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今日の競争
選ばれないことに慣れたらどうなるのって君が尋ねて/僕/僕は「何も変わらないよ」って優しく諭してあげた(だってそれが僕の役割だったはずだから)/ねえ/君は今日もまた選ばれなかったらしいせっかく着飾った(嫌いなお化粧も頑張っていた)のに/君/君は今日もまた選ばれなかった。 選ばれなくて死んだらその死は誰のせいなのだろうって思う/選んだ人に罪はないけれども選ばれなかった人はきっと選んだ人を恨めしく思っているに違いない/だって/選ばれないことは否定に似ている(というか否定である)って思うからそれはきっと僕だけではないはず/でも選ぶ人に罪はないのもわかっているけれども/でも何度も何度も選ばれない(否定される否定される人生全てを否定され続ける)ことに耐えられるくらい君のこころは強くなかったみたい。 君は今日もまた選ばれないし明日も明後日もきっと選ばれない否定され続ける/けれども君は書き続けている着飾り続けている(それがもう自分じゃなくなっていることに君は気が付いていたけれどもでも君は選ばれるためには自分を殺して他の選ばれる誰かになるしかなかったこともわかっていた) 選ばれないことに慣れてこころが死んでしまわないように/選ばれないことに慣れなくてこころが死んでしまわないように/しんでしまわないように/君は今日も選ばれないから書き続けて書き続けて(そうして君は人生の/薄っぺらい/ペラペラな人生の全てを否定され続けて)書き続けて書き続けて書き続けてまた段々と知らない誰かになってゆく
今日の競争 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 851.8
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2017-05-25
コメント日時 2017-05-29
項目 | 全期間(2024/11/23現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
まずはじめに、この作品をちょっとどきっとしました。というのも、僕自身が選ばれることを望んでいる人間であるからです。 それはさておき、この作品で用いられている「/」は言わば呼吸であって、手紙でも文章でもなく、声や独白のように自ら確かめながら言葉を紡いでいるという印象をもたらしました。 選ばれないことを気にしている君、と、その君を優しく諭す役割を担った僕、による作品になっていて、ただ、この作品は僕が見た・思った世界で構成されています。最初の二行で不思議だったのが、優しく諭してあげるべき僕が「君/君は今日もまた選ばれなかった」とダメ押しをするように、繰り返して確認していることです。これは君に直接述べているのか定かではありませんが、選ばれなかった君を選ばれなかった君として僕はラベリングをしています。そして、「何も変わらないよ」というおそらく咄嗟に言った言葉は、僕の中で後ほど反芻されるのです。 次には、選ぶ人と選ばれる人との関係性についての僕の考察がされています。選ぶ人には罪はないけれど、選ばれなかった人は選ぶ人を恨む、そう僕が思えるのは、選ぶ人でもなく、選ばれる人でもない第三者であるからでしょう。でも、僕は選ばれなかった君に対しての思いやりとして「何度も何度も選ばれない(中略)ことに耐えられるくらい君のこころは強くなかったみたい」と気にかけている様子が伺えます。そして、選ばれないことは即否定であるという定義があります。 「君は今日もまた選ばれないし明日も明後日もきっと選ばれない否定され続ける」と、ここでもやはり、僕は君を気遣いながらも、君が選ばれない人であるという思いが強くあることが表されています。そして、「書き続けている着飾り続けている」ことがどういった意味をなしているのか。それは、「もう自分じゃなくなっていること」「自分を殺して他の選ばれる誰かになるしかなかったこと」と同義なのでしょう。つまり、君は嫌いなお化粧によって着飾って頑張っているということは、選ばれるための行為であり、同時に、君が君でなくなってしまうことが示されています。 君が選ばれるために頑張れば頑張るほど、君は君ではなくなってしまうこと、それが僕にとって一番気にかけていることなのでしょう。そして、君は選ばれないことに慣れていないから、選ばれるように努力を続けているのであって、選ばれないことに慣れて選ばれるための努力をしなくなったら、君が「何も変わらない」ものになるという冒頭に繋がります。 ああ、そうか、選ばれるための努力をすることは、自分を多少でも変えることであるのか、とこういった部分にはっとさせられました。この作品における僕は君が書き続けることで「知らない誰か」になってしまうと捉えていますが、それでも、この僕は変わり続ける君を追いかけていくのではないでしょうか。(だってそれが僕の役割だったはずだから)という役割は、単に君を優しく諭す役割を担っているだけでなく、もしかしたら君を変わらないように留めておくという役割も担っているのでしょうか。それとも、それは変わらないでいて欲しいという願望があるのでしょうか。それはもう想像の域なのでわかりません。 あと、この作品の面白いところであり、歯がゆいところは、この君は一体いつまで選ばれることに執着するのでしょうか。この文章を書いている僕も「選ばれる」ことばかり考える人間なので、むずがゆさもあるのですが、自戒を込めて、「選ぶ」側にまわることだって、いつだってできると思うんです。僕がこの作品を気になって、コメントを書くことを選んだように。あと、この僕は君=選ばれる人と選ぶ人を考察する第三者ですが、もしかしたら、この僕と君の関係は、君に選ばれたいけれど選ばれない僕の立場も隠れているのではないかと思いました。
0コメント有難うございます。 花緒さん 前回の作品でも言葉数の多さ・冗長さを指摘されました。もっと端的に作品をかけるように注意していきたいと思います。これは二年ほど前に書いた作品で、最果タヒさんの特に初期の詩にだいぶ影響を受けています。()や/の多用・言葉の重複はもろに影響を受けています。 なかたつさん 丁寧な感想ありがとうございます。以下、自分の話をして申し訳ないですがよければお付き合いください。 この作品は某雑誌に詩の投稿を初めて半年くらいたったころに書いていたもので、当時全然入賞できなくて選者の目に留まることすらなくとてもつらい時期でした。自分の作品のどこが悪いかわからないから、評価されている人たちの詩に題材や手法を近づけていくことばかり考えて、結局なにを書いているんだろうかと立ち止まった時にこの詩をかきました。この詩の僕は立ち止まった時の自分・君は立ち止まれない自分、なんだと思います。もう詩を書いて10年以上が経ちますが、こんなにも評価されないことが辛くて、詩は自分の時間の積み重ねだと感じていたので、これまで感じてきた時間は意味のないことだったのかとだいぶ精神的にきました。 いまはその雑誌への詩の投稿をやめて、自分の詩と別のものを通して向き合って、時間が無意味だとは思わなくなりました。作風自体も荒れて誰の詩なのかわからなくなった二年前の投稿時代すらも含めて、今の自分の作品の糧になってると最近は思えます。詩の投稿は本当に先の見えない光のない苦行ですが、それでも書くのをやめないのはやはり積み重ねた時間のおかげだと思います。良くも悪くも、時間だけはなくならないので。 作品について、と言うよりも詩の投稿が辛いという愚痴みたいになってしまいすいません。でも、この作品を通して見えてきたものもたくさんあったので、それにたいして丁寧なコメントを貰えて本当にうれしかったです。
0the pillowsの、『ハイブリッドレインボウ』を、思い出しました。世代がバレそうですが・・・
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