ペイントした顔に涎を垂らして
口づけをしている女装の男
溺れるにはまだ早いから
夢に落ちるにはまだ早いから
今夜一夜だけあの娘の相手をしませんか?
こめかみを掠めるのは
二胡の音で 弓なりのその音は
そのまま心の臓をぶっ刺したまま帰らない
オリンピックで浮浪者になった父者の今際の声と同じ
何でも金貨一枚のために人を殺す追剥ぎがいるあの裏通りで 私たちの心を鷲掴みにして潰してしまうのはしなだれかかった女の悲鳴で 気ままでしょう自由でしょうもっと言えば身勝手でしょう 銀座の屑籠に捨てられた野菜サンドはやけに無残で惨めで 酷な現実というものを教えてくれるけれど あなたはあなたでいいのです 今夜一夜だけ自由気ままに褥に沈みこみ潜りこみませんか?
妖精なんて大和にはいやしません
いるのは化かしだらけの女ギツネばかり
時には欺き欺かれ
銃で額をぶち抜いてしまったりもするけれど
それはそれで仕方ないじゃありませんか
ワタシハネアナタタチニシアワセニナッテホシイノ
オオキナコエジャイエナイカラホントニ
チイサナコエデチイサナコエデ
シアワセニ ナッテホシイノ
街の明かりが照らす路地で唸るのは犬
野良犬になって 野良になったままの
目が死人と人殺しの間を彷徨う犬
ほうらこっちへおいで
一緒にたらふくお食べ
エサにもなり大層なご馳走にもなるのは
婦女子と殿方たちのあり余る贅沢と身代
いいじゃない いいじゃないですか
ワタシハネ ワタシハネ
幸せになってほしいの
涎を垂らしたまま 甘い匂いに包まれて
幸せになってほしいの
そう
あなたたちに
最高に幸せに
作品データ
コメント数 : 11
P V 数 : 1525.0
お気に入り数: 0
投票数 : 1
ポイント数 : 0
作成日時 2021-07-01
コメント日時 2021-07-02
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/23現在) | 投稿後10日間 |
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
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閲覧指数:1525.0
2024/11/23 18時53分24秒現在
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あー、これなかなかいい、 って思わずコメント書かせる作品。 なんだろう、おそらく多数の人が言及されると思いますが、タイトルの引力。 シニカルさが全面に出てるステレオさんの作品は、なんか良いんですよね。
2みうらさん、コメントありがとうございます。みうらさんの批評スタイル「詩には興味ないけれど刺激のある創作物なら興味ある」は僕にとって結構な物差しの一つになっているので、なかなかいい、コメを書かせると言われるのは凄く嬉しいですね。僕最近とみに考えるんですよ。詩に関心がない人が読んで「何だこりゃ」ではダメだなと。この詩はタイトル共々その基準をクリアしたのではないかと思います。シニカル。もちろん愛情の裏返しです(ドヤァ)
0素顔さん、コメントありがとう。そうか。散文詩の方が僕の持ち味が活きるのではないかとの観点を持ってくれているのか。ありがとう、とても嬉しい。「韻律に頼らず…」はとても鋭く的確です。僕個人としては韻律を極端に意識することはないし、押韻などに至っては比較的どうでもいいとさえ思っているんですよね。意味性の内在律。いい響きですね。気に入りました。生意気だなんてとんでもない。これからもビーレビをより一層盛り立てていきましょう。
0作品を拝見させて頂きました。 ワタシハネ ワタシハネ 幸せになってほしいの 涎を垂らしたまま 甘い匂いに包まれて 幸せになってほしいの なんだか、色っぽい感じの印象を受けるフレーズ。艶かしいです。 銀座の屑籠に捨てられた野菜サンドはやけに無残で惨めで 酷な現実というものを教えてくれるけれど あなたはあなたでいいのです この部分も印象的でした。銀座というハイカラなイメージのする場所でありながら、汚れたところもあるのだという感じが好きです。 良い作品をありがとうございました。
1最高に幸せに という結語にうなずかされました。
0拝読しました。 混沌とした世相からインスピレーションを得ておられるのでしょうか。 モラルも常識もゴミ箱にダンクした客引きがニタニタ顔でささやいてくるのが見えます。 こっちはもうガン◯とかお酒でベロベロで、時空も場所も超えたイメージから、 ありとあらゆる美女の誘惑が見える聞こえるわけです。 アンタが想う、そんなトビキリの女の子がいるぜって、客引きがささやくんです。 現実とイメージの間で。 とても楽しませて頂きました。
0きょこちさん、コメントありがとうございます。銀座と野菜サンドの対比はかなり上手くいったのではないかと。もちろん銀座で野菜サンドを食べる人はいるし、野菜サンドが庶民的な食べ物の象徴というわけではないのですが。野菜サンドをポイと屑籠に誰かが捨ててしまったいきさつに何かがすたれた印象がする。この詩にある官能性と艶やかさはそういう些少なデカダンの上にも成立しているのでしょう。今一度読んでみてもゴージャスですね。
1田中宏輔さん、コメントありがとうございます。短い中に、短い中にだからこそ深読みしてしまうんですよね。宏輔さんのコメントは。うなずかされました、と受動態になっていることから多少なりとも宏輔さんの心を動かせたのではと思っています。うなずきました、では恐らく宏輔さんの既成の考えの範囲内で終わったということでしょうから。
0森石 州未州さん、コメントありがとうございます。混沌とした世相とか世の中とか、そういうの大好きなんですよね僕。それだからこそ厭世的にもなるし、世を疎む気持ちにもなる。時空も場所も超えたイメージと現実の狭間から客引きをするのが話者なのだとしたらとても妖艶な世界ですね。サイバーパンクな未来像にも見えそうです。そこの歌舞伎町の横には異次元の遊郭が開けてますよという印象です。 追記・州未州 the Smithだったのですね。「決して消えない光がある」は。
0最高に粘っこい。しかし、これは読ませる文体だと思う。タイトルからも粘着なものを想起させられるが、いつもより選択された言葉のひとつひとつが上手く接着されていて必要以上の外連味や大袈裟さを感じさせない。(以前に渡辺さんが素材について言及していたと思うが、それが上手くいっている) わかりにくいが褒めてます。偉そうだなぁ。この作品は書き手さんの良さ、散文のテンポ、カタカナの使い方を含めて噛み合っています。
0帆場さん、コメントありがとうございます。嬉しいという返信しか思いつかないほどの絶賛コメですね。ありがとうございます。外連味や大袈裟さを抑えるというのは、時に僕の作品のテーマでもありましたからね。渡辺君が言及していたのは「2019年の花魁。沖縄にて」においてだと思うのですが、あの作品は今でも大きなターニングポイントで基準の一つですので、あの時の手応えが進歩した形で反映されているのなら快心です。これからも進歩進化を続けていきたいと思います。
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