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街
今では子供の頃に夢見た高級車は身体の上を這うばかりで、隠れて悪戯をした手で夕飯の買い物をしている。片鱗ばかりで出来上がった身体はことあるごとにぽろぽろと崩れてしまって、細く弱くなった自分を誰より心細く思う。母の虫の居所が分かれば潰しに行こうと思っていたけど、大人になっても分からずじまいで家を飛び出てきてしまった。引っ掛けて破れて切れた服の内側を見たら、きっと随分と遠くまで来たのだ。 褪せない色は紛い物ばかりで、真実は暴力的だ。逃げて、逃げて、逃げて逃げて尻尾もないのにまいてきた。空洞みたいな言葉に呑まれて息が出来ないせい。詰まった脳みその友達が、君は本当に何も知らないと言う。月のライトに照らされて無知は明るみに晒される。あなたの名前は何だっけ。本当に僕は何も知らない。 さよなら、さよなら、この街の全てよ。 ひとつもお前のことなど覚えてはやらない。
街 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1427.7
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2019-12-08
コメント日時 2019-12-16
項目 | 全期間(2024/11/23現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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エンタメ | 0 | 0 |
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構成 | 0 | 0 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
>月のライトに照らされて無知は明るみに晒される ここ感慨深かった。月の光すら人工的になる。 だからこそ、人の心は石にはなり得ないと確認できる。
0舜舜さん、ありがとうございます。 そこは最後まで迷っていた箇所で、最初は「月のライトのスイッチが〜」とかもっと人工的なものとして書いていました。 読み取っていただけて嬉しいです。
0思い出がないまちを離れるとき こんな感じになる気がします。 逃げてばっかりで何もなかった。何も知らなかった。 最後の一行で、別にそれでもいいかなって思いました。 >きっと随分と遠くまで来たのだ。 これ好きです
0ヒロムさん、ありがとうございます。 その通りで、なにも特別にする必要はないんですよね。決別は美しいものじゃなくてもいいんです。 具体的な箇所まで、励みになります。
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