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古びたデジタル時計への愛の詩
デジタル時計の突然の疲弊 何の音もない空間に何の音もせず 徒に静止して何の表情も示さない ごめんねの一言は喉から出ない ごめんねの震えを喉ぼとけは感知しない だってそれはデジタル時計 命令に忠実なだけのデジタル時計 たまにミスするデジタル時計 時間の相対性が証明されたあとで 淡々と生まれた時計のひとつ くるくる針がまわっちゃあ 三半規管が壊れちゃいそうだって そうやってぼくはデジタル時計だけを 愛することに決めたんだっけ そうだっけ 君の液晶はダークマターのように 何一つ皮膚で感じられない smartphoneで見る時計は綺麗で アイツがたまにする計算ミスもなくて 世界中の時間を瞬時に計算してくれて 就寝時刻にそっと声をかけてくれて アイツにできない実務をしてくれて 疲れてもすぐに回復するパートナーらしい オーロラ色の夕日が差し込む時間帯 君の角ばった頭を撫でてみた それは、ただのデジタル時計 それは、たまに計算ミスをする それは、この場所の時間しか計算できない それは、就寝時刻にも私を無視する それは、突然疲れ果て、突然だんまりだ それは、おおよそ、過去の遺産のような扱いらしい
古びたデジタル時計への愛の詩 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1948.0
お気に入り数: 1
投票数 : 0
ポイント数 : 18
作成日時 2020-03-17
コメント日時 2020-03-26
項目 | 全期間(2024/11/23現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 5 | 5 |
前衛性 | 4 | 4 |
可読性 | 2 | 2 |
エンタメ | 2 | 2 |
技巧 | 2 | 2 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 3 | 3 |
総合ポイント | 18 | 18 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 0.8 | 0 |
可読性 | 0.4 | 0 |
エンタメ | 0.4 | 0 |
技巧 | 0.4 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0.6 | 1 |
総合 | 3.6 | 3 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
お邪魔します。 どうしてこんなにも難しい話題を選んだのだろうか、と言うのが最初の印象でした。わたしなら、この話題を作品に出来る腕がないので、まず手を出さないです。 デジタル時計とスマートフォン。一昔前なら、チクタクのアナログ時計と無音のデジタル時計の対比だったんでしょうけども。正直、すこぶる難しいです。使い古されたネタですし、半分まで読むと恐らく大抵の人が最後までの流れを読めてしまうので、読ませる作品まで昇華させようとすれば人並み以上、更に数段上の視点や発想を求められるでしょう。平易ゆえに、とんでもなく難しい。 本作品は技術の練習を兼ねているのかなと読めました。 説明→感情→説明→感情の流れから入って、雰囲気に鋭さを射し込むダークマターやsmartphoneの単語。よそよそしいスマホの説明と、デジタル時計の現実味の籠もった説明。繰り返しの「それは、」。 らしい、の使い方もスマホとデジタル時計では違いますね。誰かから聞いて述べているかのような自分の意見と、自分とは異なる周囲の感想。 色々な手法が使われています。 わたしの感覚ですけども、形は間違っては無いんですよ。ただ、いまいち効果を発揮できていないように見えます。用法用量を間違っているような。どこがどう機能していないのかを書ければ良いんですけど、わたしも正確にはわかってないのです。あ、ただ、「らしい」の使い方は凄く上手だなと思いました。 日常を作品に出来たら、間違いなく有利に働く。ネタが尽きることは無いですからね。普段見聞きしているものを興味深く書けたら最高だとわかってはいるんですけど、わたしはよく諦めてファンタジーに逃げてます。ふじりゅうさんは現実の話題の方が強そうですね。これは羨ましいです。
0ありがとうございます。 確かに難しい題材かもですが、それをものにしたかった悔しさが非常にあります。 分析痛み入ります。恐らく、何となく培った技巧的な何かはあるのですけれど、そんな小手先で作品を纏めようとしてしまっていて、自分が目指している、捻れた世界と感情と人、を全く意識していなかったような気がします。 勉強になります。頑張ります。
0ありがとうございます。 優しい世界、或いは、いわゆるラブアンドピース的な何かを書こうとした、つもりの作品です。忘れられていく時計への、忘れられることへの情を、失念したくない気持ちで書きました。ただ、作品へもうひとつ向き合えていなかったのかもしれません。 今一歩頑張ってみます。
0>それは、この場所の時間しか計算できない >それは、就寝時刻にも私を無視する >それは、突然疲れ果て、突然だんまりだ この「過去の遺産」とふじりゅうさんが仰っているもの、その通りだと思います。 過去に活躍していたスポーツ選手の持っていた記録のようなものですよね。いずれ塗り替えられるのがほぼ確定しているような… ふじりゅうさんの着眼がとても冴えているなあと驚きました! そして、とても読みやすく優しい作品でした。 また読ませてください。
0ありがとうございます。ある先輩は、自分の部屋に時計をひとつも設置していない、時間の把握は全てスマホで行っているというお話をされたことがあり、自分にとってかなりの衝撃だったことを覚えています。そのエピソードが土台となっておりますが、もう少し濃密な展開にできたのではないかと、自己反省をしております。とはいえ、おほめにあずかり光栄です。
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