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思うゆえに在り
石像の町から死火山のなだらかな稜線を観測するとき 天使洗濯剤は乾いた塩盤の駒に何れ程の悔悛を要求するのだろうか 屈従は苦くも隷属の甘い思考を皆無にはしない 此処に赤道線に沿って緯線を引く半球月蝕が懸かり産婆無き誕生を迎える救世人物がその幼時を眠る 救済は死であるならば死よりも尚端正な耽美を彫刻した犯罪人達には如何なる永遠の薔薇十字の秘密が報されることになるのか 総ての凱旋門は退廃的な荘厳建築を試みられそして聳えるだろう 蓋し実験室の除圧室に泛ぶ硫黄の骸覆布そして瓶詰の標本指でもあった 水上のグランドピアノを叩く手套よ おまえは漂流する おまえは硬い種殻のなかの植物的な鳥類を争乱下に有って狩猟する おまえは錯綜する月桂樹の伝承を壊乱しては絶対的科学の分離反応作用に拠って解析を行うだろう 一つの天体の非在があらゆる空間の所在を解き明かす 絶無から万有へ亙された波長域の干渉よ私達は在る様に在りながら実在をしないのだ 憤懣への退行は容易であり 自己保障を遂げるが為に影像を実象と呼ぶには些かの虚誕があれば充分であった 而して虚の実在は半球月蝕をつたう卵黄の含羞に均しい その様に今此処に在る叡智の欺瞞は懐疑なき実態としての私達を打ち建てそして滅亡させるのだ
思うゆえに在り ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1575.7
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 1
作成日時 2021-06-16
コメント日時 2021-07-31
項目 | 全期間(2024/11/23現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 1 | 1 |
総合ポイント | 1 | 1 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 1 | 1 |
総合 | 1 | 1 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
この詩を読んでの私の感想です。 私の語彙や知識量の不足からなかなか文章全体のテーマを読み取ることができませんでしたが、意味を考えながら少しずつ読ませていただきました。 つまみ食いのようになってしまいますが、印象深かった部分を抜粋したいと思います。 「屈従は苦くも隷属の甘い思考を皆無にはしない」 屈従の苦味のどこかには甘味が含まれているということでしょうか。 「救済は死であるならば死よりも尚端正な耽美を彫刻した犯罪人達には如何なる永遠の薔薇十字の秘密が報されることになるのか」 死よりも端正な耽美、が印象的です。自分のなかで耽美(退廃?)はなんとなく死に結び付いていましたが退廃とは皮肉に近いのかな、と思いました。 「総ての凱旋門は退廃的な荘厳建築を試みられそして聳えるだろう」 勝利、と退廃には意外な相性の良さを感じました。
0ご講評を賜りまして、心より嬉しく存じます。 「私」という存在の自明性に、楔を打ち込みたく存じまして。蒟蒻問答の様な拙作を記述をさせて頂きました。 屈従は、やはり甘いのでしょう。巷間、近頃は奴隷商の精神を具有なされる感情的な奴隷が増えました様にも思われますが(自己批判を込めて)。 そして後半はやや失速気味の様にも思われます。研鑽の必要有り、とも。
0「蓋し実験室の除圧室に泛ぶ硫黄の骸覆布そして瓶詰の標本指でもあった」 この詩行から聖骸布や聖遺物を想像しました。フランシスコザビエルのような人だと指だけとか、彼が身に着けていたものがとってあるそうです。
0これだけの文量といささか古風な文でありながら各一節のリズムが心地良いです。こういうの好きです。
0宣教師等の遺骸の一部が、聖遺物として扱われております事は、 初耳でございました。ご教授を賜りまして嬉しく存じます。 歴史的重要人物に纏わる遺品とは、文明化を遂げた人類の、トーテムの名残なのかも知れませんね。
0聊かでもお楽しみになられて下さいましたなら、心より嬉しく存じます。 文体やモティーフが二十世紀から変化しておらず、今、この時代に現代詩を標榜して良いものかどうか、何時も悩んでおります。
0私は頭が悪い?とひしひし感じてしまいましたが、苦笑!難解な書き方がお上手ですね!まど・みちおさんや谷川俊太郎さんみたいな分かりやすさに書き換えてみると読者も増えるし面白いかも。勝手なこといいますけど。手套でピアノを?手套は気取りのシンボルな気がしているのですが。やはり気取りも詩を書くのにも大事だとおもいますが、ありふれたキラキラワードを貴方は突き抜けてらっしゃり一角の牙城をお持ちに見えました!
0お久しぶりです。三浦果実です。 鷹枕可さんの作品は、私的には作家の文脈でどうしても読んでしまいます。また、私の見受ける限り、言うまでもなく私なんかよりもかなり高度な文学知識をお持ちの方であり。既に幾度か複数の方々によって鷹枕可さんの作品は論じられ、時には稀な価値を作品に見出されていらっしゃる言を目にした記憶もあります。三浦個人としては、鷹枕可さんの詩論を読んでみたくなります。ただ、そのような類いなものは書かれない、そういうポリシーの方でもあるのかな、という不躾ながらも正直な印象を書かせていただきます。 話は違いますが、文学極道時代に、参加者でいらっしゃった玄こうさんへのリスペクトを述べられていた鷹枕可さんのコメントが印象的でした。もしかしたら、三浦は玄こうさんから一番嫌悪されていたようにも自覚しております。浅はかで軽薄な私の言動に思われていたのかもしれません。でも、一方の私は、玄こうさんからの叱責の一つ一つを今でも忘れておらず、自分なりの研鑽に活かさせていただいております。 鷹枕可さん、以上、コメントです。
0コメントを頂きました事に。今日迄気付きませんでした。遅過ぎる返信でございますが、何卒ご容赦を下さいませ。 気障な詩句ばかりを択ぶ事、甚だ恥入るばかりでございます。胡散臭き名辞に拠ってのみ詩的強度を保つ、悪癖を隠し遂せず。 未だ鍛練が必要な、空隙ばかりの拙作ではございますが、僅かでも愉しみ下さりましたなら、心より嬉しく存じます。
0お久し振りでございます。コメントを賜り、心より嬉しく存じます。 物質世界と時間の意味、存在意識や精神と謂ったものの関りを――自明では無いものとして――、 自己流に考え、言語に拠って構成をする営為も復、詩の一側面、と私は呼びたく存じます。 それを或は誤謬の果の譫言とも言い得なくはございませんけれども。論理学も学ばぬ浅はかな素人考えを、一呈示させて頂いております。 文学極道時代の栄枯盛衰も、今となりましては懐かしい心地が致します。 私は、屹度玄こう様に厭われていたのでしょう。知らぬ境地を教えて下さりましたのも、不勉強な私への慈善的な忠告であったのかも知れません。 箍を外したくても外せない人々、枠に収まることの出来ない人々のアジールであった、かの場所を、継承する様な運動が興らず、 私自身も復、主体的に運動を興せなかった事を、不甲斐無く噛締めるばかりでございます。
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