタイトル見ると誰に気触れていて、何処で合コンが開催されたのか丸わかりですね。でも結局ここで喋って「しまった」からプライバシーもへったくれもないですね。大変失礼致しました。 ダブルミーニング教なので、「しまった」あるいは「しまっている」ものは幾つか詰めてあります。 拙者が全て話してしまうと恐らく野暮なので、お好きな嵌め込み方をして頂けましたら幸いです。 「oops!」いいですねえ、とても素敵。 ただ今振り返ってみて感じるのは「oops!」より「ugh」ですね。 なので書き直すとしたら(ちょっと無理するけど)海老じゃなくてあぐー豚がメインの沖縄居酒屋が舞台になると思います。
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