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私とこの子
私は、この子を不憫だと思っていた。 いつからだろうか、この子と過ごすようになったのは、私達の通っている学校ではいじめが頻繁に起こる。 ターゲットは、私達。 いじめは、毎日毎日起こる。 それでも、学校自体は楽しかった。 私はいじめられていても、あまり気にも止めていなかった。どうでもよかったのだ。 でも、この子は違う。 内気で、臆病で、体が弱く、女の子が苦手…。 そんなこの子をある日の課外活動の時に、いじめグループが、女の子だけのグループに無理矢理入れてた。 私は、残酷だとは思ったがこの機会に女の子に対する苦手意識を無くして欲しいと思った。だから、私はこの子に「あるおまじない」を教えた。 「私は、ずっとそばに居るから何があっても怖くないよ。」 そういうとこの子は安堵したような顔をこちらに向けて、自分のグループの方へ向かって行った。 「あの…一緒のグループにな…ったのでよろ……しくお願いします……。」 下を向いる上に、あまりにも小声過ぎて、女の子達には届いていない……。私はやっぱり、ダメかと思い始めた時、 「小声で何言ってんのかわかんない」 1人の女の子がそう放った。 その子はビクッと体を揺らし、震えだしてしまった。 すると、その子は 「大丈夫、自分には・・・がついてる…… 大丈夫、自分には・・・が……」 おまじないが口に出てしまっている…………、 、 私は、ため息をつき そろそろ助けに行こうかと思ったが女の子達は 「ぶつぶつなんか言ってるんだけど、キモ…… もう、行こ……」と言ってこの子を置いて行ってしまった。 その場に立ち尽くす事しか出来なくなってしまったこの子を私は、「よく頑張った」と肩を叩き、仕方が無いので2人で帰路に着いた。 それから、私とこの子の特訓が始まった。 人に聞こえるように、大きな声で話す。 人の目を見て話す。 怯えない。 おまじないは口に出さない。 この4つを必死に克服しようと頑張った。 来る日も来る日も話す練習を重ねた。 何回やっても上手くは行かなかったが、それでも練習は続けていた。 特に、おまじないを口に出してしまう事を治すのにとても苦労した……。 私が「おまじないが口から出てる。声に出さない。」と言うまでこの子は気づかない始末だった。 そして、また課外活動の日がやってきた。 その日はいじめグループの虫の居所が悪かったのだろうか、この子は殴られ顔から血を流した状態で女の子のグループに向かって行った。 これで私の役目も終わりかと思ったが私の方に駆け寄ってきて、 この子は、真っ直ぐと見つめて、大きな声でこう言った。 「私のそばに居てくれてありがとう。私を助けてくれてありがとう。 私と、友達になってください!」 ああ、私はこの子が不憫だと思っていた。 人と上手く話せないわ、いじめられるわ、 もう消えてしまうと言うのに、 友達になってくれだなんて。
私とこの子 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1031.6
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ポイント数 : 0
作成日時 2020-09-04
コメント日時 2020-09-04
項目 | 全期間(2024/11/23現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文