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夜に書く
よく冷えた夜から満月を取り出して グラスに入れてウヰスキーを注ぐ 使い古された光を頼りに 手紙のような日記を書いた 最古の夢で出会った君に電話を掛けたこと 夏が突然降ってきて何人か人が死んだこと 蓄音機から溢れた音楽のスープが部屋を満たしたこと 育てていた蛹が腐り始めたこと 私の身体に流れていたのは限りなく青い泥だったということ 君と見た映画が空に投影されていたこと 段々寒くなってきたこと 咳が止まらなくなってきたこと 君が植えた花が枯れたこと 寂しいと思ったこと 人生を考えたこと 日記みたいな手紙にそれだけ書いてペンを置いて 半月が浸かったウヰスキーを飲んで 死んだばかりの新鮮な星を摘まんで口に入れた 噛んだらバニラの味がしたことも書こうか 眠れば君に会えるだろうかと 紙を破こうとして止めて 満ちた音楽を窓から流し出して 夜の中へグラスを傾け 三日月を空に嵌めた
夜に書く ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1334.6
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 15
作成日時 2019-11-24
コメント日時 2019-11-26
項目 | 全期間(2024/11/23現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 7 | 7 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1 | 1 |
エンタメ | 2 | 2 |
技巧 | 5 | 5 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 15 | 15 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 1.8 | 2 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0.3 | 0 |
エンタメ | 0.5 | 0.5 |
技巧 | 1.3 | 1 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 3.8 | 3.5 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
ウヰスキーの中の月がだんだん欠けていく様子、「君」への思い、「音楽のスープ」が部屋に満ちて、最終連では、窓から流し出すという表現が、心地よく想い描かれる詩でした。 >夜の中へグラスを傾け >三日月を空に嵌めた 空に返すのではなく、「嵌めた」という表現が好きです
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