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涙目
街に出かければ透明な通り魔が挨拶してくる。腕に触れて、痣もなく、それは過ぎた季節の柔らかさだったのかもしれない。だれもが見えない片目の視力を頼って、だれも見たくないものってなんだろうって顔をしている。きっと、きみの天国は宙に浮いていて激しい。眠たげな屋上で天使が愛していても、ぼくは冷たいひとりでありたかった。嘘にも暖かみがあるって知ってる人だけが嘘をつけよ。そう叫んでも夜の真中に星が流れて、心の屋根裏に隠されるのか。きみが懐かしく壊れていく。季節が焼け尽きて氷河期が来たら、残した片目を焼いて食べよう。そうして土砂降りの天使が二匹、夜空の荒地に逃げては、涙。
涙目 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1049.2
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2022-03-06
コメント日時 2022-03-09
項目 | 全期間(2024/11/23現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
タイトルからして感傷的な作品かとバイアスがかかりながらも、一行目に通り魔と置かれていて予定調和の崩しがあって読み進められた。最後の「涙。」が微妙に思う。私の声読みでは字余りの韻律になる。その字余りさがあまり良い感じにはならず。「涙目」というタイトルを、物語としての無理矢理な回収に最後に置いた感が印象として強い。惜しいと思う。ただ、通り魔や片目など、面白く読ませるための織り込みに作者さんのポテンシャルを感じる。
0単語ひとつ置き所を間違えても、 成立しなくなるような繊細さを感じます。 ああ、この人はこんなことが言いたいのか、 と理解する時気持ちが良いのと同じぐらい、 何を言っているのか分からないからもっと聞きたい、 という感覚も好きなので、読めて良かったです。
0鋭い読みをありがとうございます。 まず一行目を悪い意味でナンセンスだと捉えられるか、それとも「お?」と立ち止まって貰える文だと取って貰えるかは正直自信のないところでした。最低限タイトルと絡みつつ、読み進めるための契機となったならよかったのですが。 最後の「涙。」は一番の問題点だと思っています。まず響き。私の直感的な音感では悪くないと思ったのですが、印象が悪かったようでなるほどと大変参考になりました。音感の好みの問題なのか、自分の耳やリズム感が未熟あるいは独特なのか考えてみたいです。 >>「涙目」というタイトルを、物語としての無理矢理な回収に最後に置いた感が印象として強い。惜しいと思う。 惜しいことをしました。今作はもともと無題の詩にその場でタイトルを付けて投稿しました。順は作品→タイトルなのですね。 作品に散らばるメインモチーフの一つである「目」と、締めの言葉である「涙」を組み合わせて「涙目」としました。すごい安直な発想と回収ですね。納得の反省点です。 ただ、流石に今回がぞんざいすぎただけで、技巧的なタイトルを付けたいという欲求が妙に低く、毎回とてもシンプルなタイトルにしてしまう一貫性があります。これは時に読み手の皆さんには申し訳ないことなのですが、未だ変わらない書き手のエゴですね。一方でなにかしらエゴなりオブセッションがないと現代詩なんて書けない気もしますが。 細部のポテンシャルについて評価いただきありがとうございます。詩も報われていることかと思います。長文失礼しました。
0過分な評価をありがとうございます。 実際には「単語一つ置きどころを間違えても成立しなくなるような繊細さ」を持ち得るのは、例えばプロの作品やアマチュア詩人の僅かな結晶のような作品だと思います。が、ともかくそのような印象を個人的に抱いていただけたならとてもうれしいです。 >> ああ、この人はこんなことが言いたいのか、 と理解する時気持ちが良いのと同じぐらい、 何を言っているのか分からないからもっと聞きたい 説明的な言葉だけでは足りないから詩も書いてしまう詩書きらしい感覚ですね。 私も自分の中に二面性や矛盾性をとても感じているせいか、何言ってるかぼんやりとしかわからないものに惹かれることは多い気がします。
0着眼点が優れていると感じました。人物描写のみに注視しようという、若干の自然の壊れた背景も感じました。
0今作では身体や思考についての人物描写がたしかに目立つ気がします。 そして、宙に浮いた激しい天国、焼け尽きた氷河期〜など自然や風景の壊れがあるように思います。 そう考えると本作が表す詩情は、ぼくときみという二人(二匹)による、移ろっては壊れゆく風景のサーフィンから生まれていくものなのかもしれません。作者兼一読者としての不完全な感想ですが。 コメントに触発されて内省に入ってしまいましたが、着眼点が優れているように感じるとのことでありがとうございました。うれしいです。
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