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離脱症状(5月)
さらさらと降る 島津雨を浴びながら 薄靄の中に 現れた鳥居をくぐる 御賽銭を投げると 封じられていた神様が 少し目を覚まし お釣りを下さるような そんな毎日 先生の言う通り 深くゆっくりと 呼吸すると 喉の球体は 少しずつ溶け 嘔吐する回数は 減っている 記憶達は少しずつ私の身体から離れて空へ還ろうとするが、そのほとんどは砂浜に堕ちて消えていく。彼女達が私の名前を呼んでも、私はスピードを上げて、泳ぎ続ける。私はずっとさきの、さきを見ていた。だから、思い切り飛行機飛ばすことにしたんだ。高度を落とすことがあっても、僅かに風をとらえながら飛び続けていられるような、そんな飛行機 りん…倫……凛 小さな鐘の音が聴こえる それが真実なのか 嘘なのかは 問題ではなく 私の中でずっと 響いている 繰り返し 心地よく 響いている 「ごはんできた?」 娘に起こされて 軽い眩暈が残りつつ 台所へ向かう ずっと食べることを 忘れていたけど 何となく作り方を 思い出してみる なおし忘れていた 洗濯物をとりこみ 夜空を見上げると 太陽にほんの少し 照らされているだけの 二日月が浮かんでいる
離脱症状(5月) ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1013.2
お気に入り数: 2
投票数 : 1
ポイント数 : 0
作成日時 2022-06-01
コメント日時 2022-06-03
項目 | 全期間(2024/11/23現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
つつみさんの詩は、いつも自然体で新鮮! 読むのが楽しみだ! 最終の二連、夜空を見上げて、二日月を見つけたシーンが、とてもすき。
1コメントありがとうございます。自然体、嬉しいです。5月になってから毎日、自身の症状に合わせて推敲して最終的にこのような形になりました。6月は今日から書き出してまた来月に投稿します。 三日月は苦手ですが二日月は好きです。なんか、本物っぽいので。
1わたしはYUMENOさんとは全く逆の印象です。 言うなれば、不自然なほど自然。 別に揚げ足をとりたかったり、言葉遊びをしたいわけではなく、 この詩は助詞の一つに至るまで恐らくノート目一杯に何度も書き直されているはずで、 途中で全消しした可能性もあると思います。 さらに言うなら、この詩をありのままの日常を著した詩と捉えた場合、余りにも整いすぎている。 清廉かつ馥郁な言葉選びをする人の作風はもう少し曖昧然としていると、個人的にわたしは思います。 作者のつつみさんはきっとそれも分かっていて、 読み手に気づかせる意味も含めて処方箋を貼ったのだと推測します。 この潜在的狂気性がこの詩の魅力だと思います。
1コメントありがとうございます。森石 州未州さん、すごいです。すごすぎて「怖っ((( ;゚Д゚)))」と思いました。 今回の詩は、5月から毎日、紙にボールペンで書いたものを、赤ペンで消したり、また復活させたり、あとは州未州さんのおっしゃるとおり、全て×で消して、もう一度書き直したりしながら書きました。でも、破り捨てたりはせず、きちんと全て保管した上で。 初めて、パソコンを使わずに書いた作品です。 5月初旬に書いた詩は、大変狂気じみたものでした。自分でも具合が悪くなるほどに。その狂気じみたものを平たく言うと「格好つけて」覆い被せたようなイメージなのがこの作品です。特に助詞については、自然に見えるように何度も何度も書き直しました。 決して嘘をついてるわけではないのですが、この作品の裏には、本当に向精神薬からの離脱症状が存在しており、こんな世界を書くことで、自己治癒を目的とした、「自己中心的」な作品です。 でも、読んでいただく方には、自然と思われても、そうでないと思われてもどちらでも嬉しくて、州未州さんのように、完璧にこの詩の製作過程を見透かされるのもかなり快感です。本当にありがとうございました。
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