別枠表示
空に願う
青に染まった空とも 人とも向き合わず 人として向き合わず 布団の中で夢を見ない 虚しい願いが叶うわけもない 自分がいないのに人がいると思えるわけはない 願いは誰から誰へ 人を何人傷つけたかは分からない 人格の裏表を占ってみれば いい人は裏を持ちつつ表をなくさない人 私はどちらでもいいが 健やかさは夢の中で実体になる 悲しさを思わず 苦々しく肺の中につぶやかない 誰のせいでもないという確信が揺らぎ ずっと耐えることが何らかの答えを生むと思って そっと 撫でていく暴風雨の心よ 脅迫する雨の中で 積極的に足を踏み入れることで 無秩序に並べられた記憶を持つ 今は壊れていない私を踏み台にして 花火が開く場所である空を頼ることを 瞼の後ろで記憶することによって 久しぶりに開いた帳面に浮き上がる文字からも 多くの存在が花開く 壊されぬ私の中で 青い空を水色に塗る気持ちは 水と空気でできたものを 恭しく抱くことか 平和で何を失うのか 平和で何を得るのか 危険の裏 悪魔はなぜ人の存在とともにあるのか 怯えと脳内麻薬との互いの交代を 柔らかく包んで自分の中に持つ 何かが答えとして表せなくても十分だ 何も見えない人にも願いがある 両面が表のコインで裏表を決めたい ギャンブルの恐ろしささえ 誰かが負わねばならないとは言わない 支えることはできる 空のある私は 物的な答えをどのように扱ってでも 自分の苦しみから答えを出すことをしたくないから 夢幻の中にいて 立ち上がる日を先延ばしにしながら 底の見えかかった池をのぞき込む いつかも今も私を水が映している 嘘をついたり正直だったりした救われない人生の中で 空を眺めていたときは無意味ではない 私と私の上にある空が水に映っている 子供を守る大人 他人を守る自分 誰にも相談しない子供は 自分が助けを待っているとは気づかないでいる
空に願う ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 2145.8
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 56
作成日時 2019-08-15
コメント日時 2019-09-15
項目 | 全期間(2024/11/23現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 52 | 51 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 4 | 4 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 56 | 55 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 17.3 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 1.3 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 18.7 | 4 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
こんにちは。 タイトルに惹かれて拝見させて頂きました。 とても素敵でした。 共感できる言葉もあり、自分も見習いたいなと思いました。
0こんにちは、月隠緯檻さん。 読んでくださりありがとうございます。 タイトルに注目いただいて嬉しいです。 素敵など過分な言葉です(照 共感してくださり嬉しいです。 慌てず落ち込まず書いていきたいと思っています。 自分の存在の中で良いと思うことを残していきたいので、これからも書いていきます。
0おはようございます。先日 十数年ほどひきこもりだった友人と会話をしました。 まさしく、その人は「誰にも相談しない子供は自分が助けを待っているとは気づかないでいる」……状態だと診断を受けたことのある人です。 わたしがささいなことに感じていることが、その方にとっては ささいなことでなかったりします。 この詩を拝読していると冒頭では「青に染まった空とも/ 人とも向き合わず /」とあるのですが、私の場合は その方と重なりました。中盤では「空のある私は/物的な答えをどのように扱ってでも//自分の苦しみから答えを出すことをしたくないから/」 と、「空」は 向き合っていないものから 空とは在るものとへの変化をしていることが 私には、励ましに思えて 美しく感じました。日本語って不思議ですね。 「みずから 」という言葉を思い出しました。「自ら」です。 「おのずと」という言葉と同じ漢字だなあと「自ずと」って書くなあ。空と似てるなあ。と、思ったのです。 自分でなんとかしようとしようとするのと 自然になんとかなるのは、この詩でいうところの「空」の二つの表現に似ているような気がします。そして、なんだか なんとなくなんですが、ひきこもりの私の友人と それとなく「空」を感じつつ触れ合えたらなあと励まされたのです。ありがとうございます。
0るるりらさん コメントありがとうございます。 とても、ささやかな部分まで、読み込んでいただけて、やはり、るるりらさんの目の確かさを思いました。 そして、考え方が、確りとしていらっしゃって、僕自身が、細かいところまで書いたところも、 しっかり読んでいただけて、沢山の確りした目、見方を持っていらっしゃると。 日本語の優れたところを、考えていらっしゃって、例えば「空」ですね。色んな使い方ができる ということでしょうか。「自ら」「自ずと」と、「空」の類似性とかもおっしゃっておられますね。 「空」という言葉も、人が担っていかねばなりません。そういう意味で、「空」を見て、「空」という 言葉を使って、「空」と共に人が生きていくということは、何にも劣らないくらい、大事なことで、 決していい加減ではないことだと思います。 「誰にも相談しない子供は自分が助けを待っているとは気づかないでいる」という、最後のフレーズは、 デパートに行ったときに、ショッピングカートをしまう場所で、3歳くらいの女の子が、 ショッピングカートを押したり引いたりして、一人で遊んでいるのを見て、親はどこにいるのだろう、 迷子になってはいないだろうか、と思ったことがあって、その時に、そんなことを考えたのです。 相談したりすることを、覚えていない子供は、しっかりと守ってあげる気持ちを持っていないと、 危険な目に合うことも多いだろうと。そういう心持で、女の子の気持ちを想像すると、自分についても、 そんなところがあるんじゃないか、と思ったのです。 それと……苦しみから答えを出すことは、できないのではないかと思いました。女の子が、 泣きながら、不安の中から救われるという体験は、経験としては良いのかもしれませんが、 そういうことばかりがあると、確りとしていなければ、心の負の方へ傾いていってしまうことが あるのではないかと思いました。自分に照らし合わせてそう思ったのですが、人に必要なのは、 一体何なのだろうと、思います。精神の連続などが、答えとしては、浮かんできます。
0「誰にも相談しない子供は 自分が助けを待っているとは気づかないでいる」 ここが個人的にとても好きです。 私は中学の時に、生徒会長(だったかな?副生徒会長かな?)から嫌がらせを受けていて、今思えば、先生に言いつけようと思えば出来たのですが、なぜかそうしなかった。その発想自体無かったんですよね… 自分には助けが必要なのに、親も兄弟も友達もいたのに、それを表さなかったんです。 とても個人的な話をしてしまい、申し訳ないです。同じ匂いを感じましたので! 空模様が淡々と描写されているのも、魅力ですね。 良かったです!次回作期待してます。
0せいろんさん コメントありがとうございます。 子供は、能力が一斉に成長するわけではないから、どうしていいかわからないということもあると思います。 人のために何かをすることは、心配、つまり心を配ることによると思います。 せいろんさんは、嫌がらせを受けて、他人へ助けを求めるということが、考えに浮かばなかったんですね。 いま振り返ると、僕も心の中に子供がいるんじゃないかと思います。 そういう話も、怒りに変わってしまうようなら、それは自分と他人の間に、調和しないものがあるせいじゃないかと思います。 空模様ですが、空模様の描写は楽しいですね。
0黒髪さん、こんばんは。 返信ありがとうございます。 過分な言葉ではないかと思います。 本当に素敵な作品だと思っています。 自分も、見劣りしないような作品が作れるように精進していきたいと思います。
0