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定義
木槌が藁をたたく あなたの腕に浮かぶ蓮葉の汗 一山の藁は一体のひとがたに あなたの爪にこびりつく泥 捏ね上げられたトルソー 背中をなぞる掌 弧を描く口元 マネキンの球体関節は軋み あなたの顔に絵の具が飛ぶ 懐かしい音がする 名前を呼ぶ音 わたしを鏨でへつる音 わたしはいつからかわたしだった わたしになった わたしになってゆく 自分がだれなのかは識っている けれど何かはわからない きっとわかってはいけない ピンボールマシンみたいに あなたはわたしに釘を打つ 何にもないところに薄紙を張り付けて あなたが あなただけが わたしを知っている
定義 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1868.9
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2018-09-14
コメント日時 2018-09-22
項目 | 全期間(2024/11/23現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
「あなた」だけが知っている「わたし」。いつからか「わたし」だった「わたし」が最後まで分からず仕舞いでした。読み手がこの詩で語られている「わたし」に興味を持つには少し書き込みが足らないかな、とも。これはシンプルに「あなた」と「わたし」の関係を描いた恋の詩なのかな、とも思いましたが。少し否定的ですがご容赦を。
0そうですね。『わたし』は描きませんでした。『あなた』は個人ではありません。 『わたし』というアイデンティティは工業製品という感じでしょうか。
0ロボットやアンドロイドの自我が語られるように、僕はいっそ原子とか分子とかビルとか地球とか惑星とか太陽系とかにも自我があってそれを認知できないだけ、みたいなことを考えています。「定義」というタイトルが逆に問いではなくこの詩は一つの答えだと示しているようで、そこはよしあしかもしれません。タイトルが変わるだけで印象もぐっと変わりそうな気がしました。
0「たたきわる」が昨年の秋だったと思うと時間がずいぶんと早く流れていたのかと思った。あきらさんの「たたきわる」は外界をメタファで書く意味において優れた古典的手法の詩だと思っていて、当時、日々綴られていた詩を書くことの目的をご自身は達せられたのだろうと思った。「たたきわる」で。というのも、その後の投稿作品は多分に内面にあるもの、一人称へのこだわりを持って書かれていると思う。その作者あきらさんが持つ連続性のなかで本作「定義」を読み解く時、人間が持つ根源的な孤独を書こうとされているのだろう。いうまでもないけれど孤独という物語をではない。人と人は断絶されたなかにあるということ、そのままに書こうとされていて、それこそ真理に近い。まさに人間が根源的に持つ孤独の定義。本作はまだ通過点でしかないだろう。外界を書いて達した「たたきわる」の境地はまだ先だと思う。
0最近目を比較的内側に向ける試みをしていて、それはいままで世界というものの営みを書こうとしていたのですけど、いまは自分というものそのものを営みと捉えています。
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