別枠表示
布団の上で起きがけに。
布団の上で起きがけに 手にローションを取って温め 顔に塗る 目付きを凛とさせ 唇を下品な赤色に塗る これが最近の流行りなの 私の中の ギャルっぽいし、自分があるみたいで、好きなの。 夫は横でその様子を意に介さず スマホをいじる 私にはそれが心地良い 男達は、こってりと口紅が乗った 私にはキスをしない。 それは誰だっておなじ 夫が昔にどんな顔のどんな女と寝たのか どんな言葉をかけたのか 夜から朝にかけて誰の夢を見たのか 私がそんなことを考えてるなんて 誰も思わないだろうし夫も思わない そう思うとそれすらも心地良い ただただこんな日は 焦点の合わない目で朝から家事をして 色んなところに色んなものをぶつけて ガチャガチャと音を立てる 出来ることをできるだけやる。 この部屋で 昔の男が教えてくれた音楽を聴いて イヤホンの中でどんな音楽がなってるか そんなもので 誰も嫉妬したりしないのと一緒で それぞれの人生がある 落としたパンに塗ったバターが 必ずカーペットに付着するような 可笑しくて正しい確率の世界と 落ちるのはカーペットの上じゃなく この布団の上だっていう そのくらい狭い部屋での、この生活が 私はとても気に入っている。
布団の上で起きがけに。 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1373.5
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 3
作成日時 2021-02-02
コメント日時 2021-03-07
項目 | 全期間(2024/11/23現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 2 | 2 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1 | 1 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 3 | 3 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0.5 | 0.5 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 1.5 | 1.5 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
「私」は恐らく私が想像するに昔男たちから干渉されまくって今の「夫」に出会い今の生活を手に入れ「とても気に入っている」という表現で大切にしたいと考えてるのではないでしょうか?代わり映えしないと思う日々こそ私は大切だと思います
1こんばんは コメントありがとうございます。 変化することも、変化しない事も、全て日常としてまるっと愛することが出来たら素敵ですよね。 序盤のちょっとトゲトゲした言葉に気付いてくださったのかなと思い、嬉しい気持ちになりました。
0何でもない日常ですが、あ、丁寧だなあと。 朝起きて出かけるための準備をすること、つまり、化粧をすること。それは作品にも言えることであって、作品も素の状態もあれば、化粧をされた状態があって、この作品自体もまた化粧をされているような印象を受けました。 「私にはそれが心地良い」という一行も素直に、まさに素の状態の一行。心の中まで化粧ができるかどうかなんて考えたり。 この作品、すごくいいなと思ったのが、単なる日常じゃなくて、ちょっとした秘密を開示するというスパイスがあるからなんですよね。「夫が昔にどんな顔のどんな女と寝たのか/どんな言葉をかけたのか/夜から朝にかけて誰の夢を見たのか」という、目の前にいる夫の過去を想うこと。でも、夫はそんな語り手の想いを知っているのやら知らないのやら、「私がそんなことを考えてるなんて」と。これは作品だからこそ成り立つフレーズなのですが、おそらく普段の生活で夫に対してなかなか直接言えないのでしょう。つまり、心の言葉、それも化粧をしていない素直な心の言葉であって。でも、ただひたすらに「そう思うとそれすらも心地良い」と。 でも、これだけで作品を終わらせていたら、単に人を想うだけの作品であって、語り手が夫に向けた眼差しを、語り手は語り手自身にも向けるというのが、あ、いいなと。つまり、語り手が夫に対して過去を想うのですが、語り手が語り手の過去を想うということ。それは誰に向けられた言葉なのだろうかと。 「この部屋で/昔の男が教えてくれた音楽を聴いて/イヤホンの中でどんな音楽がなってるか」と、ちょっとした秘密を暴きながらも「そんなもので/誰も嫉妬したりしないのと一緒で/それぞれの人生がある」と。平易に言ってしまうと、あ、寛大だなあと。でも、寛大では済まされなくて、誰かに向けた眼差しは自らにかえってくるということを実践して、そして、心の言葉を素直に記すということ。時にはそれがちょっとした秘密でも。ずっと隠したままで出さなくてもよい秘密を出しながらも前向きに過ごせるのは、最終二行からもわかるように、その「心地良さ」を感じているという充足感がひしひしと伝わってきました。
1なかたつさんこんにちは。 長めのレビューありがとうございます。 作品のテイストを汲んで噛み締めて下さったのだなと、これはなかたつさんの作品の読む力だなと感じました。 「秘密」に対してのフォーカス、文章のバランスに対しての感想、私の詩(日常)に対しての「素直さ」を上手く読みとってくださり、ありがとうございます。 これからも自分の詩の良さを出せるように、書いていきたいと思います。
0安全地帯におけるちょっとした危険行為。 踏み外そうと思えば踏み外せる、でもちゃんとバランスも取っている。 そんなライトな背徳感のある日常を感じました。
1コメントありがとうございます。 そのちょっと秘密めいた感じを汲み取って下さりありがとうございます。嬉しいです。
0