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鳥は十字架に似ている
1 空の割れ目から鳥が落ちてきた 私はそれを手のひらで受け取った まだ生きていたけれど、虫の息だった このようにして私は粉々である 雷光が射し、鳥は絶命した 私は鳥の死骸と口づけを交わした 秘密を交わした 情緒を交わした 契約を交わした このようにして翼を得た 私の中に何か尖ったものが入ってきて私は痛い!痛い!痛い! 早く示せ!まだ何も分からない! 空に爪痕を残しながら飛ぶ どこへでもゆける 私 世界があるっ! 眩しい! 2 やがて 次第に夜へと倒れてゆく空の中にいて、私は思った この夜という巨大な影はいったいどこから落ちてくるのだろう この雷という美しい光はいったい誰を殺すのだろう 私は初めて思うということをしたと思い、 私の鳥の頭は何も知らず、 また、 私の鳥の目は全てを忘れない、と思った そのようにして、いつしか十年の時を過ごした 3 そして私は思い出した 飛べばいつかは落ちるということ、そのための翼だったと あるいは、私の影は十字架に似ている 解けるように全身の力が抜け いつか見た割れ目に吸い込まれていく 誰かの手のひらがそれを受け取ってくれると信じる
鳥は十字架に似ている ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1475.0
お気に入り数: 1
投票数 : 0
ポイント数 : 5
作成日時 2020-09-15
コメント日時 2020-09-26
項目 | 全期間(2024/11/23現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 3 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 2 | 1 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 5 | 2 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0.7 | 1 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 1.7 | 2 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
文章の中の"いく"を全部”ゆく”で統一したかったのですが、一箇所”いく”が残っていてめちゃくちゃ悔しいです。見逃してください……
0あとタイトルも「空飛ぶ鳥は十字架に似ている」に改題したいです。すみません……
0張り詰めた何かが伝わってくる、とても美しい作品だな、と思いました。 「この雷らいという美しい光はいったい誰を殺すのだろう」 すごく好きです。
0鳥が落ちてきて翼を得るというのは、ほんのりと輪廻転生を思わせます。一貫して乾いている空気がありますね。
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