別枠表示
贈与
寒さに迷えば もと来た道を 戻る気にもなれず さりとて行く気にもなれず 立ち尽くす 何も欲しくはないのに 何もかも渡される 何も持てずに立ち尽くせば 誰かが何かを置いていく 地蔵になる 私は地蔵なのかと問う なめらかな石の肌の 黒橡の冷たさ あなたからもらったものを 私は私に捨てていく 私から私への贈り物 なんて素敵な包み紙 もう持てないので ここに居ていいですか 皆さんはどうぞお先へ 私はこの辺で 私の贈り物からは 暴力的な贈り物からは 花が咲くだろう 暴力的に咲くだろう
贈与 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1256.7
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 14
作成日時 2020-10-16
コメント日時 2020-10-19
項目 | 全期間(2024/11/23現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 5 | 5 |
前衛性 | 2 | 2 |
可読性 | 2 | 2 |
エンタメ | 1 | 1 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 1 | 1 |
構成 | 3 | 3 |
総合ポイント | 14 | 14 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 2.5 | 2.5 |
前衛性 | 1 | 1 |
可読性 | 1 | 1 |
エンタメ | 0.5 | 0.5 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0.5 | 0.5 |
構成 | 1.5 | 1.5 |
総合 | 7 | 7 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
地蔵と言えば思い出すのは六地蔵などなのですが、植物の黒橡も大切なポイントなのかもしれません。この詩の主題、贈り物。「花」が咲く。暴力的に咲くとは何であろうかと思いました。タイトルは「贈与」で法律用語。詩の中ではカジュアルな表現ともなりうる「贈り物」と言う言い方。そのギャップもこの詩の主題として展開しているのかもしれません。
1早速のコメントありがとうございます。幅広い読みの中で問いを喚起されており、そのどれもが刺激的でありがたいです。 ただ、解釈は自由であるべきと思いつつ(バルト曰く読者が生まれるとき、作者は既に死んでいるのですから)、作者のエゴで一点だけ。 「贈与」は確かに法律用語でもありますが、ここではそれよりもずっと広く抽象的な意味で使っているつもりです(それこそ、モースの『贈与論』よりも広い意味で)。
0何かを贈られることと、道を歩いていくことが並行して行われており、ここでいう贈与とは何か大きな意味があるのだろうと感じました。 >私から私への贈り物 >なんて素敵な包み紙 包み紙だけが素敵で内容が伴っていない皮肉にも聞こえます。 最終連の、暴力的な贈り物とはもらう側のことを考えていないもの、望まれていないものを想像させ、さらに >花が咲くだろう >暴力的に咲くだろう とはどういうことなのか考えました。個人的な解釈ですが、彼岸花を思い出しました。「庭に咲くとよくない」と言われている彼岸花が庭に急に咲いたりするとぞっとするからです。とても暴力的な印象でした。
>花が咲くだろう >暴力的に咲くだろう この部分が特に心に残りました。 自分の話になってしまうのですが、私の好きなアーティストの音楽が、まさに暴力的に私の心に咲くのです。今までの自分の価値観を殴り潰して、人生の見方を丸ごと変えてくれる。そんな彼の歌は、彼自身の叫び、怒号のように私には聞こえています。この詩の中に出てくるこの部分も、「私」の悩みや迷い、苦しみから発生する怒りや叫び、悲鳴のようなものだと私は思いました。
1コメントありがとうございます。 彼岸花の話、とても興味深かったです。不吉な花が咲くときのゾッとする感じには、たしかに暴力性を感じますね。
0コメントありがとうございます。 好きなアーティストとはどなたなのか、気になりますね。おっしゃるとおり、音楽もまた暴力的に咲く花なのかもしれないなと思いました。
0