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好きだった人にいっそ嫌いと言ってもらいたい
今更わかったこと、今更わかったところでわからなかったに等しいのに。 中学の同期と久方ぶりにこの前会った。 メンバーの中には、高校の頃に付き合ってた彼もいた。 成人式にも少し会ったのだけど、ちゃんと話せなくて、久しぶりに昔みたいに話せた。 ずっと解けない謎があって、どうして別れてしまったのか、両片思いで結構長いあいだ思い続けてきたのに、何で付き合ってからあっさり終わってしまったのか、なんでわたしは素敵な彼を嫌いになってフッてしまったのかわからなかった。 もしやそんなに好きじゃなかったのかもと思って会ったのに、全然かっこよくって、ものの言い方や気の回し方とか仕草とか、みたいな好きだったところが思い起こされて、みんなでお好み焼きをつついている中、もやもやしてた。 ちょっと酔いが回って、みんなで近くの公園に行って、追加のコンビニチューハイを片手に風にあたり、ぼーっと今までとこれからのたわいもないことについて話した。 結構真面目にみんな話してたと思う。仕事のこととか、夢とか。けど、彼はいつも、自分のことは一切話さずに、人の話をニコニコきいているだけだった、あんたはどうなの、ってきいても、まあぼちぼちやな、みたいな返事しかしなかった。 昔からそうだった。秘密主義だった。意思表示があまりない人だった。ほんとになにも考えてないだけなのかすらもわからなかった。 わたしの話ばかりきいてくれた。それは優しいし立派だけど、けど。 わたしは彼のことを結局知らないままで、なにが好きで嫌いで、とか、こんなことがしたいとか、大きいことも小さいことも本音で話したことがなかった。 今だってそうだ。びっくりするほど昔と変わらないトーンとペースでどうでもいい話をしてくれる。2人で話してくれる、肝心なことは全部そっと包んでそのへんのゴミ箱に捨てる。 どうしてなのかわからない。そうやって、いつまでも優しい人に対して誤解してしまう。 もう私のことどうでもいいならいっそのこと嫌いだと言ってほしい、そうでないならそうだと示してほしい。 夏に相まってまぎらわしいし。
好きだった人にいっそ嫌いと言ってもらいたい ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 914.4
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2017-08-21
コメント日時 2017-09-04
項目 | 全期間(2024/11/23現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
花緒さん はじめまして、コメントありがとうございます。「いそ」の方のアカウントが飛んでいってしまったので新しくつくりました。 実はこれは、日々のブログの記事で、詩をやってる彼が「いいじゃん」って載せたもので、詩として書いたものでないし私自身詩のsの字もわからないぺえぺえです。 なのでご指摘いただいたにもかかわらず全てを理解しきれていません。申しわけありません、頑張ります。 んん〜けど、確かに、その彼のことをわかってないくらいわたしも彼に何もわかってもらってなかったかもなあってぽわぽわ考えてました(笑)関係ないですね。 また再チャレンジしてみます。ありがとうございました!
0まず題名自体が大きな山ですね。結論を最初に提示して、本文ではそこに到る経緯を丁寧に述べる。 しかし本文自体の結は題名の言い直しでなく、経緯を含めての発展形な結論となっている。 文章の書き方としては上手な構成だ。
0祝儀敷さん コメントありがとうございます。こう、素敵に解説してくださると嬉し恥ずかしい気持ちになります(笑)
0若いなあとおもいます。 若いまま思い出を連ねている印象。 もちろんいい意味で。チープな夏にぴったりな文体。 最後の「〜まぎらわしいし」が特に好き。
0sonetiraさん なるほど、若いですか…。確かに大人にはなりきれないなあって感じます。夏のチープさは色んなとこで大切にしてるので指摘していただいて嬉しいです。コメントありがとうございます。 クヮン・アイ・ユウさん んーどうなんでしょうねえ…薄々気づいてはいたけど好きな気持ちとかでその優しさと残虐さにみえないふりができていたのかもしれません。なんにせよ今知ったところでなんですけどね… コメントありがとうございました!
0はじめまして。簡単に読後感を書きます。 鈍感な者は鈍感な者どうし、繊細な者は繊細な者同士でないとうまくいかないのかも知れませんね。これを読むと、そんな風に思えてきます。 将来の夢だとか、いまの仕事のことやなんかを、「結構真面目にみんな話して」いるときでも、「秘密主義」にみえる「彼」。 こういう人は、私の経験だと、実際に何も考えていない人が多いんですが、そうでないとすれば、 「彼」は、じぶんが、正直に言ったときの周りの反応を知っているわけでしょう。言えば、笑われるか、蔑まれるか、あるいは逆に、嫉妬されるか、あるいは、同情されるか。そういう反応を見越して、敢えて黙っている。密かに抱えている方が、周囲との関係を静かに保存しておける、だから、皆が話しているときに、《黙っていなければならない苦痛》を選んでいるわけでー「彼」を、作中話者自身も「優しい・立派」と評するカンジに通じるものでしょうー、(わたし的にみれば)言わないことで言っている、沈黙で表現しているのだ、と思います。 また、作中の「私」も、 《どうして秘密なの、心を開いて話してよ。なんでそうしてくれないのよ) と、直接「彼」に向かって、言いはしないで、この作品のような事柄を別の所に綴るわけです。 ぶつかると、関係が壊れてしまうと感じるような、互いに信頼のないカンケイのなかにいる。 しかし、「彼」のほうは、ふと、どこかで、秘密の内容を、ちらっと漏らしてみたり、何気なく滲ませたり、話そうとした瞬間があったり、したかも知れません。でも、「私」は、そんなときに限って、気づかなかったり、他のことに夢中だったり、記憶してなかったり、最悪、受容拒否的だったり、するように、「彼」には見えているかもわからない。 「いっそ嫌いだと言って」ほしい、作中の「私」に対しては、 作中の「彼」は、ずっと《お前に俺を愛せるものか》と言っているような気がします。 そんな見えない平行線を辿るように いろいろ考える上で、 いい作品だと思いましたが、文体に工夫が足りないように思いました。 もっと下手にするかもっと上手くするかすると、この作品はもっと作品らしくなります。 このままだと、たんに、作者の思いに終始するだけのものとして評価されてしまう可能性も高くなります。最終行の一文によって、特に、そう感じられるわけです。 その理由は、ここで切り取られた世界が、(明示的にはでなく、暗に)おのずと読者に《コミュニケーション》の問題を提起してくるけれども、その問題についての作者の認識は、最終行の一文なわけですから、本当は作者にそういう問題意識があるのだ(と仮定しても)、この一行程度のものなんだな、で終っているからです。 (以上です)
0好みはいろいろだと思いますが、自分はこれ好きです。最後の一文が特に。抑え気味の淡々とした流れのなかで、相手に対する本当の気持ちが最後にどうしても抑えられなくてはみ出てる感。
0何となく、僕の作品と似ているところがあると思って読んだのですが、構成は似ているものの、本質的な何かが違うように感じてしまいました。それはさておき…。 冒頭にある「今更わかったこと」というのは何のことでしょうか。タイトルのことでしょうか。それとも、彼が秘密主義だったことでしょうか。彼のことを結局知らないままであったことでしょうか。これらを総じてのことでしょうか。いずれにしても、彼のことに対して今更わかったことがあるということでしょう。 久々にあった同級生とその中にいる彼。付き合った時のことだけでなく、今の彼もかっこよく、言い方・仕草が好きだったことが思い起こされ、もやもやする。この感覚が非常にわかります。 公園に行ってから、展開が変わります。彼の決定的な特徴、それがわたしにとっていいところであり、いやなところでもある。それが人の話ばかりきいている秘密主義者だということ。そのことによって、わたしは彼のことを結局何も知ることができずにいた。それは今だってそう。そのこともまた昔と今も変わらずにいて、私はそのことに嫌悪を抱く、というよりも、「どうしてなのかわからない」という感情を抱く。この感情が発展して「私のことどうでもいいならいっそのこと嫌いだと言ってほしい」というタイトルが導かれていく。 最後にとってつけたかのような一行があるのは、まだもやもやしている私の感情を整理するための言い訳なのでしょう。もう昔/今の彼との決別を告げたいというわたしの意思表示なのでしょう。でも、気になるのは、やはり彼がわたしをどう思っていたのかということ。それはまた、どういうきっかけで付き合って、どういうきっかけで別れたのかという理由を読者が何となく知りたくなってしまうと同時に、彼の感情を知りたくもなってしまうのです。ただ、基本的には、わたしから見た彼しか描かれていないので、わたしの感情が爆発されており、わたしの欲望が描かれているのみです。 彼もまた人間であって、何か楽しいこと、苦しいことは他の人間と変わらないように何かしらあるはずなのです。そういったところを何も覚えていなかったというわたしに対して、読者である僕は何だか悲しくもありました。彼はわたしの話を聞いてくれたから、多分わたしのことを忘れていないんだと思います。それで、僕が敢えて問いたいのは、わたしは彼の話をどれだけ聞いていたのか、ということです。途中にある「肝心なことは全部そっと包んでそのへんのゴミ箱に捨てる」というのは誰の行為なのでしょうか。この作品に描かれた部分に限れば、最終連を読むに、ゴミ箱に捨てようとしている、もしくは積極的に捨てられたがっているのは、わたしなのだと感じました。
0なんだかお話がおもしろくないなあ。すげえ失礼な言い方でたいへんもうしわけない。文体はすげえ素敵なのに、てゆうかなんか超読みやすい。こんだけリーダビリティが高いと、漫画みたいなテンポですすむと思った。漫画の吹き出しは、喋るように書いてある。センスだと思う。「喋るように書け派」と「書くようにきちんと書きなよ派」が文学にはあるんですよね。たぶんどっちも良し悪しがあるよね。俺が思うのはさ、どっちも使えたほうがいいんじゃないかなってことです。技術はフォークとかナイフみたいであるべきだと思うんだよね。晩御飯でステーキのときはそれをなるべくうまく使う。でも目の前にお茶碗があるときはお箸が必要だから。もちろん世界一美しくフォークを使うひとは超余裕でお茶碗のライスなんか朝飯前だろうけどね。
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