別枠表示
クロカンスキー
雪原の海を漕いでいく 誰もいない世界を漕いでいく 雪の海はとうに過ぎ去った者の軌跡で荒れ果て 足を スキーを取られつつ 漕いでいく (一歩滑走 二歩滑走 パスカング) 遅い 進まない (一歩滑走 二歩滑走 パスカング) 遅い 進まない (一歩滑走 二歩滑走 パスカング) 思いは体に伝わらず 強くなり始めた風雪は 潮の様に 体にへばりつく (一歩滑走 二歩滑走 パスカング) 広い銀の海 沈みそうになる 白の水 延々と続く 同じ動作の航海 孤独に進み 焦燥と疲労と着雪だけが 共にいてくれる (一歩滑走 二歩滑走 パスカング) 誰が見る事もなく 視野を遮りだした吹雪が 白く 更に覆い隠してしまう (一歩滑走 二歩滑走 パスカング) (一歩滑走 二歩滑走 パスカング) (一歩滑走 二歩滑走 パスカング) 冷えだした体が 喘ぎ声を上げる (一歩滑走 二歩滑走 パスカング) (一歩滑走 二歩滑走 パスカング) (一歩滑走 二歩滑走 パスカング) 冬 未だ遅々と進んでいく (一歩滑走 二歩滑走 パスカング)
クロカンスキー ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1637.8
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 21
作成日時 2020-02-15
コメント日時 2020-02-25
項目 | 全期間(2024/11/23現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 6 | 6 |
前衛性 | 1 | 1 |
可読性 | 4 | 4 |
エンタメ | 1 | 1 |
技巧 | 2 | 2 |
音韻 | 5 | 5 |
構成 | 2 | 2 |
総合ポイント | 21 | 21 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 3 | 3 |
前衛性 | 0.5 | 0.5 |
可読性 | 2 | 2 |
エンタメ | 0.5 | 0.5 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 2.5 | 2.5 |
構成 | 1 | 1 |
総合 | 10.5 | 10.5 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
雪がめったに降らない地に住んでいるのですが、クロスカントリースキーがどういったものであるのか荻原次晴さんの解説動画を見ながら拝見させていただきました。 動画を見てみると、かなり過酷なスポーツなのだということがわかります。詩全体で面白いなとおもったのは、雪原(せつげん)を海に喩えているところ。誰もいない海と誰もいない雪原、一見同じような風景に思えるけれど、雪は確実に足跡を残しますよね。 特にクロスカントリースキーだと、たくさんの人たちが滑った後はかなりぐじゃぐじしゃ、でこぼこしていて、滑りにくい。 この詩の中で、 (一歩滑走 二歩滑走 パスカング) という言葉が何回も出てきますが、頭ではわかっているのに体が思うように動かず前に進めない辛い様子が伝わってきます。 もちろん、傾斜の角度だったり、傾斜のない平坦地であったり、雪の状態でずっと同じ動きではないと思うけれど、基本的に同じ動作を延々と続けていくことを、そのまま詩にしているところが好きです。 さらに、競技中にふぶくシーンは特に辛そうです。傾斜を上るときは体の筋肉をすべて使って上るそうだから、雪がべったりと体にへばりつくという表現は、さらに過酷な状況を表していますね 海ではなくて、地面の上に雪があり、体重を足で感じているはずなのに、この前に進む動作をやめてしまうと、海のように沈んでしまいそうになる恐怖、 優しく包み込んでくれる雪ではなく、自分を飲み込んでしまうのではないかと思うような雪を「白い水」と表現しているように感じます。 とにかく、前に進まなければならない(一歩滑走 二歩滑走 パスカング)この動作を延々と続けるしか方法がないという現実。 >孤独に進み >焦燥と疲労と着雪だけが >共にいてくれる この辛さ三兄弟みたいな書き方だけど、あまりにも孤独すぎて「いてくれる」と書いてあるところが涙が出そうです。 (一歩滑走 二歩滑走 パスカング) これがなんども後半に出てくる理由がとてもよくわかります。 この辛さはクロスカントリーを経験した人にしかわからないかもしれないけど、辛くても遅くても前に進もうとする様子がそのまま伝わってくる詩だと思いました。
0つつみさん、こんにちは。 まさかここまで読み込んでくれえるとは! 実は2008年、現役自衛官の時に書いた詩を書き直しました。 この時、しょっちゅう駐屯地近くの演習場で一般に使われているのとは違う、自衛隊の官品スキー(重く滑りにくい。大量生産のためか?)でクロスカントリーをやっていました。 コツを掴めないと、またフォームが崩れスキーを滑らせなくなると、相当疲労が溜まるものでした。 このクロスカントリーでの走法が何度も繰り返す、一歩滑走、二歩滑走、パスカング(今はダイアゴナルと呼ぶそうですね)です。 どんな状態に追い込まれてもやめる訳にはいかず、時に罵声を浴びながら、猛吹雪に見舞われながら、置いて行かれ孤独に遅々と進みながら、場合によっては30キロの重りを背負いながら、数人がかりで100キロ以上のそりを引きながら、スキーを漕いでいました。 自衛隊時代で大変だった訓練のひとつでした。 この苦労を感じてくれたようです。これを書いた甲斐がありました。
0(一歩滑走 二歩滑走 パスカング)。このフレーズの繰り返しのパターンで違う様相(遅々として進まない事への苛立ちのような感情や黙々と進む風景)が浮かんできました。凄い技工的だと思います。
0ミリウェイズさん、こんにちは。 クロスカントリースキーでやる事はただただ一歩滑走、二歩滑走、パスカングです。(少なくとも自分としては) それをしつつ苛立ち、絶望、焦燥、無心、興奮などを感じたものです。 大半は苛立ちと絶望でしたが。 その感情が滲み出たかもしれません。 あの時を思い出すとこのような表現になりました。 結果的に技巧的になったようです。
0拝読していると筋肉の律動が伝わってくる感じがしました。まるで歩く回遊魚のように 休みなく歩くしかほかに生き方がないかのようだと感じました。 パスカング 歩く回遊魚と ┣他人┳ひと┫は云う (雛祭イベントで、五七五調でコメントしてます。) https://www.breview.org/forum_blog/archives/668
0あれ? ふりがなのつもりでした。ごめんなさい。
0真清水るるさん、こんにちは。 歩く回遊魚とは言いえて妙。まさしくその通りです。 仕事でやっているのもあり、やめるにやめれないんです。 しかもゴールしたらしたらで遅いと怒られる。 大変でした。
0