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可愛くない犬だった
可愛くない犬だった 噛むな、といえば 噛みつき 吠えるな、といえば これでもかと、吠えて 躾なんて 聞いちゃいない この犬の中で 私の順位は 最下位だったろう 肉球で何度も 顔を踏まれたから うんち、おしっこ 所構わず 踏んだときの 絶望感 筆舌尽くし難し 出かけるときだけは ひざの上にのって しおらしくなった つい、負けてしまって 出かけるのを やめた日もあった 騒がしく うっとおしい日々が 十年を過ぎた頃 苦し気に息を吐く 犬の背中を 摩ってやって また明日ね、と 部屋のドアを閉めた (あれ、今、何か言ってたな) 翌朝 死んでしまった 犬の顔を 見ることができなかった 「あいつは死ぬようなタマじゃないよ ビックリして出てくるよ」 狭い玄関の隅で 犬の亡骸が入った 段ボール箱を 強く揺すった バタンと倒れた段ボールは しんとして 静かだった 静かすぎて 痛かった あの夜 あいつは 何て言っていたのか さよなら、 じゃない ありがとう、 でもないな またな、だ またな、って顔だった
可愛くない犬だった ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 976.7
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2018-02-09
コメント日時 2018-02-18
項目 | 全期間(2024/11/23現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
感動しました。 ありがとうございます。
0桐ヶ谷忍さん ご感想くださいまして、ありがとうございます!深く読み取って頂き、とてもうれしく思いました。 岡田直樹さん こちらこそ、お読みくださり、ありがとうございます!
0文節でないけれど、一文にできるものをかなり短い単位で行分けしている。そしてその単位を最後まで続ける。 夏生さんみたいな行分けをする人は多く、また夏生さん自身この形式な行分けの詩ばかりを書いている。 分け方が単調だと詩自体がだれてしまうな。あえて一行を長くするところなどを作って緩急をつけたほうが冴えるだろう。それはこの詩に限らず他の人にも言えることだろうが。
0花緒さん いつもありがとうございます。感じるものがある、とのお言葉、とてもうれしく、ありがたく思いました。 渡辺八畳@祝儀敷 さん コメントくださり、ありがとうございます! 行分けについてのご指摘を頂き、再考して、またひとつ学ぶことができました。 これからの創作に活かしていけるように、精進致します。
0すごく素敵な詩だと思いました。珍しい形式じゃないけれど、こころにぐっとくるものがありました。
0さしみさん コメントくださり、ありがとうございます!とてもうれしいご感想でした。
0蛾兆ボルカさん コメントくださり、ありがとうございます!「絶望感」についてのご指摘、この言葉がもたらしたある種の効果。全く気付かず無邪気に書いたことが 恥ずかしくなりました。あたたかく読み取ってくださり、ありがとうございます。
0夏生さん、こんにちは。 拝読させて頂きました。 思わず、飼っていた猫を思い出しました。 なかなか思い通りに動いてくれない、或いは振り回されている書き手の、うんざりしているように見えて、そこに愛しさを感じている様子が伺えて、微笑ましく思えました。そして最後の篇で、実は動物と人間という枠を超えて繋がっていた、解りあえていた、という流れが感じられてキュンとしました。きっと、書き手にしか解らないさよならだったんですね。技巧的な事に寄せて講評は出来ない私ですが、好きだな、と思いました。
0ユーカラさん コメントくださり、ありがとうございます!わかり合えていたのか、どうか、という曖昧な感じでしたが、騒がしく面白い時間を過ごしました。 ユーカラさんは猫を飼ってらっしゃったのですね。猫も面白く可愛らしい生き物ですね。特別な想い出があったことでしょう。
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