雨が降る、十二時の長針の上
赤い流星と黄色の音符
ふたつの意思が結婚式を挙げる
白い祝日は
透き通る幽霊たちの歌で始まる
今日はウツボカズラの休日
塞がっていた穴の開く朝
べこべこな薬缶に花が供えられ
きれいな声がよく町に響く
マリンブルーの色をしたサイダーは
グラスの中で航海を待つように
花嫁の喉を通るまで
金星を溶かしている
砂糖菓子では満たない温度で
この時に火を点ける
今日この日を燃やす
埋没した昨日を炙りだす
燃えろよ
ぽとぽと落ちる水面
うさぎは月を見つめる
約束は二つあった
届いた手紙は一通だった
川には飛びこまなかったけど
白い泡になった
蛙は白い泡を潰した
一つ潰すごとに歌が生まれた
蛙は「バカヤロウ」と叫び干からびた
歌は岩に宿り
小石は歌うようになる
小石の歌は朝露をゆらし
墓についた水滴は
午前六時の短針に落ちる
おやおや船が出港するよ
作品データ
コメント数 : 8
P V 数 : 779.5
お気に入り数: 1
投票数 : 1
ポイント数 : 0
作成日時 2024-02-07
コメント日時 2024-02-20
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/23現在) | 投稿後10日間 |
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技巧 | 0 | 0 |
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閲覧指数:779.5
2024/11/23 18時52分11秒現在
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なんかいいですね。色んな色がつかわれてますが、透き通っているイメージを持ちました。
1>赤い流星と黄色の音符 >ふたつの意思が結婚式を挙げる ここが、すごくいいなと思いました。 トビラさんって、センスの塊ですね。 トビラさんって、なんとなくパンクなところがあると思います、精神的に。
0入間しゅかさん、ありがとうございます。 色を感じさせることができてよかったです。 色は心が踊るので。
0黒髪さん、ありがとうございます。 褒めていただきありがとうございます。 素直にうれしいです。 精神がパンクですか。 調べたところ、パンクの語源は不良らしいですね。 うーん、ならず者ではない(と思うの)ですが、外れ者ではあるかもしれません。 何かこう枠組みからいつもはみ出してしまって。 なかなかうまくいかないものです。
1パンクについて、僕が考えていたのは、音楽における「DIY精神と反体制的な態度」 です。トビラさんが飛び切りパンクだ、と思っています、今も。もちろん褒めているんですよ。 世の中を良くしていくのは、そういった人たちですから。既成の恋愛観に反抗して、 真のロマンチシズムを体現しようという理想、それに共感します。捨て鉢な勇気があるなと。
0黒髪さん、ありがとうございます。 なんというか、単純に僕は恋愛はいいものだと思っています。 だから、作品における恋心もいいものだと信じています。 単純に本気でそう思ってる。 そんな感じです。 それは難しい思想とかではなくて、ちょっとした確信ですね。 ありがとうです。
1表現が好きです…特に第三連、神々しい。 ミクロとマクロのカメラワークが巧いと思います。雨が時計の針に降る、一つの薬缶と街、サイダーと金星… 「歌」がキーワードですね。第一連、幽霊が歌い出すという面白いスタートです。世界のあらゆるものに声が宿る、時間を飛び越えて彼らの声は響く。そういう、この詩の世界ではもちろん「喉」も崇められるほど重要で、花嫁の喉を潤すことが栄光だと、サイダーの誇らしげな顔が浮かんできます。 祭事の雰囲気が詩を包んでいるのか、「火」が出てきますね。しかし、同時に不穏な展開になっていく。約束を守れなかった、何か。伝統の断絶だろうか。小石が歌を歌うようになるよ、なんて言われても、幽霊の歌より全然インパクトが薄い。ここから、「未来の歌の喪失」の警鐘が聞こえてくる。 最後にはそんな警鐘を胸に留めて、旅立つ若者が船の汽笛に振り返る。そんな情景が浮かびました。良い詩でした。
0熊倉ミハイさん、ありがとうございます。 丁寧な評をくださりありがとうございます。 自分でも慶事の雰囲気と、きれいなイメージはうまく表現できたかなと思います。 これからも作品を作っていくので、よかったらお読みください。 あっさりとした返信になってしまいましたが、作者、喜んでいます。
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