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写真
写真とは なんだろう この課題は ずいぶん前から私の宿題になっている それだけに いつかは それなりのこたえを出したいと思っているが なかなか それが果たせない 口惜しく残念だ そこでいま一度 念願を果たすべく ここに挑戦を試みる まずその取っ掛かりは 写真という いかにも出来過ぎた しかし なかなかの翻訳語である 言葉に取りついて見る そも 写真の真とは何か あまりに直接的で具体的で 一瞬 ドン引きするが たしかに的を射っている表現だ 真は刹那によってしかとらえられない 瞬間が勝負だ 緩慢に移ろい行くもののうちに どうして真が存しようか この部分を カメラでは シャッターが担う 瞬間的に 飽くまで瞬間的に作動しなければならない 否 それだけではない さらなる要として レンズが問題だ なにせ 対象としての世界ーー客観的世界をとらえるのだから そのためには おのれ自身が限りなく透明でなければならない 存在しながら あたかも存在しないかのように…… これらの条件を すべてクリアーしたカメラだけが 真を 真実をとらえることが出来る これは 覚者の明鏡止水のこころと同様である ところが この私は ある一枚の写真をまえにして 困惑するばかりなのだ それは 私の一歳のときの写真だが いくら見ても 毎日見ても そこから何も湧き出てこない まして真実など 気配は皆無だ ただ ただ 黄ばんだ感光紙がその古さを物語るばかり 仕方なく 私は近いうちに この写真を処分しようと思っている シャッターが担う
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写真 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 517.5
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2024-12-08
コメント日時 2024-12-19
項目 | 全期間(2024/12/22現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 0 | 0 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
次回作が気になる作品です。続編を期待しています!
0読んでいただき、ありがとうございます。次回は『大いなるいのち』を予定しております。 AssA様の作品も読んでいます。
0いいなぁ。深くそれでいて透き通った芯のあることを言っているのに、分かりやすい。入ってくる感覚がある。写真はもはや魔法なのでは無いかと、ちょっと思考停止なことを思ってしまった自分を恥じます…
0お読みいただき、ありがとうございます。私が写真に抱いていた内的疑問を、この詩で不器用にぶつけてみました。何かコミットされたことがあれば、私としては最高です。らりるれろ様の作品も、ただ今読書中です。これからも、よろしくお願いいたします。
0このスマホ時代に、敢えて写真という着眼点が良いと思いました。 ただ、最後の終わり方が今ひとつよくわかりませんでした。
0お読みいただき、ありがとうございます。最後のところは、写真の本質はどうやらこういうものらしいとわかったけど、私の眼は節穴で、実際に写真を前にしても、その本質=真実を見抜くことが出来ない、だから写真を処分する他ないか、と思ったということです。表現足らずで、恐縮です。見る眼、というものを感じています。
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