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ライフる2
え? …あたしの話?? …だって、何処から話して良いか判らないな 例えば、小さい頃に何度も男の子に悪戯をされて、まだ小さな芽を不思議なものを視る目で幾度も弄られて、もう一回、もう一回ってせがんだ話から? 家族4人で雑魚寝をしていた寝室の、枕元にあった鶏の電気スタンドが大好きで、今も壊れたそれが押し入れの中に眠ってるって話から? お魚の絵を書いて、それを赤く塗りたくて、クレヨンの赤が見つからなくて、母親の口紅でべったりと塗ってみた話から? 暗い階段で、扉越しに聴こえてくる俺は自殺するって泣き叫ぶ父親の声に、身を竦めて固まっていた話から? 開かれたまま何日も置き去りにされたルソーの画集の、「戦争」って絵の、プリミティブに描かれた女の子が恐ろしかった話から?(まるで鏡を視るように) 人の生の醜さを3歳で内包した、あたし、の話? 話すことなんて、なにも無いのに 話すことなんて、なにも無いのに 話すことなんて、 氷のように冷たいものが好きなの 冷ややかで、硬くて、透き通ってるもの 水晶は歳ごとに盲いていく私の殆ど目だと思う 私の心をどんな真綿より優しく鎮めてくれるんだよ 氷の中に燃えている火を眺めるのも好き まるで痩せた馬が駆け回った後にぴくぴくと幸福に痙攣しているような、そんな自由な炎の動きが好きだな 次に好きなのは煙草の煙が宙を漂うのを眺める時間 犬が好き 彼らのデザインは完璧だと思わない? ピンと尖った耳は微細な悪意も聞き逃さず、流れるような生きた毛並みは丸裸の人間が幾らせがんでも手に入らないもの、なにより、おぞましい程に美しいその鋭い牙(そこから名前を授かった人間の犬歯なんて足元にも及ばない)、細く鋭い4本の脚は地を(そしてきっと血を、とうっとりとため息)蹴るためにあり、彼らの魂は自らのために在る 猫も好きだよ 動物は正直だから好きなの 人間のような偽りで成り立つものを含まないから、だから、私、自分で自分に、しろいぬ、って名前、つけたんだよ 眼差される/眼差す あぁ、アガペーはきっと幾筋ものエロスの血を飲み干してきたんだね ううん、なんでも無いの、直観 今、思いついただけ 独り言 酔っぱらった正義は大嫌い 正義にしか縋れない正義も嫌い そうすると大体この世で好きなものって 無くなっちゃうんだよね そうすると殺してみるのも遊びの内かなって気がするけど、私、小さい頃は蚊も蠅も殺せなかったから、やっぱり殺すのは向いてないんだと思う 皆が見つめているのは皆が見つめているものであって 私 口出しする気も無いの だって愚者に貴方は愚者ですよって言っても信じないでしょ?? 愚者の定義も好い加減だし 世の中って 花のようだと思うの 花の花弁の一体何枚が憎悪で構成されているか 貴方は考えたことある?? ピアノの音とヴァイオリンの音、好きだな ぽろん、ぽろん、きぃきぃきぃ、 きらきらしてる だって、窓の外の畜生達は、あのうようよと姿を現す2本脚の畜生達は 無視してやれば良いと思う だって彼らはただ飢えているだけなんだから 或いは、肉を細切れにして放ってやれば良いと思う 私は だって彼らはただ飢えているだけなんだから 肉が無い? ねぇ、君、自分の体の何処に目ぇつけてんの?? 君を、構成する それ 何? 魂なんて無い癖に 魂は音階であって 吹き荒ぶ風だよ 地中深くに埋まったマグマを抱いた氷のことだよ 冷たい冷たい冷たい場所を通って来た 微かな微かな微かな温もりのことだよ その痛みを 理解出来るのなら 寄せ合って 銀の鈴を口に入れて 愛していたと 呟けるなら きっと魂に祝福はあるよ 嘘で無い祝福はあるよ exist/not exist 判りあえないことが無数の星空になって散らばりながら存在しているね そんな星空を一緒に眺めたいのは 彼だけだな ペガサスに乗って空が飛べるよ 死の国まで足を伸ばしてみようか あなたは 理解するの? しないの? ここにあるのはそれだけ 「2進法の犬/花村萬月」って良い言葉だよね タイトルしか知らないけど 今度読んでみよ え?あぁ… もし 凡てが信じられないなら 私の話を嘘だと言うなら め を見せて 芽吹く目でも 目吹く芽でも 構わない 貴方の め を 見せて それじゃ足りない そんなんじゃ視界に入らない もっと もっと もっと もっと もっと 繰り返し 繰り返し 繰り返し 繰り返し 調教された人がなにか叫ぶけど 私はここから冷たい目をして眺めるばかり 硬化した水晶の瞳 次のめが現れることを願ってる あたしは笑いながら、殺されてゆくだろうと知っている ねぇ、今日はこの辺で良いかな あたし、眠くなっちゃった おやすみ
ライフる2 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 896.3
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2018-04-08
コメント日時 2018-04-15
項目 | 全期間(2024/11/23現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 0 | 0 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
すきなものって なあに やわらかい おふとん はちみつとーすと ひるすぎに なりだす めざまし 部屋はもうからっぽで 死ぬまでの時間をひまつぶしみたいに いろえんぴつで塗りつぶしている リンゴがやわらかくならないうちに 食べてね 段ボールひとはこ だから きょうは アップルジャムを煮る ことことことこと かき混ぜながら ゆうひをポトンと落として きょうはもう おしまい
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