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懐かしさに、時を知る
昔々に好きだった、あの耳に残る音楽を、 その詩を、あの旋律に乗せて、 随分と久方ぶりに口ずさんでみる。 ふとした拍子になんとなく、ただ思い出しただけのその瞬間に、 昔々にはなにも思わず、額面通りに捉えていたその詩にこもる、別の意味を見つけ出して、ぱちりと目が瞬いた。 それはあの時見ていたのとは異なる顔、だったのか、 それとも、 本来歌ったひとの意図はそこにあったのか。 子供だった私が拾えなかったそのこころが今、時を越えて拾えたのなら、それってきっと、いや、もしかして。 あのころあこがれたおとなになった、ということなのか、 それとも、 子供の頃の、言葉を丸ごとするりと飲み込む純朴さを失った、ということなのか。 それってとってもうれしいような、 あるいは、 どこか奇妙に複雑なような。
懐かしさに、時を知る ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1390.2
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 8
作成日時 2020-03-03
コメント日時 2020-03-28
項目 | 全期間(2024/11/23現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 3 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 4 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 1 | 0 |
総合ポイント | 8 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 3 | 3 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 4 | 4 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 1 | 1 |
総合 | 8 | 8 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
本作の最後「奇妙に複雑」な感情となったことが伺えますが、本作で主人公が「奇妙で複雑」になるに至るほどの詩中の描写が不足しているように見受けられました。大人になることは、私も不思議な感触がありますし、それを奇妙と形容することもおおよそ不可能ではないのですが、そういった「大人になるのは、どこかうれしいけれども、どこか奇妙で不思議だ」をいう気持ちをただその通りに表すのではなく、詩文の如何で読者へ切迫させてほしい、と、そのように感じました。
つい最近御年60を超える母が何かメロディを口ずさんでいたんですよ。何の歌か?と尋ねると「私の若い頃に流行った歌、何てことない歌なんだけどね」と笑っておりました。続けて「どうしてこの歌を口ずさんだのだろう」とも。まさに母の心境はこの詩に描かれているようなものであったのかもしれませんね。新たな、新しい発見、気づかなかった何某かの情緒、メッセージ。その辺りがとても良く描かれていたと思います。ただ一点現代詩として見ると、もっと工夫のしようがあったかなとも感じます。着想が良かっただけに惜しいとは感じました。
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