ふくらんだ化膿を
取捨するとみえてくる守宮がいて、
ちたちた這う、真っ黒い食傷のふやけたへりのうえ、
だんだん重みが冷え凝ってくる、
くねるからだはしんでやわらかなフルートのよう
幽玄に鳴る。
やうやう白んで。
黙示を秘めて、なお貧しい喉の
かそけさが止ませる雨や、風の中をすすんでゆく
時の一条。
ちからのない稜線が引いてゆく青白い使命のために
稚魚はたわむれ
とおい地層はたしかめられる。
頭蓋をこして
ゆるぎない遊び場をさがす
痩せこけた案内人
かつての一行が予後をつらぬいて
あたたかい奇想のなかに
垂直に眠っている
ともにふるえようとして
指をかけちがえた
ちいさなひとりがひろがってゆく
作品データ
コメント数 : 3
P V 数 : 870.3
お気に入り数: 1
投票数 : 1
ポイント数 : 0
作成日時 2023-10-13
コメント日時 2023-10-29
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/23現在) | 投稿後10日間 |
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技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
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可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
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閲覧指数:870.3
2024/11/23 18時46分41秒現在
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ちいさなひとりというのは 自分自身のことなのでしょうか。 よい詩だと思いました。
0硬質な言葉選びと静謐な空気感が好ましいですね。最後の「ちいさなひとりがひろがってゆく」で詩の構造が解けてさらに広がりを見せるような、余白のある美しさを感じました。
0こんばんは。 一読して、二読して、作者の詩作品全般に言えることですけれど、巧いと言えます。 その、細かくいえば、この巧い、はきっと近代詩のその巧い、だと思うんですね。 近代詩から、その技巧、それはフェティッシュもありつつ 達人のように、詩を展開されてらっしゃる。 じっさい、このビーレビューという場に於いてはそれは稀なことであって この達人の本道を通ってゆかない、として、そのオートドキシィーなのですけれど それが光っていると言えると思います。
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