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実験12
空き部屋に矢印が走る 眼のような正確性 数を数える 虫の図鑑 麻痺した左腕が踊る 秋風は全て終わった 闇が流れてきた 耳の中へ 眼の中へ 完璧な闇が 柔らかな四肢を振り回しながら流れてきた ずっとここにいるからね 魔法の言葉をひとつも叶えられない 諦めた恋や愛のように 病んだ木も吠える メルヘンチックな童話の思い出を 悲しませる 頭蓋骨の周りに張り巡らされた 牛の神経 真昼の静かなキスの音 朝は全て始まった 木漏れ日は小指に宿る 約束しても裏切られる 小さなメッセージ 風を追いかけることから 寿命は縮む 真新しい生命線の上で 蟻が死ぬ その横腹から闇が溢れてきた 悲しげな目をして 蟻は横たわる 悲しい終わりを迎えて 頭痛の街灯は 自分の左腕に麻薬を打ち始める
実験12 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 2095.7
お気に入り数: 1
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2023-04-15
コメント日時 2023-05-16
項目 | 全期間(2024/11/23現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
はじめまして。 端的に言って、難解な詩ですね。 秋風が終わって闇が流れる。風を追いかけることで寿命が縮む。死んだ蟻の横腹から闇が溢れてくる。 これらの言葉で、二連目と四連目に何かしらの繋がりが見え隠れしています。 そして中盤の、 「魔法の言葉をひとつも叶えられない 諦めた恋や愛のように 病んだ木も吠える メルヘンチックな童話の思い出を 悲しませる」 というところを読むと、ここでの闇というのは何か叶わなかった願いを表しているように思えます。 そして麻痺した左腕、左腕に麻薬を打つ、頭痛、頭蓋骨の周りに張り巡らされた牛の神経、といった言葉から、何か身体症状のようなものを読み取れます。 でもこれ以上のことはよくわかりません。 冒頭の「空き部屋に矢印が走る」とは、空虚な心の見えない方向性のようなものかとも思いましたが、違うような気もします。 やはり難解な詩です。 タイトルが「実験12」となっていますが、この詩自体が何か実験的な試みなのでしょうか。
0数字が振ってある全ての作品を読んだけど、良いと感じたものとそうでないものが混在していたな まぁ実験なんでそんなものなんかもしれないけど。 実験12に関して言えば 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランドの「やみくろ」がよぎったな だからなんだと言う話かも知れないけど それと音がなんか残念な気がしたな 読み進めるのが億劫になったりしたな 12に関して言えばどちらかと言えばそうでないものだと感じたな 王下七武海
0ありがとうございます。
0ありがとうございます。
0メルヘンチックな童話の思い出を 悲しませる ここ良いですね。 ただ、「悲しげ」や「悲しい」が言葉として連続すると世界観というか 認識みたいなものが狭まっていくので もったいないと思います。
0初聯と終聯、寄生虫妄想の蟻走感と自傷を思わせますね。寒気のするような詩境です。こういう感想は述べるのが本当にためらわれますが、強烈な分裂気質で、統合不全を象るような峻烈な両義性で、圧倒されます。蟻の行列がなす生命線(分裂の象徴)、横死からあふれる完璧な闇(統合の象徴)、闇を切り裂き分裂させる光明としての自傷。類想がなければ、そしてわたしの読解が妥当なのであれば、完全な天才だと思う。 中盤の精度はどうだろ。類さんの詩という先入見がないと、没入するのは難しいかもしれない。たとえば2聯の「秋風は全て終わった 闇が流れてきた」は、冬季うつの到来とともに芭蕉の「物言へば唇寒し秋の風」を思わせる、類さんといえば寓意の異化という先入見があるからそう思う。同じく「頭蓋骨の周りに張り巡らされた/牛の神経」には、イソップ寓話の「自分を膨らませる蟾蜍」(岩波文庫の邦題)が重なる、類さんの分裂気質と言えばシャボン玉という先入見があるからそう思う。そういうのが客観的な評価の根拠になりえるのか、わたしには銓衡の才能も意欲もないのでわかりません。 個人的主観的には、作家論を踏まえてぜひ批評したいと思わせる作品です。読めてよかった。
0ありがとうございます。
0ありがとうございます。
0この作品からは、然るべきフレーズが、必要な場所にあって、これでいて完結されているという確かな感触を受けます。個人的には強い叙情性を感じるのですが、イメージが叙情的であるというより以上に、言葉、文章、それぞれに必要性があり、その正確さは、そのフレーズがそこにあるという事に対して、というのもあるのですが、確かな「正確さ」の感覚があって、感覚、感触が作品の内に確かな場所にあり、全体で、作品世界になっているように思います。過分も不足もなく作品が自律した世界を為しています。ひとつの作中世界を、それとして鑑賞する事ができます。とても気になった作品なのでコメントをさせて頂きます。
0ありがとうございます。
0こんにちは。読みやすい詩ですね。どこか田村隆一の作品に似たような。。比喩が詩的で味があると感じました。2回出てくる左腕に、「ねじ式」を想像してしまいました。あの作品も立派な詩だと思うので。ライトレスですみません。
0ありがとうございます。
0語の配置の正確性を追求しつつ、何も言わないことを目的化しているのではないかと考えました。 実験と冠しているので、失敗してもいいわけですけれど、ヒューマニズムになびきがちな私を 再読して語を吟味させる、その訴求力が弱いと思います。
0ありがとうございます。
1ありがとうございます。
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